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2014年02月21日

日本の大学どうする~学生のローカル志向が意味すること

シリーズ「日本の大学どうする? ~2018年問題を見据えた大学改革
では、大学改革の一つの可能性としてローカル化(地域貢献)への取組み実例を紹介しました。あくまで大学側の試みとしての紹介ですが、このような動きが出てきた背景には当然学生側の意識変化が伴ってのことと思われます。
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グローバル志向に対してローカル志向と言うと時代遅れで消極的な学生(若者)像をイメージしますが、果たしてそうなのでしょうか?この志向の可能性、又はその兆しとなる彼らの潜在思念を探ってみたいと考えます。
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まず、学生のローカル志向を示すデータを紹介します。
【2012年の地元(Uターン)希望者データ】
本データは進学先が首都圏とは限りませんが、地元以外の大学に進学し、卒業後は地元に戻ることを希望する学生の割合です。男女別の特徴もありますが、約60%の学生はUターンを希望しており、進学後時間経過と共にその割合は増加しています。(男子学生の「現時点」の比率が微減するのは、おそらく希望する就職先が地元には無かった等受皿の問題だと想定します)
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画像は、「2013年卒マイナビ大学生Uターン・地元就職に関する調査」よりお借りしました
【なぜ今ローカルなのか】
地元以外の大学に進学し卒業後は地元にUターンを希望する割合は約60%、これが現在の「ローカル志向」の学生割合を示す数字と言えそうです。特に年々その傾向が顕著になっており、想像以上に高いとの印象を受けます。
では、なぜ今時の学生は「ローカル志向」なのでしょうか?非常に興味深い分析をまず紹介します。「地方に目を向け始めた若者たちは日本の救世主になる」と語る、千葉大・広井良典教授のインタビュー記事、及び上記内容を補足するため、出典元の著書『人口減少社会という希望』より、広井先生の考え方紹介します。
「貿易立国の名の下「アメリカ-日本-アジア」「中央-地方」といった序列や枠組みの下でのみ物事を考えてきた結果が、現在の地域の疲弊や空洞化、或いはコミュニティの崩壊ではなかったか。ローカルに向う若者の志向は、むしろ(内向きなのではなく)『日本を救っていく』動ごきと見るべきであり、それに対する政策的な支援策こそが求められている。
ローカルに視点をむける理由は、「成長期の市場主義経済に対しして、低成長期(成熟期)の経済は、日本人が忘れていた互酬性や相互扶助に支えられた「コミュニティ経済」が適すること、また人や自然を対象とする経済活動故に、ローカルこそがその場として相応しい。
またコミュニティと言っても簡単に人が集まるものではない、主体はあくまで経済や生産・消費、雇用・労働と結びついた形の活動や事業でなければ現実性がない。コミュニティを出来る限り経済活動と結びつけ生活の中に組み込んでいく『生産コミュニティ』と『生活コミュニティ』の再融合によって実現されてこそ次代の基本的な潮流となる。」
【ローカル志向の可能性】
如何でしょうか?言葉は違えど当ブログで追求している、或いは提起してきた認識との共通
点を多々見出すことが出来ます。下記「次代を読む」の図解をご覧下さい、
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画像はここ からお借りしました
グローバル志向とは(旧観念と言っても良い)「経済成長」絶対の観念の延長にある幻想或いは騙しと断じて良く、社会の閉塞感は一向に解消されず、若者達もそこに可能性を見出せないのが現状です。事実、「失われた10年、20年」と言われながら日本の経済は全く好転していません。注目すべきは黄色く塗られた部分「次代の活力現は『みんな期待』に応えること」であり、若者の心に脈々と育まれてきた潜在思念が、ここに来て「ローカル志向」として顕在化してきたと考えられます。
さらに、図解は2008年に作成されものであり、3.11の影響を付加するなら、震災以降の統合階級(政治家、官僚、学者などエリート)の無能(暴走)を目の当たりにして、社会閉塞は観念に留まらず、人任せには出来ない、自ら情報を集め思考すべしとする意識の大潮流が生まれてきたと考えられます。(緑色に塗られた部分に追記すべきでしょう)
広井先生が言う、「ローカルに向う若者の志向は、むしろ(内向きなのではなく)『日本を救っていく』動ごきと見るべき」との考え方には大いに賛同でき、納得できるものです。「ローカル経済」とは、「地域共同体」が再生されて成立するものと考えられ、その萌芽は当ブログでも紹介されています。
未来を拓く、社会事業の可能性―4 市場がつくり出した枠組みの崩壊⇒地域共同体の再生
とは言え、活力を持って返ってくる若者達、地元貢献を志向する若者達にとって地元(地域)の受け皿は未だ十分ではありません。また、このような可能性を見出した学生達に何を教育すべきなのか大学側の姿勢も問われるところです。次回以降この当りの実例を紹介しながらさらに可能性を探って行きたいと思います。

 

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