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2014年06月03日

企業の『追求力』を高めるには?-2- ものづくりに求められる追求とは?

堀場

前回記事「企業の『追求力』を高めるには?-1- なぜ「追求力の時代」なのか?」では、企業にとって、生き残りという危機の突破口としても、また新たな充足→活力源としても「追求力」が最先端の価値として登場していることが明らかになりました。

 

今回は、ものづくり系の企業を中心に、これから求められる追求力の中身と、追求力を高める仕組みを考察します。

製造業は、アベノミクスの恩恵を受け、業績が回復しているともいわれていますが、大きく捉えれば、明らかに下降線をたどっています。実際、メーカー各社の厳しい状況は、マスコミ等でも報道されています。ソニーは業績の悪化から建設間もない自社ビルを売却し、PC事業を譲渡、パナソニックは次々とリストラを断行してようやく黒字化など、先行きには不安が残ります。

しかし、そのような厳しい情勢においても、追求力を武器に、アベノミクス以前から安定的な経営を続けている企業もあります。業績が低迷している企業との違いは何か、そして、製造業に求められる追求とはどのようなものかを以下の流れで明らかにしたいと思います。

 

1.追求力の高い企業の事例

2.事例に学ぶ、追求力を高める仕組み

3.社会的な期待の変化と求められる追求力

4.まとめ

 

まずは、うまくいっている企業のポイントを把握し、事例から学びます。

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1.追求力の高い企業の事例

○ マニー http://www.mani.co.jp/index.html

マニー

東京から100キロ離れた栃木県・宇都宮市。ここにある「マニー」という名のメーカーをご存知か?
手がけるのは、名医もうなる「手術針」。国内シェアは9割。世界120カ国の医者たちから圧倒的な支持を得ている。
さらに驚くのは、売上高に占める営業利益率。デフレの勝ち組といわれるユニクロやニトリ、楽天でさえ10%台の中、マニーは約40%!なぜ栃木の田舎企業が、世界に冠たる地位を築けたのか?

 

◎ マニーが世界の医者から信頼される理由

年々高度になる外科手術。人の命を預かる特殊な世界の要求に、マニーは応え続けてきた。その結果、1万種類もの手術針を揃え、その全てが“世界一”の品質を目指してつくられている。わずか数ミリの極小針でも、針先の滑りの良さを徹底追求。体内を傷つけない丸みを帯びた加工法など、その微細加工では他社の追随を許さない。さらに、針一本一本、全品を目視でチェックしているのだ。そして、極めつけが年に2回開かれる「世界一か否か会議」。他社製品も分析して、自社製品が世界一かどうかを判断するのだ。そこで認められなければ、発売中止も辞さない。そのこだわりが世界中の医者から信頼され、手術の質向上に貢献している。松谷は言う「世界一の品質を実現すれば、自ら営業しなくても売れていく。」

◎ すべては、針金から生まれた

マニーの商品は、手術針だけではない。歯医者で、歯の根管治療に使われる「リーマ・ファイル」、現在急増している白内障手術で使う「眼科ナイフ」などがある。これらの商品に共通しているのは、針金でできていること。実は、マニーが驚異の利益を生み出す秘密がここにあった。針金の材料費が、売り上げに占める割合は、何と約1%。針金を徹底的に磨き上げ、独創的な加工技術で価値を100倍にも高めているのだ。

 

出典:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20100125.html

○ 浜松ホトニクス https://www.hamamatsu.com/jp/ja/index.html

浜松ホトニクス

ヒッグス粒子の発見を成し遂げたハイテクセンサーや、ニュートリノ観測の決め手となった光電子増倍管を作る「ノーベル賞学者御用達企業」浜松ホトニクス。光の粒子・フォトンの可能性にいち早く気づき、世界で何処も真似を出来ない高い技術力を武器に、売上げ1000億円を稼ぐ知られざるスーパー企業。その人類の「未知未踏」に挑むことを理念とした、異色の企業戦略に迫る。

 

・「社是」は「PHOTON IS OUR BUSINESS(光は我々の仕事)」

・経営理念は「人類未知未踏の追求」

・常に組織の枠を超えて、柔軟に発想しなければなりません。よって当社の部・課名称はあえて数字にしているのです。

社員たちに収支報告書の提出を義務付けている。最先端の研究を続けながら、コスト管理を徹底する。

・売上高に対する営業利益の比率(営業利益率)は20%に迫る。国内電機メーカーの多くが数%にとどまる中で、利益率は群を抜く。

もうけの半分以上は、研究開発につぎ込む。「まねしたものは必ずまねされる」との考えから、世界最先端の技術を追い続ける。

・成果主義は原則導入しない。「どんな成果も先人が積み上げた物があるから到達できる。一人の手柄ではない」から

・地位や名誉、高報酬よりも、好きな研究を続けられることが幸せと、心から感じている社員が多い

 

出典:http://matome.naver.jp/odai/2138781414421812401

○ 堀場製作所 http://www.horiba.com/jp/

おもしろおかしく

「おもしろおかしく」の精神で、自動車産業などの最先端開発を陰で支える企業がある。京都に本社を置く分析機器メーカーの堀場製作所だ。2006年12月期、連結売り上げ1160億円、営業利益117億円と過去最高を記録した堀場製作所の稼ぎ頭は、世界シェア80%を誇る自動車の排ガス測定装置。事実上の業界標準となり、新車のエンジン開発には不可欠なものとして、世界中の大手自動車メーカーから注目を集めている。創業者は堀場雅夫。 1945年、京大在学中に会社をつくった元祖学生ベンチャーである。
そしてこの会社の社是が「おもしろ、おかしく」。堀場は「仕事は本当に一生懸命取り組めば面白くなる。それでもイヤなら辞めろ」という思いをこめた。一方で会社は、社員が「おもしろ、おかしく」働ける環境を整えている。堀場では毎月1回社員のための誕生会を開いている。社内で開かれるパーティーは別世界、誕生日を迎えた社員はみなドレスコードでやってくる。このほかにも「育児をしながら働きたい」「自分の時間がもっとほしい」「英会話学校に通いたい」などなど様々な社員のわがままを聞いて、結果、会社の業績を伸ばす。
「大企業の効率と中小企業のつながりをミックスさせたら最高の経営」
「人生の大半を過ごす会社を面白くして、社員のやる気を引き出す」

 

出典:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20070312.html

 

○ 名南製作所 http://www.meinan.co.jp/

名南製作所

愛知県の木工機械メーカーである『名南製作所』は、物理の基本原則が物づくりや経営、企業活動などすべてに通じることを直感し、【f=ma】を社是に掲げる会社。

そ の活動は非常にユニークで、毎週月曜日の朝8時から正午までの4時間全社員で物理勉強会をやったり、給与を全社員で相互評価して決めたり、役員の選出も入 社5年目以上の中堅社員が株主となって投票して決めるなどがある。上記のような取り組みの結果、社長から特に「利益を上げよ」と言わなくても、自主的な経 営で50年以上黒字経営を続けている。

 

◆事実認識の浸透 ~物理勉強会~
名南製作所には、社員全員が参加する「物理勉強会」がある。創業10周年(昭和42年)を機に、長谷川氏の声かけで毎週月曜日 朝8時~12時で行われることになった。この勉強会は、現在も、場所と時間は違うものの続けられている。
最初は、有志の勉強会としてスタートして、手ごたえをつかんでから全員参加に切り替えた。とはいっても、一番忙しい月曜日の朝から4時間も物理の勉強をするのだから、最初はなかなか浸透しないし、反発する人もいたよう。
しかし、長谷川氏は、「物理はサイン・コサインや公式や計算ではない。物理は人間形成のためにやるのだといい、普遍的なものを学び合い、心の訓練をし、ま ちがいのない者には自由で平等にならざるを得ないし、先輩だから、上司だからと押し付けられない、みんな素直にならざるを得ないのだ」と強調し続けたとい う。
長谷川氏曰く「こうして、みんなが同じ勉強をし、共通の言葉ができると、新しい機械、新しい仕事に一様に取り組むことができるようになる。ぬけがけもなくなるし、正しいことが受け入れられぬこともなくなり、際限のない生きがいの探求ができるようになったのである。」

 

出典:http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2012/02/001249.html

 

2.事例に学ぶ、追求力を高める仕組み

◆追求の目的意識が社会的な意義に基づいている

これらの事例に共通する、旧来の企業との根本的な違いは、企業としての追求の目的意識にあります。

市場社会の枠組みから言えば、根本的には企業は利益の追求主体であり、企業の追求の目的意識は「利益の最大化」です。だからこそ、いわゆる製造業大手は、消費者の快美(快適さや便利さ)欠乏をもとにした巨大なマーケットを対象としてきました。そしてモノが行き渡って消費が停滞すると、CM等で消費者の欠乏を過剰に刺激(洗脳)し、それでも売れなくなるとグローバルな市場へと対象を広げてきました。同時に、利益を最大化するための効率化や合理化こそが至上とされ、環境を破壊してでも食品を汚染してでもとにかく製品を次々に売り、市場規模を拡大してきました。

しかし、上記の企業群は、目先の利益だけに囚われず、「本当にいいもの」を徹底的に追求するという特徴を持っています。「本当にいいもの」とは、相手の充足を生み出し、さらには社会的な意義へとつながるものづくりです。それを突き詰めれば、徹底的に自然の摂理に同化した技術の追求ということになります。これは、経済(市場競争)が全てという企業のありようとは異なる企業像・立ち位置を確立しつつあると言えます。

この、根本にある目的意識の違いが、以下のようなさまざまな違いを生み出しています。

 

◆顧客は消費者ではなく、ともに追求するパートナー

大きな特徴のひとつは、顧客が生産者・追求者であるということです。

製造業大手が対象としている大衆消費財は、モノ不足の時代・地域であれば売るのは容易いですが、豊かになるとともに技術的に一定の品質に達すると、大きな差がつかなくなります。快美欠乏を対象とする商品は、欠乏さえ満たせればよく、それ以上の機能・品質は、本質的にはどうでもいい。そうなれば、残るのはどちらがより安く販売できるか、という競争になります。それが現状です。

一方で、紹介した企業は、目的意識を同じくしてともに追求できるパートナーを対象にしています。消費者は文字通り消費して終わりですが、顧客が追求パートナーであるが故に、その技術の追求には終わりがなく、さらによいものへと飽くなき追求が求められます。この場合、大衆消費財とは異なり、製品の質とそれを生み出す技術力には、常に明確な差が発生します。圧倒的な技術力こそが評価指標となり、価格はその質に応じて決定されます。だからこそ、企業としての利益も確保できるのです。

さらに、市場社会における取引関係ではない「パートナー」であるため、その関係性は互いに追求意欲をかき立て、更なる追求へと向かう活力ともなっています。

 

◆製品化の判断軸は、責任を持っていいものが提供できるか否か

利益を最大化しようとする旧来の企業にとって、製品化するか否かの判断軸は、「儲かるか否か」でした。だから、儲かる製品であればなんでも手を出し、商品のラインナップを拡大→需要が変化し、採算が悪化すると中止や売却といったことを繰り返してきました。

上記の企業も、当然その軸も持っているが、それ以上に「パートナー」に対して「責任(自信)をもっていいものが提供できるか否か」を判断軸として製品開発や製品化の判断を行っています。だからこそ、社員には常に徹底した追求が求められ、同時に、そのことが社員の自社に対する誇りや愛着を生み、追求へのモチベーションを高めています。

 

◆製造は研究開発と一体、だから自社生産

製造大手企業においては、採算の向上のため、製造を下請けにやらせ、そこから利益を搾り取るという構造が一般的です。国内の人件費が高いと見るやグローバル化という名目で生産拠点を海外に移転し、その後移転先の人件費が高騰してくるとさらに別の国へ、ということを繰り返します。この構造は必然的に低価格競争を生み出し、結果的に自らの首を絞めることになります。冷静に考えれば、すでにその実態は製造業というよりもマーケティングやマネジメント組織であり、ものづくりに対するプライドや本当にいいものへの追求意欲は生まれようもない構造にあります。

それに対し、徹底した追求を続けようとすれば、製造の現場との密な連携が不可欠になります。そのため、必然的に製造は自社、もしくはグループ企業で行うことになります。そのことが、日本人の特性とも相まって製品の品質を維持・向上させ、顧客からの信頼につながり、低価格競争とはまったく別の、製品そのものに対する評価競争となります。

 

◆社員が追求を楽しめる風土の醸成

堀場

画像はhttp://recruit.horiba.com/about/culture.htmlよりお借りしました。

 

上記の違いをはじめとする目的意識の違いは、組織体制にも表れています。製造業大手のような、市場競争のために最も効率的な体制ではなく、社員の追求力を引き上げるために最適な体制、つまり、より意識生産的な体制となっています。徹底した追求は、一人では到底できるものではなく、仲間の存在を必要とします。追求範囲が広がり、深まるほどともに追求する「仲間」の範囲も拡がり、組織全体への関心、当事者意識も高まります。それが「組織としての」成果に直結することを感じ取るのです。だからこそ、大企業病(http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2013/09/001612.html)になることもなく、会社全体で追求を楽しめる風土が形成されてきます。そして、仕事における真っ当な評価共認を形成するとともに、その評価は目先的な利益に留まらず、仲間の活力・追求力を引き上げる働きにも同等の評価がなされることになります。

3.社会的な期待の変化と求められる追求力

このような仕組みが機能するようになった背景には、意識潮流の変化があります。

誰もが私権(金、地位etc.)に収束していた時代であれば、このような仕組みは成立し得なかったでしょう。しかし現在、豊かになったことで物欲が衰弱し、社会的な期待は共認充足を高めること、例えば人間関係、安全・安心、環境共生などへとシフトしています。さらに、3.11を契機に、自分たちの生きる場を自分たちでつくっていく、「自給志向」の意識が急速に高まっています。

このような状況下では、社員も取引先も、利益という目的だけでは動かないし、動けません。相手の、社会の期待に応えることができるという実感と、社会的な目的意識が追求力の原動力となります。だからこそ、企業にとしての目的意識やそれを実現するための体制が、成果を分けるポイントとなっているのです。

 

また、3.11は、これまで万能であり、どこまでも追求すべきことと感じられていた科学技術に対する疑いを生み出しています。自然の摂理には抗えないという感覚、もしくは自然を科学技術で押さえ込もうとする傲慢さに対する違和感です。

科学技術の追求の根本は、自らが他(人、自然etc.)を支配しようとする精神にあります。「発明」や「開発」による直接的な支配、もしくはそれによって得た私権で支配することです。戦争が科学技術を発達させ、市場が科学技術を世界中に広げた事実が、これを証明しています。

その帰結が原発や遺伝子組み換え作物などです。科学は、過剰な万能感から、ついにまったくコントロールできない領域にまで手を出してしまったのです。これを安全「神話」をつくり出してまで推し進めてきたのですが、それも崩壊しました。もはやごまかしきれない段階にきています。

そうなれば、今後の追求の方向性は、自然を支配する技術ではなく、自然の摂理に則り、自然と共生する技術。人より優位に立つ製品ではなく、充足を分かち合い、広げる製品となるでしょう。

 

この潮流は、今後ますます広がっていきます。そして、それに伴い、企業間の追求力→評価の差は拡大します。企業の転換は急務といえるでしょう。

 

4.まとめ

根本は、企業としての目的意識です。何のための追求か。その方向性が社会的な期待と合致しているから追求は深まり、追求意欲も継続するのです。自給期待の高まりなど、企業としての追求力を高める基盤はすでに整っています。その潮流を具体的なかたちとして顕現させ、新たな可能性を実現できるかが、企業に問われていると言えるのではないでしょうか。

 

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