2011年10月26日
成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑥『ありがとうは魔法の言葉』
皆さん、こんにちは。
今回は、ある中高年のリーダーHさん(55歳)に焦点を当て、Hさんの仲間に対する感謝が一段と深まったお話を紹介します。
●チームの活力が上がっていかない・・・
リーダーのHさんは社内でもとびきりの追求力を持ち合わせています。それを駆使し、どんな難しい課題に直面した時も先頭に立ち可能性を提示していく、誰もが認めるデキる男です。そんなHさんでしたが、1つ悩みを抱えていました。それは、自分のチームメンバーの活力が今ひとつ上がりきらないところです。
Hさんが若かった頃は、上司から『よくやった』と言われた時に最も活力が出ていました。リーダーになった現在、成果を上げたメンバーに『よくやった』と褒めても、チームの活力上昇には繋がっていきませんでした…一方で、成果の出ない者には「なんでできないのか!?」と周りが怖がる程、きつく怒鳴りつけていました。その結果、チームメンバーの活力はむしろ下がっていきました。その様子を感じていたHさんは「何かおかしい」とモヤモヤしていました。
しかし最近、チームの活力が上がらない原因に気付けたのです。
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●気付けたきっかけは2つ。1つは、正しい時代認識の獲得。
本人を含めてチームのみんながモヤモヤしている時に、社会問題の原因構造を解明する『なんでや劇場(類グループ主催。詳しくはこちら)』がありました。
○なんでや劇場レポート「日本人はいつ物を考え出すのか?」(1) 共認充足が最大の活力源。’10年代はそれだけで勝てるより引用
時代は私権社会から共認社会へと大転換を遂げつつあるが、共認時代に必要とされる能力は何か?それが共認力であることは言うまでもないが、共認力の母胎となるのは周りとの共認充足であり、それこそが共認時代の活力源なのである。
本来、人間関係は充足の素であり、健全な人は人間関係をプラス視しているが、私権時代においては人間関係とは厄介な煩わしいものであったがために、 人間関係を否定視し、そこから逃避している人が過半であった。これを逃避体質と言う。原始共同体の時代に人間嫌いがあったはずがないので、逃避体質とは私権を巡って人々がしのぎを削る私権時代の産物である。
私権時代から共認時代へと大転換した今や、共認充足を知らないということは人間失格、少なくとも社会人失格である。そのためには、まず人間関係の否定視から脱却して肯定視することが共認充足を得るイロハのイである。(中略)この10~20年は、充足性の空間→活力だけでも十分勝ってゆける。
そう、今は活力を高めた企業が勝てる時代。そのためには、共認充足が必要不可欠であり、Hさんには共認充足を生み出す集団づくりが求められていたのです。その共認充足を得るには、『人間関係の否定視から脱却して肯定視する』必要がありました。
なんでや劇場を通じて、Hさんは正しい時代認識を得て、「やっぱり自分のチーム運営は充足を生み出せる集団になっていなかった」ことに気付けたのです。
●もう1つは、後輩からの期待
またそんな時に、20歳も離れた仲間から期待の言葉をかけてもらったことも転換のきっかけとなりました。
○類グループ・社内ネット(受付Yさんの日報)より引用
とあるチーム会で怒鳴りつけてしまったHさんに、後輩のKさんが勇気を出して口火を切って下さったそうです。「Hさん、これからは活力を生み出したものが勝つ時代です。誰かを怒鳴っても、みんな活力出ないです。みんなの活力を出す運営をしませんか?」と。男の人が序列を超えて上の人に意見するのは、女が思うよりずっと勇気あることなのだと思います。Kさんはそれを超えて、みんなの期待を発信してくださったそうです。
ここから、またすごいのが、Hさんです。その発言を受けてすぐに「その通りやな。言ってくれて、ありがとう。」とKさん(&みんな)に言って下さったそうです。こうしてまっすぐに受け止め、すぐに間違いを認めて転換し、しかも、そのことに感謝できるのは、すごいことです!!
劇場での認識と下からの期待圧力を受けて、Hさんは「皆の活力を上げるためのチーム運営をしよう!」と転換し始めたのです。
●今は『ありがとう。』の時代!
そこから、Hさんのチーム運営は大きく変わりました。Hさん自身が投稿された記事があるので、紹介します。
○『ありがとうは魔法の言葉』より引用
今は『良くやった』より『ありがとう』の時代なんです。(中略)『良くやった』は、今の潜在思念とのズレを孕んでいるのです。この言葉を発しても、なかなかお互いの充足を固定できません。ここで、中高年の方々は良くわかると思いますが、昔は『良くやった』という言葉は最高のほめ言葉だったのです。だから感謝の気持ちを表すときもこの言葉でいいと思っていたのです。ところが、『褒める』と『感謝』は位相が違うのです。『良くやった』は私権時代では一番評価されたい序列上位者からの個人的評価の言葉でした。その時代では仕事の目標でもありました。だから、いまでも、なんとなく上から目線の感覚をよみがえらせます。
それに対して、『ありがとう』は対等な仲間としての評価なのです。この対等な仲間としての評価は、今の潜在思念とピッタリ来ます。ところが、中高年の多くは『ありがとう』は照れくさい、または軽い言葉として認識しているので、つい『良くやった』という言葉に置き換えてしまっていたのです。
でも気持ちは(=潜在思念は)『ありがとう』って思っていたのです。このズレはとてももったいないと今日気づかせてくれました。これからは、潜在思念どおりの『ありがとう』という言葉にします。
最初はぎこちなかったのですが、即実践してみました。そうすると、うれしい反応が返ってきました。私が『ありがとう』と発する回数以上に『ありがとう』の言葉をかけてくれたのです。また、ミスした部下から、『ごめんなさい』というすがすがしい言葉が返ってきたのです。今までは、ミスの内容を引き出すだけお互い嫌な思いをしていたのですが、今回は直ぐにどうするという思考に入れました、感謝です。
そして一番重要だと思ったのは、この言葉を発しようと思えば、自然に相手の行動のいいところが浮かんでくるのです。今や『ありがとう』の言葉は、ズレた顕在意識の思考を、潜在思念どおりに正してくれる魔法の言葉なのだと実感しました。
●まとめ
昔は、貧困の圧力に基づく、私権を獲得しなければ生きていけないという否も応もない強制圧力を受け、どの集団も力の序列によって秩序化され統合されていました。その集団内では、上司に取り入り出世すれば給料も上がるため、上司からの評価が重要になります。だから私権獲得のために、当時は上司からの『よくやった』が最高の評価になっていたのです。
それが’70年に貧困を克服すると、私権圧力が衰弱し、序列原理も徐々に無効化していきます。序列原理の引力が衰弱すれば、人々がその強制から脱して、上からの命令通りには動かなくなり、人類本来の共認原理に回帰していきます。だから、序列上位者からの『よくやった』では、現代人の活力アップには繋がらなくなります。
Hさんの場合は、こうした時代認識を得て、下からの期待圧力を受けたことで、自らの序列意識を崩壊させる(=自分は旧いと実感する)ことになりました。それがあったから、チームのみんなを初めて「同じ課題に取り組む仲間」として接することができたし、チームメンバーもHさんの転換を喜んでくれました。すると、Hさんの中で、課題に共に向う仲間に対する感謝の念が湧き始め、彼らに贈る言葉も、今までの『よくやった』から『ありがとう』に変わっていきました。
このように、Hさんはチームメンバーを序列から対等な仲間として捉えるようになり、彼らに対する感謝の想いを深めたことで、今まで以上に『みんなで課題を突破して充足したい』想いが湧くようになったのです。今ではHさんのチームメンバーの意識は高く、更なる成果を挙げられるようになり、誰もが「あのチームに入りたい」と思えるようになりました。
現在、『ありがとう』という言葉はどの職場でも気軽に使われていますが、Hさんの『ありがとう』からは深い想いが伝わってきます。それには、同じ課題を共にする仲間への心からの感謝がいっぱい詰まっているからです。同じ『ありがとう』でも、仲間に対する感謝の深さによって、相手に伝わる想いも大きく変わる。だから、Hさんの『ありがとうは魔法の言葉』になるのですね。
今回はHさんの事例を取り上げましたが、類グループにはこのような成功体験が沢山あります。社内ネットなど(詳しくはこちら)を通じて、皆の成功体験を共有できる類グループだから、あちこちで感謝発の充足空間が形成されており、それが高い成果の源になっているのです。以上、類グループの奥澤がお届けしました。
◆これまでのバックナンバー◆
★シリーズ1:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:①プロローグ~
★シリーズ2:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:②庶務は雑用ではない、担当者はリーダー!前編~
★シリーズ2:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:②庶務は雑用ではない、担当者はリーダー!後編~
★シリーズ3:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:③表層的だった若手社員が、皆の期待を掴めるまで成長できた鍵は?~
★シリーズ4:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:④社員を主体的に変える人材育成~
★シリーズ5:成功を導く確かな理論 ~共同体・類グループの事例:⑤トラブル解決の秘訣は「充足第一」~
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