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2022年01月28日

【駆動物質とは何か?】原猿の同類把握力の進化(1)本能不全→相手も襲って来ないという状況の同一視へ

「【実現塾】サル社会の構造②シリーズ」では、過密化した樹上で、果てしのない同類闘争を強いられ、飢えと怯えに常に苛まれ続けるという、言わば無限苦行」の本能不全に陥った弱オスが、相手を深く注視し続けることで、「共感回路」「共認回路」を獲得した状況を取り上げました。

11/20【実現塾】サル社会の構造②~ (1)縄張りオスに近づいたメス
11/20【実現塾】サル社会の構造②~ (2)弱オスと共感機能
11/20【実現塾】サル社会の構造~ (3)樹上適応⇒過密前後の知能進化

今回から、原猿の同類把握力の進化について、「共感回路」「共認回路」を形成した過程ごとに、原猿たちが置かれた外圧状況と、その状況に対してどのように適応したのか?、また、そのときに働いた駆動物質と脳回路は何か?という視点から見ていきます。

おおよそ次の流れで、3回に分けて追求していきます。((  )が駆動物質)
1)本能不全状況→相手と自分の状況の同一視    (アドレナリン)
2)状況の同一視+安堵感→相手と自分の欠乏の同一視(ノルアドレナリン)
3)欠乏の同一視→相手と自分の期待の同一視    (オキシトシン+ドーパミン)

駆動物質と脳回路については、未明な事が多い領域ですが、明らかになっている事実をもとに論理整合性のある仮説を立てて追求していきます。

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■本能混濁状況→相手も(自分と同じく)襲って来ないという状況の同一視 (アドレナリン)
・弱オスたちは、過密化した樹上で、果てしのない同類闘争を強いられ、飢えと怯えに常に苛まれ続けるという本能が混濁状況(いわば『無限苦行』)に陥ります。このような、食本能も性闘争本能も真っ当に作動しない状況の中、残された根源的な生存本能に基づき、アドレナリンを駆動物質として、外識機能(触覚回路、味覚回路、嗅覚回路、聴覚機能、視覚機能)をフル稼働させ、周囲のサルを注視し続け、仕草や表情などの膨大な同類情報 (外識)を頼りに探索を続けます。

・アドレナリンは、チロシンを前駆体とし→ドーパミン→ノルアドレナリンを経て生合成される駆動物質で、アドレナリン作動性ニューロンと副腎髄質のアドレナリン細胞とで生成されます。アドレナリンは外識機能や各種臓器を身体機能を活性化します。

中枢神経系のアドレナリン作動性の神経細胞は、主に次の三つの部位に存在します。
C1:視床下部に投射し、循環器系や内分泌系の調節を行う。
C2:視床下部に投射し、循環器系や内分泌系の調節を行う。
C3:視床下部、青斑核に投射する。(※青斑核(A6核)はノルアドレナリン作動性の神経細胞)

・アドレナリンによりあらゆる身体機能を活性化→様々な外識感覚と内識感覚を突き合わせ、対象に対する+-の判別と、行動(闘争または逃避)の選択を繰り返し行うなかで、相手も無限苦行に苛まれ戦意を失っている、という状況の同一視に至ります。

相手も襲ってこない=襲われることはない。つまり闘争行動も逃避行動も必要のないことに気づき、安堵すると同時に、同類と戦い続ける無限苦行から脱出できるかもしれない、脱出したい、という欠乏が初めて生起し、それにより、適応不全や未明状況に置かれた場合に作動する「未知探索回路」が作動します。

この未知探索回路の中心が、青斑核から大脳中枢系(辺縁系)~大脳新皮質の広い領域にまで広がる回路(A6神経)であり、駆動物質であるノルアドレナリンにより活性化します。

※次回、ノルアドレナリンを駆動物質とする未知探索回路を中心に、相手も(自分と同じく)襲ってこないという状況の同一視・安堵感→相手と自分の欠乏の同一視へと至る「手探り回路」について追求します。

 

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