2014年07月22日
可能性ひろがる暮らしプロジェクト ~シェアハウスの今~
みなさんは今の暮らしにどのくらい満足していますか?気軽な一人暮らし?理想の結婚生活?でも何だか物足りない。個的生活の枠を取っぱらえば、色んな可能性が見えてきます。今、都市を中心にシェアハウスが見直されています。
フェイスブック(情報シェア)に、カーシェアリングに、シェアハウス。家や車のような私有権の象徴までもシェアする傾向が若い世代を中心に強まっています。なぜ積極的にシェアなのか?経済的なメリットはもちろんありますが、それを超えてシェアそのものに可能性を見出す意識が感じられます。このような「個からみんなへ」の意識転換、集団収束の潮流に注目しています。
全5~6回のシリーズ。生活の基盤を成す「住居」を中心にシェアする意識を追求していきます。
第1回:シェアハウスの今
第2回:シェアハウスに向かう意識潮流
第3回:様々な結集軸、集う場
第4回:暮らしの歴史
第5回:みんなへ拡がる暮らしプロジェクト
(第6回:暮らしと男女の関係)
シェアハウスを選んだ皆さんの声や、生き生きとした暮らしの姿、社会現象や歴史資料も合わせてご紹介。生活を共にして課題を解決する仲間から、課題を乗り越えた経験を活かし、地域へと追求関係、対象世界を拡げるプロジェクトもすでに始まっています。これからの時代と、みんなの意識に相応しい暮らしの場を明らかにしていきたいと思います。
◆シェアハウスのはじまり
ひつじ不動産シェア住居統計データ
始まりは1990年頃。バブル経済が破綻した年。1995年に阪神大震災が発生。同時期にオウム真理教による一連の事件(松本サリン事件、地下鉄サリン事件等)が起こり、不景気と社会不安が日本を覆った時期にシェアハウスは誕生しています。生活レベルは落とさずに節約。そして2004年からは上昇傾向で一貫して増加しています。
シェアハウス『COURI006 Shin-Okachimachi』 ~調理器具や食器を共有して節約しながらいいものを~
◆シェアハウスを選ぶ人
ひつじ不動産シェア住居統計データ
どうやら都会の女性ひとり暮らしに人気が高いようです。
シェアハウス『ペアレンティングホーム』 ~子育ても仕事も楽しく両立~
◆選ぶ人の意識
日本シェアハウス・ゲストハウス連盟 シェアハウス市場調査2013年度版
やはり「初期費用が安い」「家具・家電付き」という期待が大きいようです。しかし注目したいのは入居後に満足している点。「楽しさや安心感」がトップとなっています。シェアハウスでは期待以上に人と共に生活する魅力・価値があるようです。
シェアハウス『むらびと』 ~家族のような人間関係コミュニティ重視~
◆家のあり方が変わり始めた
物件数は2004年頃から急上昇。景気の悪化は誰の目にも明らかで、経済の過剰刺激では本物の豊かさは実現できないと、私権(私有権)に可能性を感じなくなった年。2006年滋賀県知事、ダムや新駅誘致への「もったいない」発言が象徴されるように、必要か否かの意識や、自然や人への感謝の念が復活してきた時代です。このような人々の意識から、住居もまたシェアで十分と考え始める層が登場してきました。
入居理由アンケートからは、節約意識や経済的メリットを期待して入居したものが、実際には、楽しさや安心感など、共に住まうことの充足が一番の価値となっていることが伝わってきます。家を単なる「箱」として捉えるのではなく、活動や人つながり、つまり「中身、質」で考えるようになったと言えます。
そして2008年リーマンショック、2011年311大震災以降、急速な増加傾向にあります。特に女性が顕著。私権社会であれば持ち家が安心基盤。しかし今や旦那も安心基盤にならない時代。子育てなど同じ課題を共有することで安心基盤をつくる、母系集団化の潮流も感じられます。
社会の様々な秩序崩壊現象に適応しようと暮らしのあり方を模索。それに伴い「家」そのもののあり方も変化しています。旧い秩序の崩壊と新しい可能性を前に、シェアハウスの選択は、今後もますます加速していきそうです。
第2回は、詳しく人々の意識を分析したいと思います。お楽しみに。
- posted by 岩井G at : 23:51 | コメント (0件) | トラックバック (3)
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