2014年10月22日
しごとカフェ その参 逆面接大会!
今回で3回目を迎えたしごとカフェ。大勢の参加者に恵まれ、かつ下は大学一年生から上は82歳!
までの実に幅広い世代の方々にお集まりいただく事ができました。
この恵まれた機会を最大限に来場者に還元したい!
という事で、改めて今回の企画立案に至った背景をお話させて頂きました。
1. 改めて、時代背景から
まず、就職活動という毎年訪れる一大イベントには、毎度のことながら違和感が付き纏います。
青田刈り、解禁日、といったキーワード群。どの企業も優秀な人材を求めているのは確かですが、企業ごとに求める優秀さは異なるものです。しかし、どこか画一的に基準が形成され、内定獲得をノウハウに落とし込むような取り組みが見られ、結果的に主体性が封鎖されていくような印象を持たざるを得ません。
また、そもそもミスマッチは絶対的に発生する事は数字からもよく見えてきます。
例えば、今年大学や専門学校を卒業する予定の学生数は全国でおよそ80万人。
では、今現在日本に存在する企業の数は、いくつあるでしょうか?
答えは、400万社です。そして、そのうちの99%が、中小企業。
就活ポータルサイトに募集広告を掲載する企業はごく一部に過ぎず、殆どの学生は何かしら聞いたことのある企業(殆どの場合は大手)にドドド~!っとなだれ込み、大半が落ちる、という非生産的な活動を繰り返しています。大企業にとっては、就活も一種の広報活動にあたるため、合格率よりも受験者数を増やすだけでも十分なメリットが有るのですが、小さな企業は殆ど振り向かれることもなく終わってしまう為、ポータルサイトやビックイベントには参加せずに終わってしまう。
ちなみに、大学にとっても就職率は重要な指標の一つであり、合わせて親の期待も合間って、無難・安定志向がここ数年に渡って続いている為、どうあがいてもミスマッチが発生する構造となっています。
しかし、安定志向=大企業収束という図式は、果たして成立しているのでしょうか?
世界のSONYがついに上場後初の無配当、赤字決算に追い込まれたり、NECやシャープなど名立たる大企業の凋落が既に始まっています。もはや、資本力だけでは勝てない時代に入ったことを意味しています。
それから、社会人として伝えたいこと。
ブラック企業という代名詞。マスコミが囃し立て、学生が不安になる構図が浮かびますが、ものすごく一面的なモノの見方の一例。マスコミ的には、刺激的で美味しいモノの見方だと思いますが、もっと現実は多面的に見れるようにならないと行けません。確かに今の世の中、夢中になれる職場の方が実は少ないかもしれない。でも実際、人の役に立ち喜んでもらえる仕事は、夢中に成れるほど楽しいこと。生産に取り組み、相手に喜んでもらえる活動として、一生懸命働いている人が多い会社は、実は素晴らしい環境とも言える。しかし、世の中にパーフェクトは無い為、折が合わない人だって出てくるもの。本当にブラックな企業であれば、誰もそこでは働かない=成立しないはず。ごく一部のクレーム、あるいはマスコミに振り回される状況の方がおかしい事に気付きましょう。(利益の為に人を道具のように扱う酷い企業も一部には存在するようですが。。。)
次に、就職=自分のやりたいことを目指す、という幻想。そんなに都合の良い仕事などありません。自分のやりたい事を勝手にやるのは構いませんが、それは仕事にはならない。相手の期待に応えることが、仕事の基本。それが解らない人には、“いい仕事”は出来ません。
さて、改めて現在の時代状況を抑えておきます。
・市場の拡大限界は既に40年前。以降は国債依存、その結果が1,000兆円の借金。
・更に2011年には、人口減社会に突入。生産も消費も減っていくのは当り前
・空きビル、空き家問題勃発。日本全国の空き家数は、なんと800万戸!もあるんです。東京都だけでも、80万戸の空き家がある。他にも、田畑や山林などで所有者不在or不明の土地も沢山ある。
つまり、今の日本は完全なモノ余り・カネ余り社会。
アベノミクスは完全空振り、スタグフレーションに既に突入しています。現実は、深刻な不況がますます拡がっている。
根本的な転換しか、道は無い。
一方で、このような状況の中で生まれてきた☆注目現象☆もあります。
・不食、少食ブームの到来。ブームにまでは行ってないかもしれませんが、かなり認知されつつある。
食べ過ぎは万病の元。小食+食料廃棄物を減らせば、日本の実質的な食料自給率はすぐに回復。かつ健康になって医療負担削減。
・大企業凋落が示すものは、資本力だけでは勝てなくなった証拠。莫大な広告費もむなしいだけ。幻想価値の崩壊とも言える。
・最大の可能性は、「ダマシの通用しない時代」に入った、という状況認識。嘘を見抜く目が鋭くなってきている。
つまり、【追求力の時代】が来た!と言える。
ぜひ、今回の企画も存分に追求力を発揮して楽しんで下さい♪
2.逆面接大会
これは、学生チームに仮想企業を作って貰い、社会人チームの面接をする、という企画。
まず最初に、10分間で学生3チームにそれぞれ仮想企業のコンセプトを作って貰いました。たったの10分ですが、それぞれ具体的な仮想企業を起ち上げてくれました。決めてもらったのは、次の3点です。
まずは3チームそれぞれの企業PRです!《以下、1)会社名 2)業務内容 3)求める人材像》
★Aチーム
1)イノベーション
2)人材育成コンサル
自分の未来、会社の未来を具体的なビジョンとして描けるような人材に育てる事をmissionとする企業。
クライアントの求める要望をしっかりと踏まえた上で、双方の意見を擦り合わせながら指導方針を定めていく事を強みとする会社。
3)相手の立場に立ってプログラム開発を楽しめる社員を求める。
★Bチーム
1)株式会社もぎもぎ果実
2)観光農園の経営。自然環境の豊かな環境で、自然農法で育てた果実を提供するだけでなく、加工食品や栽培体験なども行う。
3)食への関心が高く、人とのコミュニケーションの好きな方を募集したい。
★Cチーム
1)いのち
2)自分達で作った作物を活用した飲食店。命を大切に、がコンセプト
3)笑顔でくつろぎの空間を作れる人材を求める。食の大切さ、命の大切さを心から伝えられる人
どのチームも、実際にありそうな企業。このPRをうけて、社会人に受けたい企業を決めてもらい、逆面接をスタート!
★イノベーション
3名の社会人が立候補。いずれも、経営者という顔ぶれです。
自己紹介と合わせて現在の関心事をそれぞれ伝えてから、質問開始。
質問1:今の社会を見て足りないと感じるものは何か?
・前向きに何にでもチャレンジしていける場、雰囲気が足りない。失敗が許されない風潮で萎縮していると感じる。
・自分自身を成長させていこうとする意識、力が足りない。周りとの調和を保つ事に重点を起きすぎている。
・志よりも、目先、既存の枠組みや制度に捕らわれてしまう側面が強い。本当に実現したい事に向けて動けず、持ち前のエネルギーを100%発揮しにくい状況。
質問2:そんな環境の中でも、自分が自信を持って取り組める事は何か?
・リスクにチャレンジするキッカケを用意したい。大きな失敗であっても本来は財産になる。会社の役割もだいぶ変わってきてしまったように思うところがある。人を育てる意識よりも、利益維持偏重であったり、吸収合併による存続など、劇的な変化の中で都合よく出来る人を採用する風潮。職人世界における徒弟制度のように、地道に人を育てていくような環境が風化しつつあり、修行場が無い。
・収益マシーンを作る為の人材育成ではなく、人として成長していく事を支援する。利益も大事だが、そもそもの生きる意味なども含めて追求して行ける環境を目指したい。
・人材育成を根本から考えていけるかどうか。個別の特性をその都度問題視してもキリがない。一つの集団として、社会に対して何をどうして行くのか?を明確に持つ事で成員が期待の空気を感じ、相互に圧力を高めていけるような環境を作る必要がある。
★もぎもぎ果実
こちらは、若いメンバーが3名立候補
質問1:集団における自分の役割は何か?
・利害対立の発生する部署間、企業間の間に立ち、お互いを繋げていく役割。
・常に前向きに、どんな時でも推進力となる空気作り
・気配りをしながら周りを支えていく役割。
質問2:今までの仕事で、自分が中心となって成し遂げたことは何か?
・理研の中で定期的なイベント開催をしている中で、地元ヒーローを招いて地域の方を大勢呼びこむ事が出来た。研究所で扱っている専門的な内容を広く知ってもらうための試行錯誤で、伝えきれなかった部分も残るが多くの方に参加してもらえた。
・ある物件の電気設計の中で、物件の背後にある地域や利用者の方の期待を集約して、社内の人間を巻き込みながら作った提案書が、お客様に評価を頂けた。
・路上でみんなの質問に答える「なんで屋露店」という活動を行っていた事があり、チームリーダーとしてトップの成果をあげた。
質問3:食の安心・安全について考えている事は?
・生産者の顔、過程などの見える化を推進。参加者との交流機会を創出。
・顔ぶれに対する応援料、という形で買うことで応援できる仕組みを作りたい。生産者の思いが伝わってくる媒体を通じて、期待の交歓。
・添加物、化学物質の表示は行われているものの、表示だけでは実際何も解らないのが実態だと思われるので、表示してOKではなく、もう一段階踏み込めるものが必要。
★いのち
こちらは、老若男女の4名が立候補
質問1:社会人として大切だと思うこと、志望理由は?
・命を掛けるほど情熱を持って取り組める仕事。社名にピンと来た。
・全ての人にとって「こうあればいいな」と思うだけでなく、実際に実現に向けて具体化していくこと。
・立場に関わらず、その都度感じたこと、意見をしっかりと伝えていける人間になること。ぶら下がりになっては行けない。
・世の中がまさに大転換期。人間社会のみでなく、地球規模で物事の判断をしていかなければ行けない。小さなことばかりに目を向けていると、すぐに流されてしまう。しっかりした目標を持ちながら、今どうして行くのか?を考えていく。人生80年を生きてきた中で多くの失敗も経験したが、今の社会は「本当のこと」が受け入れられなくなってきている。従って、このままでは終われない。
質問2:学生の時は何を考え、どう過ごしていたか?
・日々、どうすればモテるか?を考え、実践していた。。。
・農学部に所属。しかし授業がつまらなかったので、環境系のサークル活動に熱中。人の意識に興味を持ち、様々なイベントを実施していた。
・親に言われてしぶしぶ大学に行った。3年辺りから、何も無い自分の将来に対する危機感を感じ、一人で半年間、海外旅行に出かけた。そこでの体験も面白かったが、それ以上に自ら考え動くことの重要性をつかめた気がする。
・当時は立命館の夜間高校に通いながら働いていた。恩師の言葉「昼間働いて、夜勉強をする。それこそが大事な事だ。」と何度も教えられた。丁稚奉公をしながら仕事を覚えてきた(一人前に育てて貰った)。正しい心を持って生きていれば、自然と導かれていく。自然の摂理に学ぶ事が大事。
なかなか、学びポイントの多い面接となりました。
模擬面接後に、社会人側からのフィードバックを行って頂きました。
・ただ質問して終わり、ではなく返答に対して深めようとするやり取り、相手のことをもっと知りたいと感じさせる場面があったのが良かった。
・社会人一般に対する質疑回答に重ねて、ではあなた自身はどうか?と問いかける塗り重ねが良かった。
・企業も学生も、通常はかなりの事前準備を行うのが通常ではあるが、実際の面接場面ではあくまでもその場の人と人の場。準備内容に捕らわれず、目の前の相手とのやり取りに全身全霊を掛けるスタンスが重要。
・回答者の思いをくみ取り、まとめようとしてくれているのが伝わってきた。
・社会に出たら、新しい出会いの連続。常に元気に、大きな声ではっきりと伝える。失敗を恐れないで。
・相手の状況に応じた臨機応変な対応力を身に付けて欲しい。
・投資とリターンのサイクルが既に成り立たない時代に入ってしまった。資本主義が実質的には不成立で、バブルでしか回らない。これからの時代をどう捉えるか?はかなり重要。
・これからは、「何のために仕事をするのか?」という目的意識そのものを明確に持てなければ、活力は上がらない。
如何でしょうか?模擬面接、しかも実際とは逆の立場で関わることによって、企業人の本音がとても鮮明に表れる意見交換が成されたように思います。
むしろ、面接の場でここまで踏み込んだ追求が出来れば、入社後に共に働く仲間としてのイメージもバッチリ固められそう!
今回、受験側の意見として最も注目だったのは、酵素一筋80年の老舗企業、アマノ酵素の天野会長(82歳)から発せられるコメントの一つ一つ。
天野会長は、恐らく今回の参加者の中でも人一倍多くの努力と失敗を積重ねながら、理不尽な世の中に対して一切の妥協も諦めも無く追求を積重ねて来られたのだと思います。とても謙虚でありながら、未だに“まず学ぶ”ことを第一義として、今回のイベントに参加してくださいました。
自らの力不足を常に感じつつ、それでも事実を羅針盤に追求を続け、自然の摂理に従う道を探り続けてこられたそうです。
若者達に対しても、何かを教える、という感覚では無く、追求する姿勢をそのまま見せてくださったように感じました。
経験の中に刻まれた言葉には、重みや深みが滲み出るものなのだと、改めて実感。
企画前半だけでも、かなり有意義な議論が出来ましたが、企画はまだ続きます!
後半レポートもお楽しみに♪
- posted by kawai at : 15:18 | コメント (0件) | トラックバック (1)
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