2020年09月11日
【実現塾】~人類集団の起源は「共同保育」を基盤とする『母系集団』
ここまで、原猿から類人猿(オランウータン)そしてジャワ原人(→人類)に至る進化の構造(史的構造)を見てきました。
今回は、ここまでの追求を踏まえ、「人類集団の原基構造」です。
人類につながる類人猿は、原猿→新テナガザルの中から「妊娠・授乳期間」を一気に延長させたことで、大型化するとともに親和機能を発達させ知能を進化させたサル。(※リンク)
そして、その類人猿(チンパンジー、ゴリラ、オランウータン)のなかで、最も授乳期間の長いオランウータン(他が3or4年に対し7年)のなかから、先祖返りして樹上に住めなくなったカタワのオランウータンが人類に進化していく。(※リンク)
原猿→新テナガザル→オランウータンの進化を促した鍵は、「授乳期間の延長」→「母子密着」→「密着充足」→「性充足」を高めっていったこと。その先に人類の進化がある。
Q.しかし、人類の授乳期間がオランウータンより短いのは?
樹に登れなくなったカタワのオランウータンは、「同類圧力>生存圧力」から「同類圧力<<<生存圧力」に一変する。
遺伝の先祖返りは良くあることで、300万年前のオランウータン発生から180万年前のジャワ原人までも、樹上に登れなくなったカタワのオランウータンは常に発生していた。しかしその99.9%は生き残れず、「挑発機能」と「性充足」を強化していった雌(メス)オランウータンだけが奇跡的に生き延びる可能性がまだあった。(リンク)
カタワの雌(メス)オランウータンは、洞窟に隠れ棲むしかない環境のなかで、生命線である授乳期間の長さを捨ててでも、庇護してもらうために樹上にいる雄(オス)オランウータンに性挑発を行い「性充足」へ可能性収束していった。
(※授乳期間中は、雌は発情しなくなるため性充足が制御される。)
また、想像を絶する過酷な生存圧力に晒されるなかでは、存続のための「危機多産の本能」が強力に働く。授乳期間が長く出産数に限りがあるオランウータンは、子供を増やすためには授乳期間の短縮が必要であった。
★過酷な外圧環境に直面したカタワの雌オランウータンは、「挑発機能→性充足への可能性収束」と「危機多産の本能解放」が重なり、『授乳期間を短縮』させていった。
Q.カタワに母子オランウータンが、どのように集団になっていったのか?
カタワの雌(メス)と健常の雄(オス)から生まれる子供は、オスかメスか、カタワか健常か、どの可能性もある。
その際、生まれた子が授乳期間の終了後に樹上生活に戻れば人類には繋がらないので、生まれた子が残留して人類に至ったことは確かだが、例え生まれたのが健常オスだったとしても、森林に戻り樹上で生存できる能力はなかっただろう。
足の指が樹に登れる機能をもっていても、樹間を飛びまわって生存していくには、親・大人を真似て訓練する保育・子ども期間が必要。(※人類の子どもの遊びはそのためにある)
オランウータン→原始人類は、授乳期間を短縮して大人になるまでの保育・子ども期間が長く、その期間を洞窟の中で育って大人になったのに、森林に向かい樹間を飛びまわり縄張りを確保する能力はないだろう。
ましてや、森林は真猿(オナガザル)が縄張りを占め、ニッチの樹冠も首雄オランウータンが縄張りを占めている。(※原モグラから縄張りを確保し放題の森林に向かった原猿とは状況がまったく違う。)
あと付け加えるならば、洞窟に隠れ棲んで授乳→保育期間を終え大人になったからといって、母親に依存していた子どもから雌を守る雄になって(庇護本能の解放)、雌の母親も大人になった息子へ依存本能が働くなか、母親のカタワ雌オランウータンを捨て出ていくだろうか。
それに、想像を絶する過酷な自然圧力・外敵圧力に直面し、本能上の武器を失ったカタワのオランウータン→原始人類は、残された共認機能⇒観念機能に先端収束しているなか、樹上のオランウータン(サル)に戻るだろうか。
★洞窟に隠れ棲むカタワのオランウータン→極限人類は、生まれた子がカタワであろうと健常であろうと、オスであろうとメスであろうと、『すべて残留』と考える方が整合する。
そして、当初は洞窟に隠れ棲むカタワの雌オランウータンは、樹上の雄オランウータンに性挑発を行っていたが、残留し成長したカタワの雄オランウータンに対して(依存⇒)挑発→性充足していったと考えられる。ゆえに、人類は「近親相姦の性」を起源にする。
そのようにして、足の親指の先祖返りしたカタワのオランウータン=劣性遺伝子が増え、集団内に発現形質として固定され、樹に登れないオランウータンが増えていく。
★原始人類は、『母子生殖→兄妹婚』で集団化。
Q.原始人類集団の形態は?
オランウータンは、7年の授乳期間を終えるとすぐに大人と同じものが食べられるようになる(そういう永久歯を持つ)。一方、人類は授乳期間を短くしたため(1or2年ほど)、六歳臼歯といわれるように6歳にならないと永久歯が生えてこないから大人と同じものが食べられない。
人類は「授乳期間の短縮→性充足への可能性収束」と引き換えに、オランウータンには無い「授乳期間後の保育期間」を4年ほどもつことになる。
ただし、この期間は母乳ではないので、その保育は必ずしも母親でなくても可能。
そして、人類は「性充足」の機能を進化させたことにより、知能がオランウータンよりも著しく発達する。
人類の脳は、生まれた時は400~500ccほどで類人猿と変わらないが、3 段階の発達で 3倍にもなる。出産後の1年で2倍となり、5 年で大人の脳の90%となり、12~16 歳で大人の脳になる。それに対し類人猿は、概ね4 歳で2倍になると終わる。
母子密着の授乳期間を短縮してまでも性充足に可能性収束したことで、知能→脳容量が増大する。それにより、授乳期間後の子育て負担が増大する。
それが、母親だけから仲間同士で保育する『共同保育』の集団形態に収束していく。
(※赤ちゃんがなぜあんなに泣くか、あるいはにっこり笑って誰からも愛される存在になるのは、母親だけではなく、いろんな人の手にわたって育てる「共同保育」が人類の子育ての特徴だからであろう。)
★原始人類は、『共同保育』を基盤とする集団。
Q.原始人類集団のリーダーは?
観念機能(精霊信仰)に先端収束することによって統合された人類集団では、精霊への祈りが最も重要な課題であり、元々は二足歩行訓練という目的であった踊りや祭りも、精霊への祈りが主要な意味に変わっていったであろう。
また、それに応えるために最も霊感能力の高い者(一般的には女)が集団のリーダーになったはずである。
このように原始人類集団では、祭祀の長(シャーマン)=部族長である。部族長がいなかった部族があったとしても、シャーマンのいない部族はなかったであろう。
もちろん、祭祀とは別に、食糧(動物の死骸の骨)を拾いに出る決死隊も必要であり、そのリーダーは男が担っていたが、霊感能力の高いのは一般に女であり、原始人類の集団のリーダーは女が担っていた可能性が高い。(※集団のリーダーは力の強い男という固定観念を塗り変える必要がある。)
そして、集団のリーダーになったのは経験智の高い婆さんである。
この婆さんが娘たちの婚姻相手を決めるわけだが、その相手は集団で最も優れた男=首雄になるのは必然である。このように、原始人類の首雄集中婚は男が主導したものではなく、女たちが望んだものなのである。人類に限らず殆どの哺乳類が首雄集中制をとっているが、生殖過程(雌雄関係)の主導権を握っているのは雌(女)たちであって、首雄集中婚だからといって雄(男)が主導権を握っていたと見るのは大きな誤りである。
★原始人類集団は、共同保育を基盤に、霊感力の高い女がリーダーの『母系集団』で、女主導の『首雄集中婚』。
Q.人類は、いつ単一集団を超えた社会を形成したか?
新テナガザル→オランウータンは、真猿(オナガザル)との同類闘争は経験しているが、闘争集団化した「真猿」を経由しておらず、「原猿」から進化した。(リンク)
そのため、カタワのオランウータンから進化したジャワ原人→人類は、集団間の同類闘争を経験することなく進化した。
★カタワのオランウータン以降の人類の歴史の99%は『単一集団』。
観念機能(事実認識=洞窟・貯蔵・火・調理具・戦闘具・舟・栽培・飼育)の進化によって生存力を強化した人類は、2万~1万年前、弓矢によって外敵と互角以上に闘えるようになった頃から洞窟を出て地上に進出する。
そして地上に進出した人類は、忽ち外敵を駆逐して、1万年前頃に農耕・牧畜・遊牧の生産技術も発明し繁殖していった。その結果、繁殖による集団の拡大→分化を繰り返した人類に、ようやく同類闘争の潜在的な緊張圧力が働き始める。
集団同士が接する緊張状態が高まると、人類は「贈与関係」で緩和して共生する。しかし、約5000年前にイラン高原で、乾燥化の気候変動による自然外圧→飢えの圧力が高まると、共認原理で集団間の同類闘争を止揚することができず、人類史上はじめての略奪闘争→戦争を起こし、私権統合の社会に至る。
★現在、私権統合の社会が崩壊していくなか、人類は、改めて『共認原理で同類闘争をどのように止揚するのか』の課題に直面している。
「サル・人類の原基構造(史的構造)」シリーズはここまでです。
【(本投稿を除く)シリーズ投稿】
※【実現塾】~原猿の登場
※【実現塾】~原猿の(+)(-)価値混濁 → 親和本能の混濁 ⇒ 一体充足
※【実現塾】~親和共認の母体の上に闘争共認が上部共認として形成
※【実現塾】~自我とは何か? 自我肥大どうする?
※【実現塾】~ 真猿(オナガザル)との縄張り闘争に敗れた原猿→新テナガザルの中から類人猿に進化
※【実現塾】~人類の祖先は「オランウータン」
※【実現塾】~カタワの母子オランウータンが観念機能を獲得し人類に進化していく
※【実現塾】~人類はなぜ移動していったのか? なぜ寒い北方に行ったのか? なぜ可能だったのか?
by麻丘
- posted by komasagg at : 15:43 | コメント (0件) | トラックバック (0)
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