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2013年09月05日

大企業とはいかなる存在か?(前編)~連続する不祥事、大企業の実態は?~

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全世代的にモノをあまり買わなった上に、少子高齢化が進み、国内市場は縮小を続けています。そのような中、成長を至上命題とする大企業は、こぞって「グローバル化」や「海外進出」へと舵を切っています。また、政府はエコポイントやエコカー補助金、現在議論されている法人権の減税など、次々と大企業優遇政策を採っています。
しかし、連日の大リストラや大赤字のニュースが示しているように、経営状態は一向によくならず、どんどん悪化しているようです。誰もが知っているような大企業が倒産に追い込まれることさえ、あり得る状況です。
一昔前は、大企業は「安定している」「安心できる」といった安定神話がありましたが、現状を冷静に見れば、もはや神話は過去の話となっています。大企業にも、明らかに時代の大きな波が迫っています。
就職活動でも、未だに大企業は学生に人気ですが、大企業で働く親が子供に大企業には就職しないようにすすめるなど、これまでとは違った事例もでてきているようです。
第一シリーズでは、「近年の大企業に関する問題」から「大企業の置かれている状況・実態:大企業病」を、以下の4つの分類に分けて探っていきます!
・信じられないようなミス・隠蔽系!!
・誰も会社のことを考えない無責任系!
・自分たちさえ良ければいい系!
・劣悪な職場環境系!

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●信じられないようなミス・隠蔽系!!

①みずほ銀行:「義援金口座のシステムがパンク!30ものミスが重なって大問題化!!」
 
【不祥事概要】
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)直後の2011年(平成23年)3月15日未明、特定口座への振り込み件数が設定上限数を超えたことにより夜間バッチ処理が予定時刻の朝5時までに終わらず、約38万件の処理が積み残された。
これによりオンラインシステムの起動が遅れたことに端を発し、大規模なシステムトラブルへと発展した。ATMの一部が使用できなくなり、さらに処理の積み残しが増えていくという悪循環に陥り、17日にはシステムがダウン。ピーク時には116万件(約8296億円)の未処理取引が発生した。(リンク
 
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【原因】 「根本は組織の構造的問題!人的ミスという捉え方が問題を肥大化させる!」
問題に至る直接的なミスは、義援金口座を格納できる取引明細の上限値が小さい「個人・通帳口」に間違って設定していたこと、システム担当者が夜間バッチの処理上限値の存在を知らなかったことなどの「人的ミス」でした。
しかしそれ以前に、このシステムは23年間も前に構築され、一度も見直されずに使われてきています。同時に、システム全体を見渡せる後継者を育成せず、合併やそれに伴う人事異動で、見かけ上問題なく稼動しているシステムの維持には優秀な担当者を配置しませんでした。ミスが30も重なって大きな問題となっていることが示しているように、組織としての体制問題(圧力形成の問題)が、「人的ミス」を肥大化させ、大きな問題へとつながったことは明らかです。今回の件で組織的な対応の遅れが問題を大きくしたこと、大きなシステム障害が2002年にも起こっていることも、体制的な問題であることを示唆しています。
問題を「人的ミス」に矮小化している限りは、同様の問題はいつでも起こり得ます。組織の構造的問題として捉え、組織的な解決を図る必要があります。
 
参考:リンク

②トヨタ自動車:「3年連続リコール率100%以上・・・!!」
 
トヨタの欠陥車率が100%を超えている。売っている台数よりも、リコール届出で回収・修理しなければならない欠陥台数のほうが多いという異常な状態が、2004年から3年間連続。その後も、2009年から2012年の三年間平均では軽々とリコール率100%を超えます。中小企業なら即倒産してしまうような、あり得ないミスの連続です。
 
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この問題の背景には、売上確保のためには、真新しい製品を次々と市場に送り続けなければならないという市場社会の歪んだ構造があります。これは、トヨタに限らず、製造業全般、特に大企業に共通する構造であり、市場競争の行き着く先とも言えます。しかし、このような状態は、「ものづくり」の精神からは大きくかけ離れてしまっており、企業の社会的役割・価値に関わる問題として捉える必要があります。

③伊藤ハム:「商品に有害物質が混入。公表まで一ヶ月も隠蔽!」
 
シアン化合物を含んだ井戸水を使って製造した製品を流通させてしまい、自主回収。大きな問題点は、検出から公表まで1ヶ月近くもかかったこと。さらに後日も、伊藤ハムが製造した製品で異臭や味がおかしいといった問題が連続して発生しました。

 
 
●誰も会社のことを考えない、無責任系!

①JAL:「日本を代表する大企業JALが破綻、2兆の負債!!」
 
【概要】
2010年、日本を代表する航空会社であるJALが破綻。グループの従業員4万7千人、売上2兆円、金融機関を除く事業会社としては史上最大規模の破綻となった。負債総額は2兆3222億円。
なぜ破綻してしまったのか?それは大企業特有の「無責任病」が原因であった。
 
【原因】「経営者も社員も会社の経営よりも自分の利益、自分の給料!」
JALは、天下り役員などによる無責任経営、7つもの労働組合の存在、特にパイロット組合の強権による人件費や経費の高騰などで、信じられない経営体質の会社になっていました。それでも役員達は高額の報酬と莫大な賞与を貪り続け、経営状況が年々深刻化していったのです。
労働組合は一般的な会社では普通の場合1組織ですが、JALには最終的に7組合が存在し夫々が勝手に活動していました。組合長は会社の利益や存続にはまるで興味を示さず、待遇改善を声高に叫び他の組合員を罵り、密告し本来の会社運営とはほど遠い組織になってしまっていたのです。
 
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JALの経営がいかにずさんなものだったかは、その後の稲盛和夫氏による経営再建の過程を見ても明らかです。稲盛氏が行ったことは、大きくは、①フィロソフィの浸透、②月次決算の迅速な把握、③部門別の(日々の)採算管理の徹底、の3つです。もちろん、稲盛氏の類まれな手腕があっての再建ですが、それだけで短期間に経営の建て直しができたというのは、それまでの経営のいい加減さを表しているとも言えます。

②某大手電機メーカー:「お互いの粗探し、責任のなすりつけ合い、不毛なセクショナリズム」
 
生産技術部は、機器開発部が開発したものを安定量産する部門。その技術部が開発部の設計の粗探しばかりした結果、時間だけが無為に過ぎてしまい、なんと発表そのものを大幅に遅らせてしまいました。この一件によって、互いの信頼関係が崩れたのは当然のことながら、両部門とも営業の信頼すら失い、さらに技術部は反省する素振りもなく、量産時に問題が発生した際にも「設計に原因がある」と豪語し、責任を設計部になすりつけてきました。(リンク

 
 
●自分たちさえ良ければいい系!

①野村証券:「“業界のガリバー”による、組織ぐるみの自己中犯罪」
 
2012年、複数のインサイダー問題で、野村證券がインサイダー情報を他社に流していたことが発覚。
当初は、金融庁・証券取引等監視委員会から事件の一角を担っていたと指摘されながら、まったく認めようとせず、一人の営業担当の個人的行為に過ぎないと弁明。しかし、社外の弁護士などで構成される調査委員会による調査で組織ぐるみの不正が判明。「手段を選ばない営業姿勢」や「法人情報を顧客に提供して売買の勧誘を行っていた」ことなどが指摘された。
野村證券が直接インサイダー取引を行っていたわけではないが、引き受け部隊(シンジケート部)が投資家に人気の株式を仕込むことができれば、販売部隊(営業部)は楽に売れる。調査委員会の指摘にもあるように、インサイダー情報を使って販売部隊の仕事を楽に拡大し、さらに引き受け部隊の仕事をも楽にするという、相乗効果によるビジネス拡大を行っていた。
 
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【原因】「異常な特権意識にもとづく、組織ぐるみの詐欺行為」
野村證券に限らず、大手証券会社からの情報漏洩によるインサイダー取引は続発しており、大手証券会社に共通する原因構造があると考えるのが妥当でしょう。
現在の法律では、情報を漏洩させただけでは直接罰する規定がないという法律上の問題もありますが、より根本的な問題として捉える必要があります。インサイダー取引とは、投資判断に重要な影響を及ぼすような、会社の内部者情報に接する立場にいる人間と、一般の投資家の不公平を生じさせないための最低限のルールです。インサイダー取引による証券取引は、詐欺行為以外の何者でもありません
それにもかかわらず、組織ぐるみでインサイダーに加担するという精神構造は、自分たちを、一般投資家とは異なる特別な存在であるとする、異常な特権意識に他なりません。

②朝日新聞:「自分の書いたシナリオのためなら捏造もする、マスコミの異常な特権意識」
 
1989年、沖縄県西表島において、朝日新聞社のカメラマンが珊瑚に傷をつけ、その写真をもとに新聞記事を捏造しました。
記事では、ダイバーによって付けられた「K・Y」という落書き(傷)を発見した、とした。その上で、「100年単位で育ってきたものを瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の」「80年代の日本人の記念碑となるに違いない」と書いたのです。
しかし、地元ダイバー組合が抗議。朝日新聞は、一度はごまかしの回答をしましたが、最終的には自社のカメラマンが無傷だった珊瑚に傷を付けたことを認めました。朝日新聞は当時、自然破壊と環境破壊に対するキャンペーン記事を掲載していたにもかかわらず、正反対の行為を自ら行っていたことになります。しかも、捏造写真を使い、日本人全体への反省を求めているという傲慢さ。世論をつくり出すものとしての、異常な特権意識が如実に表れています。

③コジマ:「リサイクル料金を返せ!詐欺行為だ!」
 
消費者から回収した廃棄家電製品7万台以上が製造業者に引き渡されていなかったとして、環境省及び経済産業省から家電リサイクル法違反による改善勧告を受けました。リサイクル料金を顧客から受け取りながら、正しくリサイクルを行わず、横流しを行っていた可能性が高いとのことでした。お客様に対する詐欺行為です。

  
  
●劣悪な職場環境系!

①パナソニック:「1年で1割以上の社員をリストラ!それにもかかわらず経営陣は18億の退職金!!」
 
パナソニックは、2012年度の1年間で3.6万人(全社員の1割以上)のリストラを断行しており、まだまだリストラを断行し続けるようです。
そのやり方が、少し前に話題になった「追い出し部屋」。その実態は、

おもな仕事は、ほかの部署への「応援」だ。「要請があれば駆けつけて、製品を梱包(こんぽう)する単純作業などをこなす」。応援要請がないと、することはほとんどなく、終業時間が来るのを待つしかない。(朝日新聞)

初めての「応援」は、携帯電話の箱詰め作業。他工場から持ってきたベルトコンベヤーの横に並び、30秒に1個、流れてくる携帯電話を段ボール箱に詰める。これまでは主に非正規の社員がやっていた仕事だった。(朝日新聞)

というもの。リストラ対象となった社員は、上司からリストラに応じるか追い出し部屋に行くのか二択を迫られるとのことで、実質的には強制的なリストラということになります。
そもそも、なぜ今、リストラが必要になっているかといえば、巨額の投資失敗による業績の悪化が原因。つまり、経営者の責任です。そこからの経営再建戦略が、リストラ頼みということです。しかもその挙句に、2012年度に退任した取締役4人に対しては、退職慰労金が総額18億5500万円も支払われています。パナソニックでは、社員の人件費は強制的に削減しておきながら、自らは多額の「慰労金」を受け取ることがまかり通っているのです。
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画像はリンクより

  
  
●東電:あらゆる大企業病を内包、もはや末期症状

原発事故以来、様々な問題が明るみに出ている東京電力ですが、まさに大企業病の典型です。最近の問題でも、以下のようなものがあります。

○汚染水漏れ口を2年超放置 福島第一、対策発表の一方で
福島第一原発の放射能汚染水流出について、東京電力が事故直後の2011年4月、流出元の建屋と地下坑道の間の「遮断」を防止策として公表しながら、2年以上、建屋の漏れ口をふさがずに放置していたことが分かった。今夏、汚染水が海へ漏れていることが判明し、ようやく遮断工事の試験の準備に入った。対応の遅れが汚染拡大を招いた可能性が高い。(リンク

“夢のエネルギー”“無限のエネルギー源”“電力メーターが不要!電気料金がタダ同然になる?!”“石油代替エネルギー”…などと、歯の浮くような美辞麗句を並べ立て宣伝されてきた原子力。日本の原発は1966年茨城県東海村(日本原電東海発電所)で初めて電気を起こして以来約30年、国内需要のおよそ1/3(電力会社の宣伝)を賄うまでになった。
しかし311の事故以降、原子力発電が低コストな理由は、膨大な国家財政投入を覆い隠してつくられた虚構であることが明らかになるとともに、原発の発電コストには、事故の際の損害賠償費用は含まれていないために、重大事故が起きれば、他の電源と比べものにならない巨額な費用がかかることが明白になりました。
「原子力村」の利権構造をつくり出し、莫大な利益を上げておきながら、事故対応には税金投入を要請。しかも、事故後も嘘をつき続け、自らの犯した多大なミスや都合の悪いデータは、未だにことごとく隠蔽しています。自らは責任を取ろうとせず、保身だけを考えている姿は、大企業病の末期症状と言えるのではないでしょうか。

  
  
上記は氷山の一角。他にも着服、粉飾決算、偽装、脅し、税金逃れなど、不正や不祥事がごろごろと転がっています。公にでていない不祥事をあげると、きりがないほどあふれています。中小企業であれば、倒産してしまうような不祥事も、大企業は隠蔽を繰り返し、どこかで蓄積しているように思います。
このように、大企業病は相当に深刻な状況です。冒頭で紹介した大企業で働く親が子供に大企業をすすめないというのもわかる気がします。
 
では、なぜこのような不祥事が起きてしまうのか?不祥事をおこしたことをなぜ隠蔽するのか?
次のシリーズでは、なぜ大企業が「大企業病」になってしまうのか、原因構造を解明します!!

 

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[…] としての」成果に直結することを感じ取るのです。だからこそ、大企業病(http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2013/09/001612.html)になることもなく、会社全体で追求を楽しめる風土が形成されてきます […][続きを読む]

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