☆ランキング☆
にほんブログ村 経営ブログへ

最新記事一覧

最新コメント

最新トラックバック

2022年03月25日

【駆動物質とは何か?】哺乳類の「探索回路」と原猿の「手探り回路」は何が違うのか?(2)~原猿の「手探り回路」

前回は、哺乳類の探索回路を追求しました(リンク)。欠乏(捕食、危機逃避等)も答え(行動方針)も明確なである哺乳類の探索回路は、ノルアドレナリンを駆動物質として作動するものでした。今回は、欠乏も答えも未明という中で、原猿が作り出した「手探り回路」について、駆動物質と脳回路の視点から追求します。

にほんブログ村 経営ブログへ

原猿の生み出した手探り回路(るいネットより
・過密化した樹上で、果てしのない同類闘争を強いられていた原猿は、周囲のサルとの状況の同一視(果てしのない同類闘争によって互いに戦意を喪っている)によって、安堵感を得た。
しかし、この感覚は、恒常的な類闘争が生み出す、苦痛や厭戦感と同様、本能に存在しない感覚であり、自身も捉えようがない、得体のしれない感覚であった。
・原猿は、この置かれた状況の同一視によって得られた、一抹の安堵感を求めて、相手を更に注視(探索)する。
しかし、哺乳類が持つ探索回路は欠乏(捕食、危機逃避等)が明確なものであり、本能回路上のどこかに答え(行動方針)がある、その範囲内での探索であったが、原猿が迫られたのは、欠乏も未明、もちろん答えも未明という、基点も終点も曖昧模糊とした五里霧中下での探索であった。
・内識(自らの不可解な欠乏)と外識(不可解な状況)とを、行きつ戻りつを繰り返す中で形成されたこの探索回路は、哺乳類の探索回路と次元を画す「手探り回路」とでも呼ぶべきものであった。

 

状況の同一視により、これまでに経験したことのない安堵感という感覚(一種の+感覚)を得たことで、判断核(扁桃体)の不安・恐怖感覚が薄れます。それにより、哺乳類のノルアドレナリンを駆動物質とする未知探索回路に重ねて、ドーパミンを駆動物質とする充足探索回路が作動します。安堵感を一縷の期待に、本能では見つからない答えをもとめて廻りのサルたちをより深く注視していきます。

ドーパミンを放出する腹側被蓋野(A10核)は、大脳中枢系(辺縁系)に投射しつつ、さらに大脳新皮質の前頭連合野を中心に投射し、脳の様々な領域を活性化させます。

①充足を求める欠乏の上昇
     (大脳中枢系~判断核(扁桃体)・反復体(海馬)・探求核(側坐核)の活性化)
判断核・反復核・探求核などが形成する充足探索回路が活性化されます。この回路は、例えば、「さすってもらったら痛みが収まった→快情報として判断核が認識→反復体が重要情報として反復・強化→この快感覚により、探求核が活性化→もういちどさすって貰いたい!」というように、より充足(快、+感覚)を得られる行動を探索する回路です。より高い充足を求めて探索を続けます。

②高度な状況把握能力の獲得
(大脳新皮質~前頭連合野の発達)
経験したことがない不可解な状況を把握するために、哺乳類で発達した側頭連合野や頭頂連合野などで統合した情報群を集約し、さらに高度な状況認識を行うために、前頭連合野を発達させます。

前頭連合野は,思考や創造性を担う脳の中枢であると考えられ、同類把握の必要性が高いサル・人類で発達したものです。特に人類では新皮質の著しい発達と共にA10神経も大幅に強化され、ドーパミンを大量に分泌します。

③内識探索と外識探索の深化と繰り返し
     (大脳中枢系と大脳新皮質の中継点、島皮質の活性化)
ドーパミン充足探索回路は、外識情報から将来の生存可能性(食料獲得、性行動など)を予測⇒行動し、その結果、期待した以上の食料を得たとき→行動をより活発化し、期待した食料を得られなかったとき→行動を抑えることで、より高い充足を求めて照準を絞り込んでいく機能を持ちます。

この「予測→照準絞り込み」において重要な役割を担うのが島皮質と呼ばれる脳領域です。島皮質は、大脳中枢系(辺縁系)と大脳新皮質の結節点に位置し、内識探索と外識探索で重要な役割を担っています。

1.内識の心底を探る
潜在思念の源である判断核・反復体・探求核などと連携し、内識(自らの不可解な欠乏)について、心底の欠乏の正体を探索。
↓ 突き合せ ↑
2.外識の背後を探る
大脳新皮質と連携し、相手の表情やしぐさなどから、外識(不可解な状況)に対して、その奥の相手の心情を推測


このように、ドーパミンにより活性化した大脳中枢系、大脳新皮質、それらを結ぶ島皮質を最大限に稼働させ、相互の連携を強化します。そして、期待の照準を「相手との同一視」に定め、外識(相手のしぐさや表情、声など)と内識(自身の欠乏や期待)を突き合せ、「もしや?と、やはり違う!」「もしや?と、やはりそうだ!」という一種の仮説思考を繰り返す中で、次第に自分の欠乏(心底)と相手の欠乏(心底)の像が重なっています。これが、哺乳類の探索回路と次元を画す、欠乏も対象も答えも未知な状態で追求し続けるという原猿の「手探り回路」のしくみです。

原猿の作り出した「手探り回路」とは、哺乳類の未知探索回路(ノルアドレナリン)の上に、相手との同一視を照準に、より高い充足をもとめる充足探索回路(ドーパミン)が塗り重なって形成された回路です。この「手探り回路」は、幾世代をも超えて引き継がれ、醸成され太くなっていくことで、共認回路の形成へと繋がっていきます。。

 

コメントする

comment form

trackbacks

trackbackURL: