☆ランキング☆
にほんブログ村 経営ブログへ

最新記事一覧

最新コメント

最新トラックバック

2021年03月11日

強い組織には人を育てる環境がある

前回の記事では、クラウドファンディングを活用する、お笑い芸人キングコング西野亮廣さんを紹介しました。彼はクラウドファンディングでは信用が重要で、その信用を勝ち取るために、TV出演を制限しました。時には番組スポンサーに忖度して、あるいはその場の流れを壊さないために、意に反した発言をせざるを得ない環境から脱出したのです。
西野さん曰く「嘘は感情によってつくのではなく、環境によってつかされる」

そして無理にTV出演で稼がなくても支えてくれるオンラインコミュニティを形成していったのです。それにより彼は自分より先輩や大御所に対しても意見(≒本音)をぶつけられるようになります。そのことを彼は「自分は他の人より勇気があるわけではなく、他の人より意見しやすい環境にあるだけ。権威のある人に自分の意見をぶつけられることがウケ、さらにコミュニティ会員が増え、益々意見しやすくなる」そうです。意思決定そのものも、環境が重要な要素なのです。

タレントだった西野さんの場合は、TV界が置かれた環境でしたが、例えば会社員であれば、この「環境」とはその企業(≒組織)文化そのものになります。

にほんブログ村 経営ブログへ

組織文化とはその組織の人々に共有されている、何が良くて何が正しくて何が間違っているか、何が好きで何が嫌いかという価値観。(一橋大学大学院楠木建教授)

コピーライターの糸井重里さんは「組織文化は生態系に似ている」と言い、それを「水槽」に例えて紹介していました。
魚を飼っていて魚が弱っていると気付いたとき、どんなに水槽を綺麗にする薬を入れても水質は改善しません。魚用の薬もあるがなかなか難しい。そうではく水槽全体の環境を改善していくと、魚が元気になる、そうです。

ぼくもあるとき「魚を飼うことは水を飼うことだ」と考えるようになったのです。会社も同じです。人事の話が人事だけで解決することはほとんどありません。そもそも組織は勝っているときは上手くいくんです。成果の恩恵や喜びが広がっていますから。でも負けている時には、勝っていたときに育った悪いものが噴出します。(糸井重里さん)

水槽の水は人間社会での「空気」。意識的か無意識かは別にして、その空気感はそこにいるメンバーによって形成される。そしてこの空気感は人材育成おいても極めて重要です。糸井さんの会社では意識的に「チャンスの多い会社」という空気感を作っています。

インターンの人が自分の言い出した商品が発売されるかもしれないと、ワクワクしているんです。彼らは一般的な会社では新人が商品をつくるなんてほぼないことを知らないから「できるんですよ」と素直に興奮しています。面白いじゃないですか。その方が新しいチャンスが生まれるし、いいチャンスが、次のチャンスをつくってくれます。ぼくはチャンスの生産力が、これから人が喜ぶ指標になるんじゃないかと思っています。(糸井重里さん)

そしてこの空気感の底流にあるのは仲間意識。その仲間意識を形成するために、糸井さんの会社では新しいオフィスの1フロアをロッカールームにしています。スポーツ選手が競技場で試合するように、まず朝、社員はロッカールームに出勤。そこから仕事をする場所に移動するシステムにしています。ラグビーの試合ではハーフタイムでロッカーに戻り、再びグランドに出てくると、選手たちが生まれ変わっているのを見て「ああいう風に仕事をするのは格好いいな」と思いマネしたそうです。家でくつろぐのとは違い、闘争空間の中のオフがロッカールーム。試合前や途中の緊張感も持ちながら、そこで生まれる生のコミュニケーションが組織内の仲間意識を醸成すると考えているのです。

リモート勤務を賛美するのは仕事を分けて持って帰られるタイプの人だと思います。勿論、リモート勤務も否定しません。ただ、会社の中でも「親しさ」は重要なキーワードだと思います。(中略)親しさは相手を信じている、ということかもしれません。相手の欠点も「しようがないな」というところまで含んで認めている。それなのに今、会社を考えるときに「親しさ」は不要だと思われているような気がします。「仲良しクラブじゃないんだから」といったりしますよね。でも「仲良しクラブ」は強いですよ。(糸井重里さん)

親しさは「信頼」に結び付きます。「信用」は実績など過去の成果や結果を前提に人とつながることですが、「信頼」は感情的な部分を土台にしている。そして「信用」が一方的な評価であるのに対して、信頼は双方向で成り立つ関係とも言えます。ということは「信頼」でつながっている組織は、成果の出ない逆境にも強いのです。ベーシックインカム(基礎保障制度)が実施され、私権の統合軸を失ったとき、信頼関係で結ばれた組織だけが社会的な信用を得る時代になるのです。

※参考:チャンスの生産力が人が喜ぶ指標になる

 

コメントする

comment form

trackbacks

trackbackURL: