2012年04月26日
成功を導く確かな理論~共同体・類グループの事例⑰時代に先駆けて事業化した類農園3~
※画像は、こちら から引用させていただきました。
これまで、「成功を導く確かな理論~共同体・類グループの事例⑰時代に先駆けて事業化した類農園1、2」で類農園の事業設立経緯やその背景を取り上げてきました。
前回の2でも述べましたが、昨年の震災→原発問題によって、ますます日本国中で農業(食)への期待・関心が高まっていると感じています。
だからこそ、その皆の期待に応えるべく、日本の農業の有り方を考えていく必要があると思います。
そこで、本シリーズを締めくくる今回は、「自然体験教室」を中心とした今後の事業展開について述べてみたいと思います。
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昨今、皆の期待や食糧への不安、経済不況による仕事の創出等、様々な理由から農業界でも企業参入が毎年増加の一途を辿っています。
しかし、その実態は一体どうなっているのか?まず見ていきたいと思います。
●企業農業の実態
企業の農業参入の実態については、平成21年の農地法改正により、「特定法人貸付事業(農業生産法人以外の一般企業に例外的に農業参入を認める仕組み。市町村が実施区域を指定し、区域内の農地を企業に貸し出す。03年に構造改革特区の一環で始まり、05年に全国展開した。)」によって、年々増加傾向にあります。
しかし、実際その多くが立ち上げから数年で撤退しているのが実情です。
撤退した理由の中に「農業経営の不振」等があり、短期で売上げを見込む『株式会社』にとっては思った以上の成果が上げられず(約7割が赤字)、少しでも赤字を抑える為に早期撤退判断をする事が多いのが実情です。
また、農業は決して1人で出来るモノではなく、特に水稲では水管理や獣害対策、雑草刈りといった集落の皆さん達と協働して作業する仕事が多い為、集落内の信頼関係構築が絶対的に必要になります。
そして、単年毎に自然に左右される為、長期的視点で農業事業を考えていかないと決して大成する事業ではないと言えます。
だからこそ、企業にとって農事業に参入する事は、利益以外になんで農業をするのか?という課題設定が重要になるとも言えます。
では、このような状況を踏まえ、類農園がどのような道を歩んできたのか?
実際に見ていきましょう。
●類農園のあゆみ
農業への可能性を追求し、当初選ばれた農園メンバー10人は、各地で1年間の研修を終え、期待感を胸に奈良県宇陀市、三重県度会町に分かれて農業を始めました。
しかし、参入当時は、地元の農村の方々からのきつい風当たりにぶつかる毎日でした。
例えば、初めて来た土地で地域の事をもっと良く知ろうと車で周辺を走り回っていた時に、集落全体を見渡せる高台を見つけました。
そこで、停車してただ周囲を眺めていただけだったのですが、その様子を傍から見ていた方が、「なんか怪しい事をしている。」と即座に警察を呼ばれ、集落で大騒ぎになった事がありました。
また、真剣に農作業をしているだけで
「あの集団は、オウムのような怪しい集団ちゃうか。もし、違ってたとしても、いずれ大量の産廃を捨てるとか、初めから良からぬ事を企んでいるに違いない。」
と農村内で話題になり、遠巻きからほぼ毎日見張られ続けられました。
とにかく一挙手一投足、何をやるにしても誰かに見られている…そんな感覚でした。
今だからこそ上記のような内容も笑い話として言えますが、集落の皆さんが皆家族のような付き合いを続けられているからこそ、いきなりあかの他人が住み着けば警戒心を抱くのは当然とも言えます。
ましてや14年前と言えば、衝撃的なオウム事件の後だっただけに“本気で農業をやる”等、当初は理解を得る事が難しく、全く私達の話を信頼してもらえなかったのも頷けます。
ただ、当時の類農園は、まさかこれほど逆境からのスタートになるとは思っておらず、悪戦苦闘の日々が続いたそうです。
『類の皆の為にも頑張りたい!』、『何とか農村の方々にも信頼をしてもらいたい!』、『もっと皆で一緒に農業をやりたい!』このような想いを胸に抱きながら、日々の農作業を真剣に取り組み続けました。
分からない事は近くの農家の方に素直に聞きに行ったり、日曜日の出合(畦を直したり、獣害対策を協働で行う等)や朝5時前から集落内の水管理の手伝い等を行い、ただひたすら24時間365日、とことん農村の方達と課題を共有し、農村内の役割の一旦を担えるように頑張りました。
時には、出合作業を終え、皆でお酒を酌み交わしながら、「これからの農業」や「地域どうする?」等を熱く議論する事も度々あったそうです。
こうした地道な努力が、設立4年目を迎えた頃についに花が開き出します。
ある農家の方から、
「来年は自分も年で出来ない。今の所身内で担い手も居ない。●●さんの所に頼む事も出来るんやけど、いつも頑張ってくれている類農園さんで借りてくれないか?」と担い手の声がかかったのです。
この声かけが出た事でようやく周りの方々が受け入れてくれたという実感が持てたそうです。
以来、毎年1反、2反の耕作依頼が次々にいただけるようになり、耕作面積を広げて行きました。
今では、三重 約25町、奈良 約10町(農地はいずれも賃借を含む。1町は約10,000㎡)まで拡大しています。
また、農地の拡大と共に、農作物の品質評価の向上も追求した結果、今や県内はもちろん全国的にも評価・表彰をいただけるまでに成長しました。
このような評価をいただけたおかげで、他府県から「類さんのお米を下さい!」、「大和菜を売って欲しい」等などたくさんの声をかけてもらえるようになり、今では直売事業が好調で東京や大阪等の大都市圏での顧客拡大が現在進行形で進んでいます。
「第40回奈良県農林産物品評会」で、類農園の黒大豆が「奈良県農業共済組合連合会理事長賞」を受賞しました。
「第1回耕作放棄地発生防止・解消活動コンペで全国農業会議所会長賞」を受賞。
更に、地域の就農支援を目的にインターン生受入れ数も『西日本一!!』
年間20~30名と、全国一の実績を誇っています♪
シーズン中は、ほぼ毎週3~10人のインターン生が来ては、学んでくれています
※ 受入れ数は、「全国新規就農相談センター」の数値を入力。
設立から14年目を迎えた今では、地域の方からも、
「類農園さんに来てもらってほんまに良かった」
と言っていただけており、これだけ皆さんから期待していただけるからこそ、更に農地を拡大し、活躍の場を広げて行きたいと考えています。
このように類農園では、短期的な利益追求の視点ではなく、
>類設計室は共同体である。しかしそれは、決して甘い幻想の上に成り立っているのではない。
先に挙げた自主管理の原則も、<誰もが組織を管理する事>つまり常に組織の立場で問題を考える事であって、単に個人の立場で考える事ではなく、まして自分の好き勝手にやる事ではない。
類設計室という一つの生産体を、誰か他人のものではなく自分のものとして捉える事ができるかどうか、それは会議をはじめ様々の類的な活動を、強制されたものではなく目的的な活動として獲得してゆくか否かに、かかっている。
(自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則)
この類グループの認識に則り、『自分達の生きる場を自分達の手で作る』その為に、日々採算や品質を追求し、周りの期待に応えながら成長を遂げてきました。
●農の多面的機能を基盤にさらに『類農園』は成長を続ける
その手始めとして、現在15,000人の生徒数を抱える類塾とタイアップし、実施している自然体験教室の拡大があります。
自然体験教室に関しては、こちらをご覧下さい。
>自然は最良の先生。子供たちの心を癒し、感動を与えてくれます。それだけではありません。自然や生き物は、決して自分たちの思い通りには動いてくれません。
実際に自然の中で作物を育てることを通じて、子供たちは、自分で様々な工夫や試行錯誤をしていきます。それらはすべて生きた知識となって子供たちの記憶に残り続けます。
“自然”を通じた教育は、生命の営みの不思議さ・大切さを体感させてくれるとともに、豊かな現実感覚を育ててくれます。そうした体験が誤った万能感を抑制する効果を持つことは、多くの教育者が立証しています。(引用終了)
自然や農業から集団での充足体験を学び、子供達が「社会に役に立つ」人材へ育っていって欲しい。との想いに応えるべく、類農園では体験事業を拡大していきたいと思っています。
この教育機能を活かした農業事業が広がっていくに連れ、皆さんからの教育面での期待も高まり、次の事業展開が見えてくるのではないかと考えています。
では、最後に類農園が考えている今後の事業展開について述べて行きたいと思います。
●次代の農業可能性
類農園が将来実現したいと考えているのは、
『
潮流予測4 農(漁)村共同体の建設 』をご覧下さい。
>市場拡大によって、生殖と生産という二大課題が分断され、生産活動を失った密室家庭は、教育機能をほぼ全面的に喪失してしまった。その結果、勉強しか出来ない子や、周りとの関係が作れない子や、引きこもりetc、精神破壊が深く進行中である。
どうするかだが、もともと子供たちの健全な心を育むには、自然に触れる作業が最も適している。従って、農漁業を手伝いながら学ぶ体制を作ればいい。 (引用終了)
農業には、人を人として感化、教育としてくれる力があり、食べるものを作ると言う「しごと」は、人間にとって最も重要で基本的なものではないかと考えます。
だからこそ、農業は私達に欠かせない仕事(学びの場)であり、皆の期待を一身に浴びる仕事(学びの場)であると思います。
また、農業には、私達を愉しませたり、癒してくれる機能もあります。
更に、教育機能として、人間本来の生きとし生けるものとしての『心の有り様』を育ててくれます。
このような農業体験を通じ、幼少期から生産と消費を担って、社会に役に立つ人材へと育っていって欲しい、との想いから『農業小学校の設立』を考えています。
とはいえ、日本では本格的な設立の動きは出てきてはいるものの、まだ土・日の体験的な農業小学校程度しかなく、具体的な構想(壁・カリキュラム等)は、これからもっと詰めていく必要があります。
ただ、現段階で言えるのは、地域の廃校を利用させていただき、一部教室を寮に作り変えた全寮制の小学校で、地域に根づいた学校を目指していきたいと考えています。
そして、そのような環境下だからこそ、例えば、義務教育以外のカリキュラムとして、農作業や伝統的な祭り、遊び方等を地域のご老人の方々にも先生となってもらいながら、子供達に学んでもらったり、地域を知る事で地域の良さを全国的にアピールすべく、子供達が生産した農作物を全国の商店街にお邪魔して販売したり、既存の小学校の枠に捉われないような『人材教育』を主眼に考えて行きたいと思っています。
だからこそ、次代を読める類農園が先駆者として農業小学校の実現に向けて取り組んで行きたい と考えています。
最後になりますが、類農園の農場長が『「人と人のつながりを作る」その橋渡しとなるのが「農業」』と言ってくれた言葉があります。
この言葉の奥には、農業小学校以外にも色んな事業展開を通じ、農業から日本の社会を変えて行きたいとの想いがあり、実現に向けて類農園は日々精進しています。
今回のシリーズを通して、多くの方が類農園に興味を持っていただければ幸いです 😀
本シリーズも最後まで読んでいただき、有難うございました
◆これまでのバックナンバー◆
★成功を導く確かな理論~これまでの内容をまとめて紹介します♪①~
↑成功を導く確かな理論①~⑪はこちらをご覧下さい☆
★シリーズ13:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑬受付は会社の心~
★シリーズ14:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑭後輩指導に必要な力とは!?~
★シリーズ15:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑮自分の殻にこもる中堅人材を頼れる存在に育てるには?~
★シリーズ16:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑯内定者の入社率を高めるには?前編~
★シリーズ16:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑯内定者の入社率を高めるには?後編~
★シリーズ17:成功を導く確かな理論 ~時代に先駆けて事業化した類農園①~
★シリーズ17:成功を導く確かな理論 ~時代に先駆けて事業化した類農園②~
是非、ご愛読下さい
- posted by shiogai at : 20:30 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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