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2013年05月11日

社会の期待に応える介護とは?(後編)

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これまで、2回にわたって社会の期待に応える介護を追求してきました。
社会の期待に応える介護とは?(前編) リンク
社会の期待に応える介護とは?(中編) リンク
 
前回まで、現在の介護の課題を明らかにしてきましたが、今回記事では今後の可能性を明らかにしたいと思います。今後の可能性を考えるにあたり、現在の課題を再度整理します。

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■介護業界が直面する課題
 
介護業界の抱える課題は、大きく3点にまとめられます。
 
1.共同体の崩壊
 
1-1.戦争・市場化による都市化の進展
 
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弥生時代以降、日本においても戦争(武力闘争)が開始。戦争は、武力支配国家を誕生させ、一部では飛鳥時代から都市化が始まります。都市は、明治以降の市場化、特に戦後の高度経済成長期を経て急速に拡大し、農村も都市構造に組み込まれていきます。
都市とは、私権(武力or資力)序列によって秩序付けられる社会であり、富が一部の支配階級に集中し、貧富の格差が拡大する構造を持ちます。
同時に、第一次産業を担わなくなる人=生存基盤を他者・市場に依存する人を増大させます。これは、私権原理(身分序列)による他者への強制であり、共同体における分業とは根本的に異なります。
都市化・市場化が進むほどに「助け合う」共同体社会から「金を払ってやらせる、やってもらう」市場社会に変わっていきます。そして、貧富の格差は拡大し、生きていくことさえできないほどの、極端に貧しい人を発生させます
 
1-2.個人主義を中核とする近代思想の浸透
 
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戦争の勃発や市場の誕生が示すように、江戸以前から私権観念は輸入されており、私権社会を生み出します。しかし、明治に入る以前は、私権観念は都市の支配階級だけのものであり、過半を占める農村共同体までは拡がっていませんでした。
明治からは近代思想が本格的に輸入され、学校教育などで徐々に拡がっていきます。さらに、戦後にGHQによる指揮で農村の隅々まで浸透します。個人主義を中核とする近代思想は、個人の私権追求の自由を正当化する観念であり、市場化に拍車をかける役目を果たします。
農村の共同体規範は個人の自由を束縛する邪魔なものとなり、共同体への収束力を低下させます。農村の若者は、不自由な農村から自由な都市へと移住し、農村からは若者が姿を消していきます。
 
このように、市場化や都市化・近代思想の浸透によって、共同体は内外から崩壊します。
社会全体の高齢化とともに独居老人や老人だけの家庭が増加。共同体が崩壊し、相互扶助機能を失った社会では、介護問題が急速に顕在化します。
 
 
2.介護の官製市場化
 
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相互扶助機能を失った社会では介護問題の解決は見込めず、国は、国民年金や介護保険など、制度によって老後の生活を保障する方針を採ります。これにより、制度に規定される官製市場が誕生し、現在の介護市場へとつながります。
 
ただし、介護市場という官製市場には、前編(リンク)で見たように、大きく3点の問題があります。
 
①国家財政に完全依存、財政破綻のリスクを常に抱えている
財政が破綻すれば、官製市場は崩壊します。現在の各種制度は、永続的な経済成長を前提に設計されています。しかし、年金制度は実質的に破綻しており、国債の暴落リスクも高まっているように、制度設計は明らかに破綻しています。官製市場はもはや安泰とは言えない状況であり、注視が不可欠です。
 
②介護問題の根本解決にならない
介護問題の根本原因は、上述したように、共同体の崩壊です。現在の介護保険制度は、少しずつ改善されつつあるようですが、まだ介護の根本問題の解決に向かっているとは言いにくい状況です。官製市場において、制度は仕事の目的や体制、給料など、あらゆるものに影響を及ぼす強固な枠組みとして機能します。官製市場であるからこそ、そのベクトルは社会問題の根本解決に向かっていなければいけません。
 
③就労者の活力が上がりにくい報酬体系
官製市場であるが故に、決められた仕事で決められた報酬となり、中身=成果は問われません。加えて、介護が必要な人=自分では何もできない人だけが対象となるため、介護やリハビリによって成果を上げれば、サービスが不要となり、報酬が下がる構造になっています。中身によらず一定額の報酬、かつ逆進性を持つ体系では、従事者の活力が出にくいのは当然といえます。
さらに、低賃金問題がこの活力低下に拍車をかけ、介護従事者の活力低下、さらには高い離職率へとつながっています。
 
介護は、元来、共同体内での相互扶助の営みであり、市場には馴染まない性質のものです。よって、官製市場によって対処するという方法論は、間違っていないものと思われます。しかし、制度の方向性のベクトルが根本問題の解決とは別の方向に向かっていたため、官製市場の弊害が大きくなっているのが現状です。
 
 
3.介護が抱える非充足構造、高齢者の役割の喪失
 
介護従事者の非充足構造は上述しましたが、現在の介護は、介護サービスの受給者にとっても非充足構造になってしまっています。
介護サービスという言葉が示すように、高齢者はサービスを(一方的に)受けるというのが前提になっています。高齢者の役割や行動は、介護サービスを受けるほどに失われていくという関係にあります。
人である以上、活力は伝播します。従事者が非充足状態にあれば利用者も非充足状態に陥りやすくなり、その逆も然りです。利用者と従事者の双方が活力を低下させやすい構造は、見直す必要があるでしょう。
 
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介護が高齢者の役割をつくり出せず、非充足構造となった背景には、高齢者観の変化があります。
戦前までの農村など、共同体が機能していた社会では、高齢者は長老としての「畏敬」の対象でした。しかし、明治からの近代化・戦後の市場化を経て、高齢者は介護するべき「社会的弱者」へと変わっていきます。
都市化に伴う共同体の崩壊により、長老が経験を伝承すべき後継者や若者・子どもはいなくなり、統率するべき集団も解体されます。同時に、個人主義思想の浸透により、共同体における規範は、若者にとっては自由を縛るわずらわしいものとなり、共同体内での経験しか持たない高齢者への敬意が失われていきます。また、農林水産業等の従来の産業が衰退し、第二次、第三次産業へとリーディングセクターが移るにつれ、高齢者の経験は役に立たないものとなり、古いものとされてしまいます。こうして、共同体における高齢者の役割は失われ、徐々に高齢者が「弱者」と見なされるようになっていったのです。
現在の介護も、この「社会的弱者」としての高齢者観に立脚していると言えます。
 
ここまで扱った、介護業界が直面する課題を図解化すると、以下のようになります。
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■可能性基盤となる意識潮流
 
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厚生労働省「平成20年度 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(リンク
 
隠居こそが理想とされた時代もありましたが、隠居生活が理想となるのは、絶対的な私権圧力が前提条件です。つまり、必死に働いて私権を得ていかなけば生きていけないという強い抑圧があるからこそ、そこから抜け出す隠居生活が理想となっていたのです。
しかし、1970年ごろの貧困の消滅以降は、私権圧力が衰弱し、人々の意識も大きく変わります。共認圧力が主圧力となり、周りの人の期待に応えたい、社会の役に立ちたいという意識が顕在化します。
貧困の時代の私権圧力は、何もしなくても絶対的に作用する外圧だったため、それに対する活力も勝手に生起していました。しかし、現在の共認圧力は、仲間や地域など、集団の中にいてはじめて真っ当に働き、活力も得られる構造です。だからこそ、現在の高齢者は、積極的に外に出て、社会の役に立ちたいとアクティブな暮らしをしているのです。
この意識潮流を踏まえると、定年後世代を供給者として活用していくことが社会全体での鍵となります。共認充足をつくり出し、共同体を再生していく潜在的な基盤は既にあります。高齢者を社会的弱者と見なし、何かしてあげることを考えるのではなく、期待に応えたい、役に立ちたいという想いを活かせる仕組みづくりが、可能性を実現することになります。
 
この意識潮流は、サービス供給者である介護事業従事者も同様です。実際、介護に従事する人の中には、役に立てることにやりがいを感じて仕事を選んでいる人も多くいます。従事者も、介護という制度の枠組みに捉われがちですが、心底では高齢者が社会の役に立ち、活き活きと過ごせる介護を求めていることに疑いの余地はないでしょう。
 
 
■社会の期待に応える介護が目指すべき方向性
 
現在の課題、意識潮流を踏まえると、高齢者の役割の創出、根本的には共同体の再生が必要です。
要介護状態になってはじめて手を打っても遅く、定年後世代の社会的役割をどのようにしてつくり、介護が必要な人をどのようにして減らしていくのか、介護が必要になるまでに気兼ねなく助け合える関係をどうやって築いていくか、が向かうべき課題です。もちろん、要介護状態となった人も、役に立ちたいという想いに変わりはなく、状態に応じてできる役割をつくっていくことが必要です。
その上で、そのような活動を拡げていくためには、ボランティアではなく事業として成立させることが絶対条件となります。社会の期待に応える介護事業のモデルケースをつくり、広げていくことで、共同体の再生を支援することができます。制度の枠組みに必要以上に捉われるのではなく、新事業を実現することで可能性を指し示し、制度(補助金体系、保険制度等)を変えていく。それでこそ本当に社会の期待に応えることができると言えるのではないでしょうか。
 
以上から、社会の役に立つ介護が目指すべき方向性は、以下の3点と考えられます。
①共同体の再生
②事業としての成立
③高齢者の役割創出

 
 
■社会の期待に応える介護の先進事例
 
近年、介護やその関連分野では、すでに社会の期待に応える事業が多数はじまっており、成功している事業も多くあります。社会の期待に応える介護を、ただの理想論ではなく、実践しておられる事例を紹介します。紹介する事例の多くが、従来の介護という枠組みを超えた取り組みとなっており、枠組みを超えることによって、充足をつくり出しているという点は注目です。
 
○企業による従業員家族の介護
 

高齢化が進むにつれ、親の介護のために離職を余儀なくされる「介護離職」が増加し、企業にとっても、介護は大きな課題となっています。企業の多くは、介護休業期間を確保するといった対応でなんとかやり過ごしてきましたが、企業自らが介護事業を立ち上げ、従業員の親の介護をするという事例が出てきているようです。(参考:リンク
実際の成功事例は、まだあまりないようですが、JAの介護保険事業などは近い事例と考えられます。JAはもともと都市よりも共同体的性格の残っている農村を基盤とし、組合員という緩いつながりの組織であることなど、特殊条件はありますが、企業による従業員家族の介護への取り組みは、引き続き注目です。(成功事例をご存知の方がいらっしゃれば、ご紹介いただければありがたいです。)

 
○生活できる能力を再生産するリハビリ施設
 

夢のみずうみ村リンク
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夢のみずうみ村は、山口県を拠点に、千葉県にも展開しているリハビリ施設です。訓練してつかみ取った能力を使い、生きていることを味わい楽しむことをリハビリの目的としています
特徴的な取り組みのひとつが「バリアアリー」。敢えて施設内にバリア(段差、坂、階段等)を設け、バリアの克服方法をマスターしていただくことで、生活範囲を広げることを目的としています。
村内通貨「YUME(ユーメ)」も特徴的です。ユーメをリハビリ参加費用等に使うと同時に、利用者自身が他の人の役に立つことでユーメを稼げる仕組みとしています。見学者の案内や内職に加え、特技を活かして他の利用者を指導する「師範・師範代制度」などにより、利用者の役割を創出し、充足をつくり出しています。
 
参考:NHKプロフェッショナル仕事の流儀「リハビリが、人生を面白くする 作業療法士・藤原茂」(リンク

 
○幼老統合ケア:高齢者の役割創出
 

ひかりの里リンク
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ひかりの里は、三重県桑名市の認知症高齢者グループホーム。放課後児童クラブ「パンの木」の小学生との複合施設です。両者を仕切るのは小さなスタッフ室だけ。行き来は自由に出来るようになっています。
学童保育とグループホームが合体したのは01年。宿題をせず、いじめをする子供への対応に、お年寄りの力を借りようと思ったのがはじまりで、高齢者は、子どもたちと一緒に食事をしたり、宿題を見たり、遊んだりと、さまざまな交流をしています。
スタッフが注意して聞かない子も、お年寄りが本気でしかると素直にきくなど、認知症になってもお年寄りにはしっかりとした教育力が備わっています。また、お年寄りとの生活は、「子どもが心の奥に持っている優しさ」も引き出すようです。算数の答えをお年寄りが間違って教えたとき、その場で言わず、後でそっと書き直す子。廊下でブロック遊びをしながらお年寄りが外を徘徊しないように見守る子……。
お年寄りと子どもたちの交流は互いの活力となり、相手を思いやる心をはぐくむ、貴重な場となっています。

 

江東園リンク)(リンク
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江東園は、東京都江戸川区にある、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・保育園が同じ屋根の下に同居する複合施設です。
子どもたちの行動範囲は全館。施設のあちこちで、子どもたちがお年寄りの部屋に遊びにいったり、だっこしてもらったり、絵本を広げている姿があります。
林副園長の言葉を引用します。「子どもは『おばあちゃん、絵本を読んで』など、お年寄りを心から必要としています。お年寄りにとっても『人のために役に立つ』ことが生きる力になっています。お互いに必要とするいい関係を築いていますね。また、連れ合いを亡くした喪失感や寂しいという思いも、子どもの元気な声が聞こえることで救われる、という人もいますよ。それに、重度の認知症のお年寄りもなぜか子どもの前だとしゃんとします。」
暴れて遊んでいる子どもも、車イスや松葉杖のそばでは静かに通るというように、思いやりが自然に身についている、ともいいます。
 
お互いに必要とし、必要とされる、そのような関係の中で、子どももお年寄りも活き活きと暮らしている姿は、かつての地域共同体における高齢者の役割、子どもの学びを思い起こさせます。

 
○共同体の再生
 

地域交流サロン「ばあちゃんち」リンク
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「ばあちゃんち」は、一人暮らしの高齢者の家の一部を活用して運営されています。
子どもから高齢者まで、地域の多くの人が気軽に集い交流する中で、地域の食や暮らしをトータルに学んでいけるような「地域の大きな家」になることを願い、子育て支援センター、民生委員、小学校、PTA、保育園保護者会等により結成されました。熊本県の「子育て応援団事業」の補助を受け、運営を行っています。
約5,000m2の畑があり、子どもたちは、草を刈り、土をこね、何もない状態から、日々の世話を経て、昔ながらの方法で食品を加工・調理し、地域の食と文化を体験します。親も地域の熟練者たちから学び、地域の食と文化を継承する場所となっています。
生産された農産物や加工品は、毎月第3土曜日に開催される「くまちゃん市」(バザー)などで販売され、その余剰金を「ばあちゃんち」の運営費に当てています。子育て支援サービスの提供を受けている親子が、農産物や加工品の生産というサービスによって「ばあちゃんち」の活動経費を生み出している形になっており、できるだけ行政に頼らない活動が行われています。

 

うちの実家リンク
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「うちの実家」は40坪の空き家を活用した街角の茶の間。誰もが気軽にお茶飲みしたり、会話したり、ときには泊まることもできる地域に開かれた憩いの場です。高齢者を中心に1日平均20人、年間で延べ4200人もの人が訪れているそうです。隣近所同士でなにかあったときに「ちょっと助けに来て」と言えるような関係性の再構築に取り組んでいます。
①「昼の茶の間」
運営時間は平日午前10時~午後3時。参加費300円で、玄関のノートに名前を書き込めば誰でも参加できます。火曜日と金曜日は+300円で、ボランティアから無償提供された野菜などを使った昼食が用意されます。
②参加者の得技を生かした「新たな茶の間」
マッサージ店を営んでいた方が現役を引退し、「うちの実家」に通うことになったため、開設者の提案で毎週金曜日の「マッサージの茶の間」を開始。売上の1割は「うちの実家」に寄付されています。
③地域に開かれた「夜の茶の間」
「うちの実家」に宿泊できるサービスです、事前予約すれば2000円(食事なし)で宿泊できます。きっかけは、80代の女性2人の「泊まれる実家がほしい」というつぶやき。孤独を感じているお年寄りや心に病をもった人などが利用しています。
 
「うちの実家」が特に注目を集めているのは、「参加者自身が主役=自分達の場は自分達で作っていく」という参加者の主体性に立脚した場の運営にあります。また、参加者の役割充足や評価充足といった共認充足を生み出す仕組みが、場の中に上手く取り入れられていることも大きな特徴です。

 
○介護業界の枠を超える試み
 

大起エンゼルヘルプ:エンゼルカレッジリンク
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大起エンゼルヘルプでは、介護業界をリードする思考力・発信力のある次代を担う人材を組織内に広めるため、社内勉強会「エンゼルカレッジ」を行っています。15ヶ月間にわたる勉強会で、社内で有志を募って実施しています。
以下の社長の言葉からも、勉強会に対する意気込みが感じられます。
>業界の将来を担える人材となっていくために、自ら学び、考え、追求していく力をつけてもらいたい。学んだことは日々の仕事で活用・実践してほしい。そして、介護業界の枠に留まらず、業界の枠を超えて、広い視野を獲得してもらいたい。そのためのエンゼルカレッジであり、これを絶好の機会としてください。
 
現在はエンゼルカレッジの実施中であり、今後の成果が非常に楽しみです。

 
 
最後に簡単にまとめると、現在の介護問題は、都市化や近代思想の浸透による共同体の崩壊が根本問題です。そして、それに伴う官製市場化、非充足構造・高齢者の役割喪失がより直接的な問題として顕在化しています。
この問題構造を軸として今後の方向性を考えると、共同体の再生、事業としての成立、高齢者の役割創出が重要です。そして、この方向性は決して絵空事ではなく、上記の事例で示されるように、先進的な事業者は既に取り組み、実現していっています。このような事例に学び、拡大させていくことが、介護問題の解決につながります。
 
次回は、今回紹介した事例を、4事例に絞って詳しく紹介します。社会の期待に応える介護の実現可能性や方法論を、具体的に事例に学びながら明らかにしていきます。

 

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