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2013年07月01日

未来を拓く、社会事業の可能性-1- なぜ今、社会事業が注目されているのか?

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【業界分析と展望】シリーズ、今回のテーマは  『社会事業』  です
社会事業とは何か? 
広くは社会的課題をビジネスとして事業性を確保しながら自ら解決しようとする活動です。
ひとくちに社会的課題といっても様々あります。
地域活性化(まちおこし、村おこし)、少子高齢化(子育て、教育、介護)、環境問題などなど。
近年ではこれら社会的課題の解決をコンセプトに掲げる事業として、 「社会的企業(起業)」 「ソーシャルビジネス」 「コミュニティビジネス」などのキーワードで注目を集めています。
また職業選択としても、一般企業への就職よりも社会的企業or起業を選択する若者も増えつつあるとのことです。

なぜこうした社会事業が注目されているのか? 
これからどういう方向へ向かうのか? 
どのような切り口(テーマ、スキーム)に可能性があるか? 
事業を長く継続してゆくために大事なことは何か? 
我々の働き方はどう変わってゆくのか? 
これら社会事業は社会を変える勢力となりうるのか?

今回のシリーズでは、未来を切り開く社会事業の可能性を、最新の事例を紹介しながら追求してみたいと思います

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◆社会事業をめぐる新しい潮流

◆日本全国で続々と登場するソーシャルビジネス
NPOの形態をとりながら事業として継続して活動資金を得ているもの、社会事業を本業として起業した会社、従来の本業を持ちながら新たに社会事業に取り組む会社など様々なタイプが登場しています。
さらにこうした社会事業を育成するためのインキュベーションやベンチャーへの投資も増えています。
こうした動きは、3.11震災復興も含め、近年さらに活性化していている様子です。
社会的課題の解決とともに新たな雇用の創出、地域活性化の面でも注目されています。

・ソーシャルビジネス・ケースブック ~地域に「つながり」と「広がり」をもたらすヒント
 http://www.meti.go.jp/policy/local_economy/sbcb/casebook.html 
・被災地の復興に向けたソーシャルビジネス
 http://www.meti.go.jp/press/2011/01/20120113002/20120113002.html
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◆金融、ITは古い?!新しいビジネス“社会的企業”
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=178350 

現在、ハーバード・ビジネス・スクールやコロンビア大学、オックスフォード大学といった名だたる名門大学で注目されている新ビジネスがある。
それは金融ビジネスでもITビジネスでもなく“社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)”と呼ばれるビジネスだ。
アメリカでは一流大学を卒業し、モルガンスタンレーやマッキンゼーといった人がうらやむ経歴を持った人が「やりがい」を求め退職し、社会的企業に就職するケースも増えているようだ。

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※ハーバード社会事業大会 http://www.his-j.com/kanto/corp/group/inspection/harvard_study/

◆社会企業家の次なるビジョン(ウイリアム・ドレイトン)
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=181448 

これまで、「社会企業家」とは、「営利を目的とせず、企業的手法を用いて、社会に貢献する新たな事業を生み出す人々」と定義されてきた。
これからの時代は、この定義が大きく変わっていくだろう。
「営利を目的とせず」という定義が、反対の側から見直されているからだ。
反対側とは、これまで「営利企業」と呼ばれていた企業のこと。
いま世界的な潮流となっている「CSR」(Corporate Social Responsibility)の思想が、これまで「営利企業」と呼ばれていた企業にも、「社会的責任」や「社会貢献」を強く求めるようになってきた。
こうした時代の変化を考えるならば、これからは、企業や組織を、単純に「営利企業」と「非営利企業」と分けることはできない時代となっていくだろう。
すなわち、どのような企業も組織も、「いかにして社会に貢献するか」を考え、同時に、「いかにして活動を継続する資金を事業から得るか」を考えなければならなくなる。

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※アショカ財団 https://www.ashoka.org/ 

◆高いスキルを無償で提供する「プロボノ」な人たち
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=223026 

自分の仕事を続けながら、社会貢献したい。
NPO等に参加して畑違いの事をするより、自分の持っているスキルを最大限生かして世の中の役に立つ事をしたい。
そんな思いを実現する「プロボノ」という形態が広まりつつある。
「社会の役に立ち、自分のスキルを高めるチャンスを得られ、業界の第一人者などより高いスキルと経験を持った人と仕事ができるチャンスがある。プロボノは、今後のビジネスパーソンにとって必須の活動になってくるだろう。プロボノをやるか、やらないかでビジネススキルもネットワークも大きな差がついてくるようになる。感度の良いビジネスパーソンはすでにそのことに気づいている。」
「自分のビジネススキルや職業経験というのは、自分1人だけの財産ではない。社会共有のものなんです。社会を変えていくための共有財産なんです。プロボノ活動を行なっている人たちは、直感的にそのことに気づいている。」

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※サービスグラント http://www.servicegrant.or.jp/

◆私権から共認への大転換、自分たちで創ってゆく共同体社会へ

社会事業が注目されるようになった背景には、大きな二つの潮流があるように思います。
ひとつは社会閉塞から来る危機感。
いよいよ社会全般の行き詰まりが明らかになり、もう他人任せではなく「自分たちでなんとかしなければならない」という意識が急速に大きく、かつ鮮明に顕在化しているのを感じます。
3.11大震災と原発災害、増税・TPP・アベノミクスetc この国の統合階級(政治家、官僚、学者、マスコミ、財界etc)の無能ぶりと、なりふりかまわぬ暴走があらわになり、この意識潮流はますます加速しています。
自分たちでやるしかないと腹をくくる時に来たという感じでしょうか。
もうひとつは、人々の活力源の転換。
潜在思念の奥深いところで、私権(地位、お金)から共認充足(周りの期待に応える充足)へと転換しています。そして「人の役に立つ、社会の役に立つことそのものを自らの仕事にしたい」という本源的な意識が強くなっています。
このふたつの潮流が合流する先に、社会事業という可能性の萌芽が現れているのだろうと思います。
こうした潮流が指し示す社会の姿は、「自分たちでつくってゆく社会」「万人が社会統合課題を仕事として担う社会」となってゆくでしょう。

◆新しい活力源=周りの期待に応える充足
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=270306

破滅に向かう旧社会の深層では、すでに新社会へ胎動が始まっている。
私権圧力が衰弱した以上、その強制圧力によって抑圧されてきた人類本来の活力源が再生されてゆくのは、当然の理(ことわり)である。
事実、’70年以後、貧困の消滅に伴って私権追求はもはや第一の活力源ではなくなり、代わって、周りの期待に応えることによって得られる充足(安心や喜び)、すなわち共認充足こそが最大の活力源となっている。
つまり、社会の表層での統合者たちの暴走を尻目に、人々は最も深い潜在思念の地平で私権充足から共認充足へと収束先の大転換を遂げてきたのである。
この共認収束の潮流は、今後100年は続く大潮流であり、現在も私権から共認への大転換は進行中である。
そして、その途上の’11年、3.11と統合者たちの暴走を契機として、この大潮流は遂に「自分たちの手で作り出せる能力」あるいは「自分の頭で答えを出せる能力」への期待、云わば自給期待の潮流を顕在化させた。
これらの潮流が指し示す次の社会は、おそらく「自分たちで作ってゆく」共同体社会となるだろう。

◆実現論 第四部 場の転換 「万人が半専任(副業)として参画する」
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=9&t=7 

万人が属している社会を統合する仕事は、万人によって担われなければならない。
それに本来、社会を変革し、統合してゆく仕事ほど、面白い、充実できる仕事は他にない。
万人が参画できる、社会統合組織の条件は簡単で、二つだけである。
社会統合は、全員が担うべき当然の役割=仕事だとすれば、その仕事に対してそれなりの収入が保障されなければならない。
しかも誰もが何らかの専業に就いているとしたら、この組織は誰もが副業として担うことができる半事業組織でなければならない。

◆社会事業の歴史

こうした潮流の行き先をどう捉えるか? 
それを考える上でも、社会事業の歴史を簡単に振り返っておきたいと思います。

◆社会起業家の歴史・各国の状況①
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=178454 

社会起業家の発祥は、1980年代のイギリスあるいはアメリカであるとされている。社会起業家の概念はイギリスにおいて福祉国家に変わって自立型の福祉システムを構築し停滞した社会を活性化する存在として注目され広がったとする説、また「ソーシャル・アントレプレーナーの父」と呼ばれるビル・ドレインなどがさきがけとなり、1980年代初めに米国で生まれたコンセプトが社会起業家であるとする説がある。「アショカ財団」を創立したビル・ドレイトンの記事によれば、財団の基盤となるアイデアが生まれた背景は次の通りである。
18世紀末に英国で起こった産業革命が世界に広まって以降、社会は消費・経済活動を行う「消費セクター」と、教育や公共福祉、さらに環境など「社会セクター」とに分断された。
「消費セクター」では、競争が激化する一方で、起業精神も活発になる。生産性を高めた起業には、より多くの富が集まるようになった。
しかし、消費セクターが力を強めれば強めるほど、税金に支えられてきた社会セクターは競争による進化と発展から取り残されてしまった。
本来切り離されるべきではなかった、両セクターの断絶を取り除き、融合すれば、可能性は倍々に膨らんでいくはずである。
この「断絶されていた経済活動と社会活動を再び統合する」という試み、それが社会起業家の始まりである。
人が生きるために必要な収入と、福祉や環境、生きがい。そういった今まで分離して考えられていたものを、はじめから総合的に捉えていこうとすることが社会起業家の根源的発想であるといえる。

◆社会起業家の歴史・各国の状況②
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=178455

日本において、社会起業家という概念の歴史は浅い。
町田洋次の「社会起業家―よい社会をつくる人たち」は2000年に発行されたが、「社会起業家」という言葉が一般に認知されるようになったのはこの頃から。
経済が発展してゆく中で蔓延してきた企業の絶対的な忠誠や画一主義、利益・効率至上主義、地域社会の崩壊による孤立化などに疑問を持ち、社会貢献や自分の人生の価値について目を向け始めた人々の中で、社会起業家という概念が徐々に注目を浴びるようになっていった。
元々、日本には社会起業家精神というものは存在していた。
例えば明治、大正時代の実業家、渋沢栄一は「道徳経済合一説」を唱え、道徳観と事業で利益を出すことを一致させていく形を理想とした。
渋沢は「私利私欲だけでは結局全体も自分自身もだめになってしまう。
私益を追求するにも道義や公益とのバランスも不可欠だ」と説いている。
これらを始め日本で知られる社会起業家活動は、企業の社会的責任を追求するものから社会福祉、地域振興、子育て支援事業まで様々であるが、その殆どが元々「社会起業家」という言葉を認知していたわけではなく、社会に対して抱いた好奇心や疑問に対して個人の発想と行動力で解決していった結果、後から社会起業家と呼ばれるようになったものが多い。

 
英米で登場した社会事業が最近になって日本にも広がっている・・・という分析は少々不十分かなと思います。
英米ではおそらく1980年代以降の新自由主義経済(金融バクチ経済、グローバル化)により格差や不公平など社会の歪みが大きくなり、そのカウンターとして登場した背景がありそうです。
日本の場合はどちらかというと、3.11後の意識が典型ですが、「脱市場から根源回帰」(人間関係・活動・生活・仕事・心のありよう、地域社会のありようを本源的な地平へ、原点回帰)の意味合いが強いように感じます。

◇旧来の社会活動との違いは何か?
例えば1990年代にはNPOやボランティアが興隆しました。
市場社会の行き詰まりを感知した新しい潮流でしたが、その後を見ると、社会を変えることはできずに旧体制の補完物として絡め取られてしまった感が拭えません。
これは何故か?旧来の社会活動の問題をしっかり総括しておく必要があります。
今回は単なる社会活動ではなく「事業」を志向している点で、実現に向けて一段階上昇している過程に見えますが、そうした総括を踏まえて、実現へ向けての本質的な課題は何かを見定めておくことが不可欠です。

◇「企業」と「社会活動」 の関係
別の視点ですが、そもそも企業の通常の経済活動と社会貢献活動を分けて考える発想はどうなのかという疑問もわいてきます。
もともと企業は社会あってのもの、社会貢献が企業の本分であるはず。
わざわざ「CSR」(企業の社会的責任)を言うのも違和感があります。
社会的でない企業って何なのだろう?。。。
企業は利益のみを追求する存在といった観念も、逆に非営利活動は良いことといった観念も、市場社会の歪みによってもたらされた固定観念だと考えた方がよいと思います。

◆社会事業の本質的な課題or壁は何か?

◇集団=共同体としての基盤構築が不可欠
大きな課題のひとつは、社会事業の実現性、継続性でしょう。
NPOやボランティア、有志の集まり、自主参加と言えば聞こえはよいですが、事業として成立させるにはそれではすまないと思います。
例えば、震災復興の活動でも一時的な善意だけでは結局何もなしえないし、地域の本当の期待とずれた活動になっていくと聞きます。
事業として実現する、継続するには集団としての基盤、組織化が不可欠です。
生産活動や生活そのものに密着した集団、生産共同体、地域共同体としての基盤構築が実現の鍵になるでしょう。

◆実現論 序2.私権時代から共認時代への大転換「必要なのは地に足をつけた共同体企業の建設」
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=0&t=2 

今必要なのは、遠く離れた抽象的な「社会」ではなく、現実に密着した生活の拠点たる職場を共同体に作りかえること、つまり、企業の共同体化である。
この企業の共同体化から、地に足をつけた新しい共同体社会の構築が、着実に進行してゆく。
統合階級が牛耳る上辺の「社会」がどれほど迷走しようとも、現実の地に共同体を建設することは可能であり、むしろ社会が崩壊に向かっているとすれば、なおさら共同体の建設こそが崩壊を突き抜けて新しい社会を実現してゆく唯一の突破口になるはずである。

◇企業も「企業という枠」を超えなければならない
企業の側も変わらなければならない。
社会に対するアリバイとしての社会貢献活動に留まっていては何の意味もありません、単なるゴマカシです。
企業という枠組みを超えてゆかなければ、本当の意味で社会の役に立つこと、社会を変えることはできないだろうと思います。
また旧来からある社会活動団体は、行政の領域や民間企業の領域からはみだす個別課題を活動領域としてきましたが、そういった領域=セクター(行政、企業、第三)の概念そのものを変えてゆく必要があるのだろうと思います。

◆業態レボリューション-5 ~総集編~
 http://blog.nihon-syakai.net/blog/2013/02/002486.html 
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◇「旧観念=近代思想の壁」を突破できるか?
より根本的な問題として「旧観念=近代思想の壁」があります。
既存の社会事業の定番テーマは、町おこし、少子高齢化(福祉)、環境問題、途上国貧困問題などで、旧来の社会活動のテーマと変わらないものも多く、かつての活動のように旧体制の補完物に留まることも懸念されます。
近代思想に染まった発想では、社会の本当の姿、来るべき姿、本当の課題を捉えることはできない、ここを肝に銘じて思考を転換する必要があります。

◆共認革命6 チンケな運動(要求運動の終焉)
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=9050

社会的な問題意識の高い人々の中には、環境その他のサークルで活動している人も多い。しかし、それらの活動が大きな運動に盛り上がってゆく感じがしない、それらの集積が社会を変えていくとは思えない。だから、普通の人は参加する気になれない。
この悪循環の根は、古い運動(論)のパラダイムにある。
´70年、貧困が消滅した途端に、思想は終焉し運動は閉塞していった。
その原因が、豊かさ追求と、それを正当化した近代思想(自由・個人・人権)と、それに導かれた要求運動というパラダイム全体の終焉であることは明らかである。
ところが、今なお多くの運動が、とっくに輝きを失った近代思想に依拠し続けている。
もともとこの社会(市場社会)は、近代思想(恋愛・自由・個人・人権etc)に導かれて成長してきた。
その同じ思想に立脚して、体制を転換させることなど出来る訳がない。

にも拘らず、(新しい思想を構築しようとはしないで)「運動」を存続させようとすれば、身近で具体的な運動目標を結集軸にするしかなく、身近な運動目標に埋没すればするほど体制に絡め取られて、体制の補完物になってゆく。

つまり社会事業の出発点となる、「社会的課題のとらえ方」「社会構造のとらえ方」の問題です。
現在的な社会的課題=危機も、歴史的に幾重にも積み重なって今に至っています。
こうした社会構造を丹念に読み解き、現実世界を動かしている力の構造、危機の構造、そしてそれらを突破する可能性と実現基盤を追求する必要があります。

つまり、社会を捉える新しい切り口、新しい概念装置、新しい社会構造理論が不可欠なのです。
志だけでは足りない。
社会事業を構想、行動するにも、新理論が必要。

これを抜きにして、社会を変える、社会の役に立つ事業は実現できないと言っても過言ではありません。

次回の記事では、社会事業の最前線の事例を紹介しながら、追求を深めていきたいと思います

 

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