2022年03月17日
【動物質とは何か?】哺乳類の「探索回路」と原猿の「手探り回路」は何が違うのか?(1)~哺乳類の「探索回路」
『【実現塾】12/11「サル社会の構造③」~(1)欠乏がある限り探索し続ける手探り回路』では、
原猿が、過密化した樹上で、果てしのない同類闘争を強いられるという、本能ではどうにもならない状況(いわば「無限苦行」)の中、欠乏も対象も答えも未知な状態で追求し続け、ついに「自分の欠乏」と「相手の欠乏」を同一視できる地平=無限苦行の脱出口を見つけるまでの過程を追求しました。
この原猿の探索回路は、欠乏(捕食、危機逃避等)も答え(行動方針)も明確な、哺乳類の「探索回路」とは、全く異なります。原猿が迫られたのは、欠乏も未明、もちろん答えも未明という、基点も終点も曖昧模糊とした五里霧中下での探索は、まさに「手探り回路」と呼べるものです。
今回は、哺乳類の「探索回路」と原猿の「手探り回路」は何が違うのか?につて、駆動物質と脳回路の視点から追求します。まず、原猿の「手探り回路」から考えます。
■哺乳類の探索回路~ノルアドレナリン
哺乳類が持つ探索回路は欠乏(捕食、危機逃避等)が明確なものであり、本能回路上のどこかに答え(行動方針)がある探索です。例えば、敵と出くわした時などの高い外圧状況では、直ちにどうすべきかを探索し、素早く逃避/闘争判断→逃避/闘争行動へと移ります。
この探索回路を作動させる駆動物質が未知探求力の源泉:ノルアドレナリンだと思われます。
ノルアドレナリンを放出する青斑核(A6核)は、視床、視床下部、中隔、海馬、扁桃体などの大脳中枢系(辺縁系)に投射しつつ、さらに大脳新皮質の全域にも投射します。大脳新皮質への経路は、哺乳類以降に発達したものです。
大脳新皮質の連合野で、各外識情報を集約・統合し、反復回路(海馬)を使って大脳中枢系が生起する内識(欠乏)と突き合わせ、外識→内識の照準を絞り込んでいき、判断核(扁桃体)が行動の最終指令を出します。大型爬虫類を始めとする、多様な外敵に対応するために発達したのだと思います、
同時に、ノルアドレナリが変化して生成されるアドレナリンが全身に放出され、身体機能を高めるこことで、判断核(扁桃体)最終指令があり次第、直ちに行動に移ることが出来ます。
ノルアドレナリン探索回路(実際の神経経路を簡略化しています)
このように、哺乳類の探索回路は、ノルアドレナリンを駆動物質として作動します。
※ノルアドレナリン、アドレナリンは、ドーパミンと同じモノアミン(アミノ基を一個だけ含む駆動物質)で、「L-チロシン」から「L-ドーパ」を経て順に、「ドーパミン」→「ノルアドレナリン」→「アドレナリン」が生成されます。
今回は、哺乳類の「探索回路」について、駆動物質と脳回路の視点から追求しました。
次回、引き続き、原猿の「手探り回路」を追求していみます。哺乳類の探索回路(本能)ではどうにもならない原猿は、ノルアドレナリンに加えドーパミンを駆動物質として、新たな探索を試みます・・・
- posted by sai-yuki at : 13:30 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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