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2014年02月22日

これからの働き方はどうなる? 1.戦後労働政策の変遷~市場の要請で変化

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アベノミクスによる規制緩和で労働条件の規制がさらに緩和されようとしています。今の日本では、規制緩和以外にもワークライフバランス、ブラック企業、格差社会など『働く』ことをめぐって様々な問題がマスコミでも取り上げられています。一方で政治やマスコミのこうした動きとは別に、働くことに収入以外の積極的な価値を求める若者も増えてきています。今後の『働き方』はどう変わっていくのでしょうか。まず、現代の労働政策の変遷を、基本的な制度が出来た戦前から概観します。

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◆’40:労働政策の基本、労働基準法
現代の労働政策は戦後’47の労働基準法と職業安定法が基礎になっています。労働者保護が目的で労働基準法は主要に労働条件(週48時間労働など)を規定。職業安定法は有償の職業紹介や労働者派遣を原則禁止していました。これは中間搾取を阻止することと長期安定的な雇用=終身雇用を守るのが目的のようです。職業紹介は流動的な雇用を前提にした事業であり、労働者派遣は終身雇用を減らす効果があります。
労働基準法が制定されたこの時代はGHQ(アメリカ軍)に日本が占領されていた時代で、GHQは日本の国力を弱めるために労働組合活動を後押ししていました。
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◆’50・60:終身雇用は判例で創られた
この労基法では、解雇についての規定は30日前の通知が主要な内容で、解雇を制限する規定はありませんでした。日本の終身雇用が確立し、正社員の解雇が困難になったのは’50’60年代です。これは解雇をめぐる判例が蓄積され、終身雇用を前提として雇用した以上、相当の事情がない解雇は解雇権の濫用とされたからです。解雇権の濫用が法律として明文化されたのは’08年の雇用契約法で比較的新しい法律です。この時代は世界的な冷戦の時代で、日本はアジアにおける共産主義の防波堤になる事が求められていました。アメリカは日本の生産力を高めるために労働組合活動は抑制しました。この時代に、日本企業の特徴であった終身雇用が一般化します。社員は企業のために猛烈に働き、企業はそんな労働者を一生面倒見るのが当然になっていきます。
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◆’80:消費拡大のために時短
労働関係法規の規制緩和は’47年の法制定から’95まで殆ど行われていません。大きな法改正は’85の男女雇用均等法と’88の労基法改正(週40時間)これはどちらもアメリカを中心とする海外からの圧力で、どちらも企業にとっては規制強化です。規制緩和と言えるのは’85年の労働者派遣法の成立ですが、この時代は企業に縛られない生き方としてフリーターがもてはやされた時代であり、企業の論理で労働者保護が後退したという訳でもないようです。
年間労働時間の国際比較を見ると明らかなように、1988年頃から日本の労働活力は衰弱の一途をたどり、1998年にはアメリカを下回ります。バブル崩壊以降、日本は先の見えない不況に陥り国際競争力をどんどん失っていきます。労働時間の短縮により、日本の内需が拡大し景気が良くなり、余暇の増大で労働活力が増すともいわれていましたが、全く逆の結果になっています。
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’80年代のこうした法改正の裏には、市場拡大をもくろむ国債金融資本家(金貸し)たちの思惑がありました。欧米の市場が飽和し経済成長が鈍化するなかで日本の生産力を衰弱させ、消費を拡大する事でが、日本の輸出を減らし輸入を増やす事が目的です。女性の社会進出は家庭内労働の市場化と女性の消費拡大をもたらします。時短や、フリーターという生き方がもてはやされたのも、日本人の勤勉な国民性を破壊し、消費を重視するライフスタイルに転換するためだと思われます。
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◆’90:規制緩和で阻害労働が拡大
・規制緩和が本格的に始まったのはバブル崩壊で企業業績が悪化した’93第三次行政改革の最終答申以降になります。規制緩和の主要な内容は、労働時間の規制緩和(裁量労働制等)、有償の職業紹介の拡大、派遣労働の自由化、これに加えてアベノミクスでは解雇の規制緩和も進められようとしています。これは、国際競争力の衰弱を受けて企業の論理で進められていることです。国際競争力を高めるためには、社員の能力や活力を高めるのが本来の方法だと思いますが、企業の論理で労働コストを下げるという最も安易な方法に走っています。
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◆’00:ワークライフバランスでさらに労働活力衰弱
規制緩和の動きと平行してワークライフバランスという概念が登場します。これは、一見すると労働者の多様な生き方を実現する事を目指しているように受け取れます。少子高齢化に伴い女性の社会進出を促すためという側面もあるようですが、具体的な内容はあいまいで何を実現しようとしているのか分り難い政策です。
これは、労働活力が衰弱したとは言え、まだまだ高い日本人の勤勉性=長い労働時間を、さらに短くするためのスローガンだと思われます。日本人は働くことを良いことと捉える伝統的な価値観を持っています。この価値観が日本の時短を進めたい金貸しにとっては邪魔になります。そこで、ワークライフバランスという言葉で仕事ばかりしている人間はおかしいという価値観を植え付け洗脳しようとしているのです。ブラック企業キャンペーンが急に活発になって来たのは、この洗脳の一貫だと思われます。
企業は国際競争力を高めるため労働コストを下げようとし、金貸しはさらに日本の生産力を衰弱させるために労働を悪とする価値観を広める。どちらも、働く意欲を衰弱させる動きになっています。
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◆まとめ:日本の労働政策は市場の論理で左右されてきた
労働政策の変遷を振り返ってみると、働くことが人間にとってどのような意味を持っているか深く考えずに、市場の論理(金貸し、経営者、労働者それぞれの私益追求の力関係)で政策が決まっており、これには強い違和感を感じます。労働基準法は、労働という行為は資本権力から強制されて否応なく働かされる行為であると言うことを大前提にしています。本当に働くことを良くしていこうと考えれば、この前提自体を変えていく事になるはずなのに、そこには全く向おうとしていません。
私たちは、労働基準法も終身雇用も時短も女性の社会進出も規制緩和もワークライフバランスも自分たちが望んだことと錯覚していますが、実は市場の論理で決まったことであり、洗脳されてきたに過ぎないのです。
次回は、何故、現代の労働観はこのような貧しい物になってしまったのか、労働とはそもそもどのような行為なのか、さらに歴史を遡って追求していきます。
参考
整理解雇
時短
労働時間の国際比較
男女雇用機会均等法
最近10年間における労働法の規制緩
雇用規制、緩和にカジ 人材派遣分野を先行へ
国家戦略特区、選定議員に竹中平蔵教授ら 雇用規制の緩和は進むか【争点:アベノミクス】
労働規制緩和が社会を壊す(その1)
ワーク・ライフ・バランス
労働時間等の設定の改善
労働時間等見直しガイドライン

 

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これからは共同体の時代
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これからは共同体の時代
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これからは共同体の時代
[…] ①日本の戦後労働政策の変遷を振り返ると、無理やり働かされるのが労働という貧しい労働観で洗脳されていることがわかる。 […][続きを読む]

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これからは共同体の時代
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