2013年05月09日
『共同体経営とは?』総集編1 -共認原理の組織統合から、ネットワークを通じた社会統合へ-
こんにちは!
2012年10月からスタートし、約7ヶ月間にわたって続けてきた『共同体経営とは?』シリーズですが、とうとう千秋楽を迎えました。しかし、「これでおしまい」というのは何とももったいない!そこで、本シリーズが何を追求し、学び、その可能性を発信してきたのかを三回に分けてわかりやすくまとめてご紹介していきたいと思います!
ただ、まとめに入る前にちょっとだけおさらいしておきたいことがあります。本シリーズは、前シリーズの『企業の進むべき道』シリーズでの追求で得た可能性を軸に追求を深め、どうすれば実現できるのかを考えてきたシリーズである、ということです。そのため、『共同体経営とは?』シリーズを網羅的にまとめる内容ではありますが、前シリーズの流れを踏まえた上で読まれると更に理解の度合いが増すと思われます。
そこで、以下に前シリーズがどのような内容だったのか簡単にまとめて示したいと思います。
『企業の進むべき道』シリーズ構成
背 景:意識と場(制度)のズレという問題意識
目 的:大転換期を乗り切る新たな可能性基盤を構築していくこと
分析対象:日本の近代企業史(経済同友会・日本商工会議所・経団連・閨閥・労働三法etc.)
結 論:現実と乖離した市場拡大戦略の限界 → 企業を取り巻く力の構造
可 能 性:企業自らの生きる道の構築が必要になる
⇒企業の共同体化に取り組み、来るべき共同体社会の先導者として立上り、新しい
システムを構築する仕事に取り組むこと
『企業の進むべき道』シリーズ~総集編1~
『企業の進むべき道』シリーズ~総集編2~
以上の流れから、前シリーズで得た新たな可能性基盤の構築を目指した企業の共同体化の道しるべとして本シリーズはスタートしました。名残惜しくはありますが、本当に気づき・発見・学びの多い濃厚なシリーズになったと思います。
全25記事を三回に分け、わかりやすくまとめてご紹介します!
総集編1 プロローグ~共同体の歩んできた歴史(生物史・統合様式・日本的経営etc.)
総集編2 共同体企業の創出とそのシステム
総集編3 認識の発信~統合様式
どの記事も必見の内容です。そして、体系的に共同体経営について把握できる最良の記事になっています。ぜひぜひご一読いただければと思います。
そして、それぞれのまとめには記事のリンクがありますので、もっと知りたいor続きが気になるという方は元記事もぜひ読んでみてくださいね!
それでは、『共同体経営とは?』まとめ三部作スタートです!
0.新シリーズ『共同体経営とは?』~プロローグ
企業の進むべき次代の可能性は『企業の共同体化』!
(リンク)
「共同体」と聞いてイメージするのは以下のようなものではないでしょうか。
・英語のCommunity(コミュニティ)
・日本の村落共同体
・ドイツ語のGemeinschaft(ゲマインシャフト)etc…
こういった既存概念の共同体はもはや解体され尽くしたと言っていいでしょう。
最近では地域コミュニティの重要性など、コミュニティという言葉を良く耳にするようになりましたが、実は英語のCommunityはここでいう「共同体」とはもっとも遠い位置に存在します。(気になる続きはリンク先を参照)
えっじゃあ「共同体」って一体何?と不思議に思うかも知れません。
その辺りを鮮明にするために生物史にまで遡って徹底的に「共同体」を明らかにしていきます。そして企業の体制改革や業態革命の可能性が大きく切り拓かれ、今企業が進むべき道が「共同体化」であることが強く意識されることでしょう!
1.遺伝子の共同体
共同性の起源は生命の起源そのもの
(リンク)
全ての生物は、共生体・共同体=群れとして存在しています。これは、生物を構成する遺伝子レベルであっても同様で、遺伝子は単独で働くのではなく、他の遺伝子と協同することで生命体が維持されます。そして他の遺伝子と適応できない遺伝子は淘汰されていきます。
つまり、遺伝子全体が共同体的適応を行うことで存在し、種として存続しているということが導き出されます。これはすなわち共同性の起源は、生命の起源そのもの!と捉えることができるのです。
遺伝子が共同体だということは、一見、企業経営には関係ないように感じます。
しかし「共同体こそが生命そのものである」ということは、共同体企業においては多くのことを生物の歴史に学ぶことができるということなのです!
2.群れの持つ意味を探る
生物の進化の歴史は”群れの歴史=統合様式の積み重ね”
(リンク)
始原生命である原核細胞を起点に、生物に対する外圧が、自然外圧(自然環境の大変化)→ 個間圧力(同種間の闘争)へと変化していく中で、生物は常に「群れ」をなすことでそれらに適応し、存続してきました。
その「群れ」が、生き残るために統合された組織だと考えれば、「群れ」のあり方=統合様式と捉えることができます。こうして生物は細胞のレベルから外圧に対して群れ=統合様式を階層的に塗り重ねていくことで、適応・進化(=階層進化)してきたのです。
この階層進化は=新パラダイムの到来・獲得に他なりません。
私たちが最近よく耳にするパラダイム・シフトという言葉も、生物史を紐解いて見れば、「生物の進化メカニズムの基底的な構造や摂理のひとつ」と捉えなおすことができるのです!
3.人類の統合様式共認原理
人類の歴史、約500万年のうち99.9%は共認原理で統合されていた
(リンク)
500万年前、アフリカで誕生した人類は、サルと異なり、樹上に棲む能力を失ったことで、想像を絶する自然外圧力・外敵圧力に晒されました。
そこで人類は、サル時代に獲得した「相手と同化することによって充足を得る機能」(=共認機能)だけを武器として、『みんなで課題を共に認め合い、役割や規範や方針を共に認め合うこと』で適応していきました。
極限時代から500万年の歴史を経て受け継がれてきた共認機能により、自然にも相手にも感謝し、分かり合うこと・認め合うことで、奇跡的に生き延びてきたのです。
現代では、争うことが人間の本能のように扱われています。しかしそんな時代は人類史の中では、0.1%にも満たない期間です。そうした人類の根本規範を考えれば、これからの社会や企業を統合するものが何か?ということが見えてくるのではないでしょうか。
それこそが、人類史のほぼ全てを統合してきた共認原理に他ならないのです!
4.人類の統合様式 私権原理・序列原理
新しい共認統合の時代へ
(リンク)
自然外圧の違いから採集生産と狩猟生産が生まれ、狩猟生産の中から牧畜と遊牧という生産様式の違いが生まれました。この違いによって人の意識構造にも差が生まれるようになります。これが略奪戦争→私権統合による国家形成へと繋がっていくのです。
国家とは、つまりは私有権の獲得を目指して互いに争い、私権によって統治された社会です。これが時代を経て、万人が私権拡大の可能性を得、欲望を増幅させる時代=市場社会を生み出しました。
この時に重要なポイントは私権圧力を生じさせるには「飢餓≒貧困の圧力」が必要だということです。
現在、市場社会は縮小の一途をたどっています。市場が縮小するのはなぜなのでしょう?
・少子高齢化?
・人口減少?
・物余り?
・グローバル経済の発展?
どれも必要条件ではあっても十分条件ではありません。
その根本原因は、先に述べた貧困の消滅です。貧困が消滅する(=豊かになる)と必死にお金を稼ぎ、より利便性や快美性を求めるという物的欠乏は衰弱していきます。ゆえに、豊かさの実現と共に市場は縮小すると共に、私権圧力は機能しなくなるのです。
では今後人々は何を求めるのでしょうか?それは、人類本来持っていた共認充足であり、時代は「飢餓の圧力」のない、新しい共認統合の時代を迎えることになるのです。
5-1. 日本の村落共同体とは?主体性の高い集団自治
「主体性の高い集団自治」が「自分たちの生きる場を自分たちで創る」!
(リンク)
江戸時代の村落共同体は、独自の領域と住民を持ち、限定的な法(村定)を制定し、罰金を行使できるなど自治的行政組織を持つといった主体性の高い集団自治を行っていました。
これは「自分たちの生きる場を自分で創る」という考え方の実践とも言えます。
この村落共同体から学ぶべき真の本質とは一体何だったのでしょうか。
それは「ゆりかごから墓場まで」を、村をあげて見守る体制そのものです。つまり、企業共同体を形成して存続させる際に、最も必要なことは、この村落共同体に学ぶ、「主体性の高い集団自治」と言えるでしょう。
5-2.日本の村落共同体とは?闘争と生殖を包摂した集団
みんなで育てる集団の存続
(リンク)
日本の村落共同体は「職場と家庭が包摂された集団!」
村落共同体において特徴的なものに、「育児の共同性」があります。母親たちは自分の子どもが一番、という自我を抑え、手の空いた母親が誰の子どもでも世話をするといった共同性が存在したのです。
これは真の共同生活を確保するためには、女たちの育児の共同性にまで及ばなければならないということを示唆しています。
現代のように、家庭と職場という、それぞれが別の場所に分断された形は、近代以降に形成された特殊な形です。かつての日本の村落共同体では、基本単位は家族ではなく、自治集団に置かれていました。そしてこの集団を形作る基本構造(成立条件)は、「闘争(職場)と生殖(家庭)を包摂した集団」だったのです。
では、現代社会における生産体としての集団は何でしょうか?もちろん村落共同体ではありません。
それが「企業」なのです。
6.日本的経営とは~特徴と歴史~
日本的経営に見られる日本人の本源性 (民族性)こそが共認時代を実現させていく実現基盤!
(リンク)
一般的な日本的経営とは
・三種の神器と言われる「終身雇用」、「年功序列」、「企業内労働組合」や
・「談合と護送船団方式」「おもてなしの精神」
などがあります。
これらは日本人の底流に、生命誕生から村落共同体を経て積み重ねられてきた「本源性(民族性)」があったからこそ、実現されてきた歴史があったのです。
ところが、豊かさが実現した現代における「日本的経営」は、本来の日本人らしさとはずいぶんかけ離れた手法となり、欧米型の経営手法にどんどん取って変わられつつあります。
しかし、成果主義を基盤とし、短期的な志向で「欧米型」を取り入れた企業の多くは崩壊し、社員の活力は衰弱していることはもはや周知の事実でしょう。では、これから企業のあり方を考える上で必要なこととは一体何でしょうか。
飢餓・貧困の圧力を下敷きにした絶対的な「私権圧力」が働いていた時代にあっても、「共認」を紐帯にして外圧に適応し豊かさを実現してきたかつての日本。この点が、まぎれもなく日本企業の特異点であり、日本人の本源性です。
そして、この本源性こそが、閉塞している社会を突破し「共認時代」を実現させていく実現基盤に他ならないのです!
今回はココまで。
共同体の歩んできた歴史を生物史から振り返り、共同体が持つ意味とその統合様式の変遷が明らかになってきました。次回記事からは、いよいよ共同体企業の事例をご紹介していきます。
それでは、お楽しみに
- posted by asato at : 19:52 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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