2015年07月14日
地域共同体の再生 第7回「 植物と微生物による発電法 」まったく新しい自然エネルギーに注目
地域のエネルギー自給の取り組みを紹介するシリーズ。既存の大規模電力会社を使わずに、自分達で自ら使うエネルギーを自給できる取り組みを紹介してきました。しかし今はまだ、太陽光パネルのような、どうしてもコストばかりかかり、非効率な技術に頼らざる得ない状況でした。しかし、それを解決する新しい発電手法に注目が集まっています。
過去の記事はこちら
第1回~プロローグ~
第2回~意識変化に対応していない地域の組織化~
第3回-1~エネルギーを中心とした街づくりが今成功している理由~
第3回-2~共同体の再生に力を入れている地域活動の紹介~
第4回~地域のエネルギー自給(都市型)~
第5回~ご当地電力が続々誕生! 人を育て、コミュニティを育てる「まちエネ大学」~
第6回~自家発電で晴耕雨読の日々をおくる夫妻に聞く、これからの電力自給のあり方~
将来的には水田を発電所と呼ぶようになるのかもしれません。
オランダの企業「Plant-e」が開発したのは、植物を植えた湿地から電力を“収穫”する技術。まさに、天然のソーラーパワーシステムとも言えるものです。植物から街灯やWi-Fiスポットの電気をまかなったり、スマホなどの電子機器を充電できるようにもなります。
このプロジェクトは「Starry Sky」とも呼ばれ、2014年の11月にアムステルダムで始まりました。すでに300以上のLED街灯に光を灯すことに成功しています。
光合成によって生成される有機物の中には、植物の成長を促す成分が含まれています。しかし、そのほとんどは使用されずに根っこから土へと排泄されてしまうのだとか。そのため、根っこの周りには、その有機物を食べようと自然と微生物が集まりますが、そこにヒントが隠されているようです。
微生物が有機物を消費する際には、電子が放出されているのだそう。そのため、そこに電極を設置することで電子を収集、電力を生み出す仕組みです。
気になるのは植物への影響ですが、調査の結果この電子を収集するからといって植物の成長に影響が出るということはないそう。今まで無視されていたエネルギー活用できるため、まったく新しい資源と言えそうです。
電力量が微量なのでは? との意見もありそうですが、100㎡の敷地で、年間2,800kWhの発電量を確保することが可能。
ちなみに、これはオランダの家庭1件あたりの電力消費を80%ほどまかなえる計算になります。2014年の日本の平均電力使用量は1世帯あたり年間4,432kWh。100㎡の敷地が確保できれば、家庭の電力使用量のおよそ60%ほどをカバーできるという計算に。さすがに全電力というわけではありませんが、かなり有効なことが伺えます。
エネルギー自給だけでなく、農業など食糧自給とも親和性が高い、この技術。実用化はまだ始まったばかりですが、これからの発展に期待大です。
- posted by 岩井G at : 19:00 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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