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2018年05月30日

学校が変われば地域が変わる。そして社会が変わっていく 「みんなの学校」①~地域で子供たちを支える

今回は昨年観た映画「みんなの学校」の紹介です。
一部映画の内容に言及しますが、ドキュメンタリー映画なので、映像と音声で感じる方が圧倒的に心に響いてきます。なので、機会があれば是非上映会に参加して下さい。

「みんなの学校」とは、2006年に開校した大阪市住吉区にある大阪市立大空小学校のこと。実在する学校です。
初代校長の木村素子先生が「全ての子供に学習環境を保障する学校をつくる」という理念のもと、校則やマニュアルは作らず、「自分がされて嫌なことはしない、言わない」を子供も職員もみんなが守るたった一つの約束として運営スタートしました。
そしてその約束が守れなかったときは、「罰」があるのではなく、代わりに自分で校長室に行って、反省と今後の方針を校長先生と話し合う「やり直し」が行われます。

「地域の子供はみんな受け入れる」ことが学校のスタンスであり、他の学校でいじめられたり、支援学級に押し込められたりする家族の駆け込み寺になっています。なのである年度は定員260人のうち50人が支援の必要な子供だったときもあるそうです。

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「みんなの学校」とは、子供一人ひとりが「自分の学校」、職員も地域も「自分の学校」として、自分ができることを自ら行うことで成長していく、いわば合言葉であり誓いの言葉です。学習方法はグループ学習に近く、分かった子が分からない子に教えたり、出来る子が出来ない子のフォローするスタイルになっています。そして何か問題が発生すれば、子供たちで「どうする?」と答えを探索していきます。
地域の人は、通学路の見守りだけでなく、学校から許可をもらえばサポーターとしていつでも学校に来て、学校を支援します。例えば自主的に校庭の草むしりや、支援の必要な子供の対応もします。
こう説明すると仲睦まじいファミリーのようにイメージしますが、現実は子供は感情のコントロールが効かないので、支援に来ているおばちゃんに向かって「クソばばあ」とののしり、カッとなったおばちゃんが「なにー!」と対抗。大人と子供の口喧嘩が勃発することもしばしば。
そんなときは子供だけでなく、おばちゃんもついつい感情的になったこと反省して、校長室に「やり直し」に来るそうです。周囲の人も、そして先生でさえ聖人ではないのです。

映画に出てきたのは、カズキという男の子が通学路の見守り隊のおじさんにケリを入れた事件。
不安定な家庭環境にあるカズキに対して、ちゃんと登校してくるか?周囲はいつもやきもき。そのカズキが最近安定して、仲の良い女の子と一緒に登校している。嬉しくなったおじさんがつい「最近、仲がいいね」と声をかけたことが、「茶化された」とカズキの癇に障り、おじさんを蹴飛ばして逃走したのです。

学校は対策を検討しますが、決して学校からおじさんに謝罪はしません。学校もおじさんもカズキを支える大人として対等であり、謝罪すべきはカズキだからです。
「子供を指導という名の下で、大人の枠に押し込めることは暴力と考える木村校長は、捕まえたカズキに対して一方的に怒鳴りつけるのではなく「おじさんが嫌なことを言ったのは良くない。でもそれはカズキと仲良しになろうと思ってのこと。そのことをお前自身も知っているやろ。」と諭し、一人で謝罪に行かせます。
そのおじさんとも連絡を取り合い、「ちゃんと一人で来て謝っていったで」と電話で聞いて、職員室で校長と先生たちがみんなでガッツポーズ。でもカズキが職員室にその報告しに来たときには素知らぬフリで、「そうか、ご苦労様」と対応。カズキにも一人前の人として対応しつつ、放置せずしっかりと陰で見守るスタンスなのです。

学校の教科書には教科書の中で通用する絶対的な「答え」がある。しかし社会には、子供たちを成長させられる絶対的な答えもマニュアルも魔法もありません。大空を支える人たちは皆、子供一人ひとりに適切な答えを日々探索しながらの教育を実践しています。
正解のある世界に安住するのか?正解のない世界に踏み出し、もがくのか?大人のスタンスを子供たちはちゅんと見抜いています。
「みんなの学校」は先生も日々もがきながら成長していく学校なのです。

 

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