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2011年11月09日

成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑧ゼロから考える思考法~


皆さん、こんにちは。突然ですが、これまで作り上げてきた仕組みをゼロから作り変えて欲しいと言われたときに、既存のシステムから頭が離れず、苦労したことはありませんか?今回は、類グループのシステム開発に取り組むNさんが、上司のT先輩から教わった「ゼロから考える思考法」についてご紹介します。
数年前、類グループ内の3部門が使用する夫々異なるシステムを統合する課題が出てきました。その課題を与えられたのが、システム部のNさんでした。新たな課題を実現するために、3つのシステムを再統合することになったので、Nさんには「今までのシステムは無視して、ゼロから考えた新しいシステムを作って欲しい」という期待がかけられていたようです。
しかしNさんはゼロから考える思考法が分からなかったために、「既存システムを夫々修正すれば何とかなる!」と思い込み、作業を進め始めてしまいました。その修正は極めて複雑で作業には手間がかかるため、課題が与えてから1ヶ月が過ぎても全く進展していませんでした。
その姿を見兼ねたT先輩が、「この課題は3部門を再統合する新しいシステム課題だから、ゼロから考えて欲しいと伝えたのだけど、Nはなんで既存システムを修正することにしたのか?」と問いました。
それに対しNさんは、「ゼロから考える思考が分からなくて、結局今までの改修案しか考えられなかった」と伝えました。その言葉を聞いて、T先輩が「ゼロから考える思考とは、既存システムを使って、切った、貼ったでやりくりすることではないんだ。」と言った上で、「ゼロから考える思考法」を教えてくれたのです。
その前にこちら・・・いつも有難うございます。

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●ゼロから考える思考法① 実現イメージを言葉化する
新しい課題を与えられ「ゼロから考えろ」と言われた時、皆さんは最初に何を考えますか?「何から手をつけたら良いんだろうか?」そう考える人は、以下の作業に入ってしまう事が多いと思います。
1.すぐに打ち合わせが終わって席に戻ったら、(考えをまとめる前に)いきなりPCを開いて作業に取り掛かる。切って貼ったような作業ばかりを続け、単純な課題なのに異常に複雑な仕組みを作ってしまう。
2.その結果として、周りの人間は誰も理解できないばかりか、課題を担った本人も、頭が大混乱している状態に。
3.これでは、当然、成果は低いものしか出きず「なぜこんな成果しか出てこないのか」を問われることに。

これでは、先程のNさん同様、ゼロから考えたことになっていませんよね。
ゼロから考えるためには、実現イメージを具体的な言葉にする必要があります 。具体的な実現イメージについては、類グループの社内ネットにT先輩が投稿した内容を引用して、紹介させていただきます。

>それは、何を実現するのか?というのがまずあって、その為の実現基盤を探り、方向性を決めるために意識潮流の分析が必要となる。その実現イメージから離れて、(大量の)事例を集めて考えようとしても、思考が逆転しているような状態であって、これでは何も決まっていかないし、具体性を持った方針は出てこない。
そもそも最初の実現イメージや充足イメージと言うのは、ぼんやりとしていて掴み所の無い様なものとして登場する。それを、少しずつ段階的に具体化させてゆき、”誰がいつまでに何をするか”という具体的な課題にまで落とし込んでいく。
しかし、具体化していくのが難しいイメージは、抽象的でぼんやりしたものとして存在したまま。
一方で、数多くの情報や断片は存在しているが、これらの”具体的な”情報はそのままでは意味を為さない。仮に整理されたものがあったとしても、それは別の実現イメージ発で整理されたものである場合が多く、全く違う軸上にある。
この二つ(潜在思念が掴んだぼんやりした実現イメージと、別の軸で整理された情報)を強引に繋ごうとすると、あちらこちらで矛盾が発生して、思考が堂々巡りに陥ることになる。
(引用終了)

T先輩の場合、作業に入る前には必ず、まっさらな気持ちになって「どうすれば皆に喜ばれる商品になるのか?」を思い浮かべながら、そのイメージを言葉にすることから始めています。それは、このイメージをチームの皆と共認するために、言葉化する必要があるからだそうです。ここが、ゼロから考える思考の出発点となります。

●ゼロから考える思考法② 実現するための段取りを図解化する
次に、「①で考えた実現イメージ(イメージを言葉化したもの)を達成する段取り」を考えます。
ここでの注意点は、①で考えた実現イメージが本来の目的とズレていると、当然、その後の段取りもズレてしまうところです
Nさんのケースに当てはめて考えると、自己判断で直に既存システムの修正という方針に飛び付いた結果、本来の目的から大きくズレてしまい、その後の作業が全て無駄になってしまいました。
繰り返しますが、T先輩は「実現イメージ」をしっかり固定化し、それを実現するための段取りをゼロから考えていくのです。

るいネット「「図解化」の実践」より引用
・まず、「何を実現するのか?」を最初に鮮明にする
頭の中で分かっていても、とにかく言葉にして書き出す。言葉にする=誰かに伝える、ことを意識するとで、方向性が鮮明になってきます。
・大切なのは「相手の期待」から考えること
技術者は何かと自分の専門領域から発想しがちです。例えば、この技術はこの場面に使えるなど。そうではなく、相手がこうしたいと考えていることを実現する技術は何か?と考えます。
ちょっとした違いなのですが、こう考えることで自分の専門領域を超えた発想が出来きるし、最新情報や関連分野を勉強するすることにも繋がりるので、可能性が広がります。
・実現イメージが鮮明にならない時は調べる・勉強する
課題が進まない時は、相手の期待に同化出来ていないか、技術蓄積が不足しているときが大半。だから調べて勉強する。相手の期待に同化するといっても、相手の気持ちや思いといった抽象的なことで済ますさず、相手先の業界の仕組みや仕事進め方など具体的に調べることが重要。また、自分の専門技術は分かった気になっていることが多いので、なぜ?この技術が出来たのだろう?など基本に戻ることが必要。
・「相手の期待」と「専門技術」が結びつき統合されたものが成果品
自分の判断が張り込む余地がないところまで追求できれば、相手先や仕事の仲間に喜んでもらえる成果品になるのではないかと思います。(引用終了)


段取りをゼロから考える際には、新システムに関わる全ての人を想定し、その人たちの立場になって考え、「使い勝手はどうだろうか?」と事例検証していきます。その段取りを考えていくと、元々の実現イメージに不十分な点も見られる場合が出てきます。その場合は、もう1度①の段階からやり直すようです。

このように、「実現イメージ⇒それを達成するための段取り⇒成果の検証」を繰り返せば、誰もがうまくいくと感じられる方針を提示できます。うまくいく方針があれば、最終成果の実現に向かって、チーム一丸となって前進していくことができるのです。
今まで説明してきた話が「ゼロから考える思考」であって、この思考を意識的に何回も使うことで、自身の思考が塗り変えられ「ゼロから考える思考法」が定着していくようです。

●こんなに成長してくれたNさんの事例
Nさんは、T先輩からの指摘を素直に受けとめ、繰り返し打合せを重ねながら「ゼロから考える思考法」を必死に学び、成長していきました。後に、社内ネットで

Tさんと仕事をしていると、何よりも緻密に丁寧に「相手との共認を形成する=相手の活力を上げる」ことを意識しているのを感じます。何であれ実現するということは、共認形成の積み重ねでしかないことを深く認識しているからだと思います。
そこで重要なこととして教えられたのが「相手の活力を上げる」資料を作成すること(共認形成に資料作成は不可欠)。
相手の意見を引き出したい場合は、現状の追求過程が明確に伝わる資料を作成。
相手に指示を出したいときは、実現したいこととその方針が明確に伝わる資料を作成(⇒投稿)。など
「伝えるためにどうする」を考えるので、その表現の仕方も文章、表、グラフ、他何が一番いいかと考えるようになります。
(中略)
打合せでは、上記の思考過程の今はどの部分の追求をしているのか、を意識して捉えるようにしています(わからない場合は必ず確認)。
これがすり合うと、そこからさらに新しい方針(や認識)が生まれるようになります。この一緒に闘っている感覚が、男にとっての大きな手応えと活力に繋がります(それが打合せの雰囲気にも表れているのだと思います)。(引用終了)

と気付きを投稿してくれました。そして今では、類グループのシステム部門をまとめる役割をしっかり担ってくれています。

●「ゼロから考える思考法」まとめ ~まっさらな状態~
つまり、「ゼロから考える」思考法とは、現実直視で自分の思考の枠に捉われず、まったく白紙の状態から皆が可能性を感じる突破方針を出す思考法と言えます。
今までがどうだったとか、時間的にどうとか、最初から自分の固定観念で縛ってしまい、条件を狭めて思考する危険性を知っているからこそ出来る考え方です。
固定観念を抜きに、まっさらな状態から可能性を追求し、それがどうしたら実現できるのか?を徹底的に考えることが、「0から考える」という事だと思います。
最後にTさんからも皆さんに一言!お願いします。
「戦略を練る際には、状況に応じた課題を設定する事が必要だと思うのですが、その際に図解は皆の思考の軸として重要な役割を果たします。但し、状況変化に応じて、課題の中身も変わりますので1度作った方針に固執するのではなく、時に皆にとって何を実現していくのか0から考え直していく必要があると思います。」

以上、るいグループ 塩貝がお伝えしました。最後迄読んでいただき、有難うございました
次回も「成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例シリーズ」をお楽しみに~
【これまでのバックナンバー】
★シリーズ1:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:①プロローグ~
★シリーズ2:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:②庶務は雑用ではない、担当者はリーダー!前編~
★シリーズ2:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:②庶務は雑用ではない、担当者はリーダー!後編
★シリーズ3:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:③表層的だった若手社員が、皆の期待を掴めるまで成長できた鍵は?
★シリーズ4:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:④社員を主体的に変える人材育成
★シリーズ5:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑤トラブル解決の秘訣は「充足第一」
★シリーズ6:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑥『ありがとうは魔法の言葉』
★シリーズ7:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑦私の会社の社内ネット活性化事例♪~

 

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