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2014年06月05日

第3回次世代戦略研究会「市場とは?お金とは何か?」その2

01

皆さん、こんにちは。今日の記事は、第3回次世代戦略研究会「市場とは?お金とは何か?」の議論のレポートです。
前回 は、なぜこのようなテーマを設定したのか、というお話をしました。

アベノミクス、東京五輪など一見すると景気の良いニュースが報道されていますが、私たち庶民の中でそれを手放しで喜んでいる人はどれほどいるでしょうか。バブル崩壊やリーマンショック・・・経済の短期的な栄枯盛衰に少なからず翻弄されてきた私たちには、東京五輪も一過性の経済効果しか生まないであろうことが見えてしまいます。

今の市場経済、市場のシステムでは展望は開けない」。そのように直感する人は少なくないでしょう。ならば、もう、人任せにしない自ら学んで経済という課題(問題)に対峙できるようになる。このような想いで議論の場を設けさせていただいた次第です。

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■第一部 市場の起源を探る
1.市場拡大の原動力とは?
それでは、議論のレポートをお届けします。お題の一つ目市場拡大の原動力とは?」についてです。
(一人ひとりの発言を書いていくと意味不明になりそうなので、要旨をまとめる感じで書いていきます)

○市場拡大は何が拡大しているのか
経済は“右肩上がり”が望ましい。だとすれば、それはどういうことか。議長の「市場が拡大するとはどういうことか、何が拡大するということか」という問いから議論がスタート。これに対して、以下のような主旨の意見が出ました。

03

・   お金を増やすことではないか。
・  (借金をして)マネーの力で、生産量・消費量を拡大することではないか。
・   物欲や消費欲ではないか。
・   大口の金持ちがたくさんお金を使うということではないか。たとえば、それは国家である。

どれも正解でしょう。共通していえるのは、『原資が拡大していくこと』です。市場拡大の原動力は、原資の拡大。このことをいったん固定しました。

○市場を読み解く切り口
次に、議長から「市場を読み解く切り口」が示されました。

06

 外圧=内圧
生物の摂理。生物が外圧を受けると、それに対応する内圧が生ずる。たとえば、飢餓という外圧に対しては、食物を確保するという内圧が生ずる。市場もその例外ではない。
・  国家(集団)と市場
市場はそれ自体単独で存在しているものではない。国家や集団との関係のなかで成立している。その構造を明らかにする視点で議論していきたい。

これに対して以下のような意見が出されました。

・  個人消費というのは、わかりやすい。しかし、国家に物欲はあるのか?あるように思えない。なぜ、国家が原資を拡大する必要があるのか。
・  国家を一つの集団として捉えるとわかりやすいのではないか。たとえば、企業集団は利益を得て、社員を食わせている。それと同じく、国家も国民が豊かな生活を送れるようお金を増やしていかなければならない。
・  国家と市場の関わり方は、昔と今は違う。高度経済成長期は放っておいても生産と消費が増えていった。一方、現在は、国が借金をして、それを市場に投入しないと生産と消費が増えていかない。全く様相が異なっている。

確かに、国家という“巨大な総体”に、物欲という明確な意思が生じているという感じはしません。しかし、国家を構成するのは、国民ですから、そこまでブレイクダウンすると何かの意思が生じていると思えてきます。
たとえば、戦後。何もなくなった焼け野原から国を豊かにしていく過程をイメージするとわかりやすいです。国民は一様に貧乏ですが、「貧困」という外圧が国民を、ひいては国家をも突き動かし全体として「豊かさを実現しよう」という内圧≒意思が生じます。それを体現したのが、戦後復興~高度経済成長という歴史的事実。その過程は「放っておいても生産と消費が増えていく状態」でした

ところが、現在はそうではありません。「借金をして市場にお金を投入しないと生産と消費が増えていかない」状態になっています。

○経済成長は必要か?・・・皆の意識は?
ここで、「経済成長は必要だ」と思う人、「経済成長は不要だ」と思う人、どちらが多いかボタン投票してみました。
結果は・・・ほぼ半々。個人的には、経済成長を明確に「不要」と思っている人が半数もいることが驚きでした。不要と思っている人の意見は、以下のようなものでした。

02

・  僕は30歳。経済成長をしている時代を知らない。しかし、現状は生活に困っていない。普通に生活できるなら、借金をしてまで無理やり経済成長をしていく必要性は感じない。

なるほど。今現在の30代は、バブル経済も知らない。好景気を知らないというのは、なんとも残念な感じがしますが、不景気だといっても戦後と比べれば断然豊かな生活がおくれているわけです。「何も困っていないのだから、借金なんてしないでくれ」というのは、ごもっともな意見です。
そう考えると、このように感じる人は、これから先どんどん増えてくるだろうと思いましたし、若者にバブル期の事を武勇伝のように語っても、全く共感を得られないばかりか、引かれるだけだろうとも思いました。

これを受けて、冷静なご意見が出ました。

・  「成長が必要か」と問うと、価値観的な判断も入るだろう(成長が必要と反射的に答えてしまう)。価値判断を棚上げにすると、現在の市場経済は借金をしないと維持できないようになっているのが事実だ

確かに、1000兆円も借金をして、それを市場に投入したところで、GDPの成長率は数%なんですから、借金を止めてしまったら、とたんにマイナス成長があらわになるはずです。「現在の市場経済は借金をしないと維持できないようになっているのが事実だ」というのは、その通りです。

○ここまでのまとめ
議長の言葉を借りて、ここまでをまとめます。

・  今現在は、国家が借金をして市場拡大に必要な原資を投入している。すなわち、市場拡大のためのツケを国家が払わされている

「市場はそれ単独で存在するのではない」。最初に話されたことが、ここで明らかにされました。国家と市場は、相手のツケを払うほど密接な関係にある。考えてみれば、当然に思えるかもしれませんが、本当に当然で良いのか?いつからそんな関係が始まったのか?・・・いろいろと起源が知りたくなってきます。

ということで、今回はここまで。次回は、市場の起源に迫る議論のレポートです。ご期待ください。

 

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