2007年06月29日
「○○は聖職」という旧観念~企業にとって利益とは何か?~②
続いて、企業経営と社会との関係について多数の著書を残したピーター・ドラッカーの言葉についても参考にしたいと思います。
—ピーター・ドラッカー「現代の経営(ダイヤモンド社)」より引用—–
企業にとって第一の責任は、存続する事である。
換言するならば、
企業経済学の指導原理は
利益の最大化ではない。
それは、損失の回避である。
したがって企業は、
事業に不可避的に伴うリスクに備えるために、
余剰分を生み出さなければならない。
リスクに対する
この余剰分の源泉は一つしかない。
利益である。
(中略)
利益の最大化が
企業人の動機であるか否かは定かではない。
これに対し、
未来のリスクを賄うための利益、
事業の存続を可能とし、
富を創出する資源の能力を維持するための
最低限度の利益をあげることは、
企業にとって絶対の条件である。
介護などの福祉分野、医療、教育などいわゆる聖職と呼ばれる領域では、「利益を上げること=悪徳企業」というような根強い観念があります。これらの社会サービスでは今後さらに民営化が叫ばれることになり、これらのサービスを民間企業が「事業」として担うことになります。そして、これらの事業は社会的に必要不可欠な分野であり、今回のコムスンの問題であきらかなように、その企業が倒産、撤退などによりサービスが停止されれば最も被害を被るのは「顧客(国民)」といえます。
とすれば、より企業の存続ということが強く問われることになるのではないでしょうか。であれば、考えるまでもなく「利益(儲け)」の確保は絶対条件といえます。にもかかわらず、マスコミは「聖職で儲けるのは許されない」の1点張り。いったい、どうやって永続的かつ良質なサービスを提供するのでしょうか。企業にまでボランティアで行えというのでしょうか。
「利益=搾取=悪」という旧い観念を見直す時期にきているように思います。
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