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2013年03月06日

健康産業が向かうべき方向性とは?(前編)

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画像はこちら
近年、「健康」は東日本大震災後の放射能汚染や遺伝子組み換え作物、食品偽装などの問題を受け、関心が非常に高まっている分野です
実際、ネットや各種メディアでも非常に多く扱われ、健康に関する話題を見聞きしない日はないといっても過言ではありません
買い物に行っても、サプリメントやトクホ、有機野菜など、健康を売りにした商品は年々増え続けています。政府もメタボ検診を義務化するなど、健康に力を入れているようです
しかし一方で、サプリメントで栄養を補い、トクホを口にしていれば健康になるのかといえば疑問が残りますし、何が本当に安全な食品なのかよくわからない、場合によっては健康を謳う商品ほど怪しい感じがする… というのが多くの人の実感ではないでしょうか
そのような実感からは、現在の健康産業は本当に消費者の健康に寄与しているのだろうかという疑問すら浮かんできます
そこで今回は、現在の健康市場の実態を明らかにし、その上で「健康産業が向かうべき方向性とは?」を扱います

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■健康産業の動向:頭打ちの「商品」と急速に伸びる「情報」
実は、健康産業の範囲や定義は明確ではありません
一般的には、健康を増進させるために提供されるサービスのうち、医療行為でないものを指します
健康産業は
①健康食品
②健康器具
③施設での健康関連サービス
④情報提供に関するサービス
の4つに大別できます
健康産業に関する広告・商品の多さからは、健康市場は拡大しているように見えますが、実態は総体としては頭打ちです
産業構造を解明し、頭打ちの原因を探るため、分野ごとの動向を見ていきます
①急速に拡大し、頭打ちとなった健康食品
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現在、健康食品の市場規模は1兆1500億円程度で4分類の中で最大です。
よく目にするトクホ(特定健康用食品)は5000億円程度で半分近くを占めます。
健康食品市場は80年代以降、健康テレビ番組やメタボ診断の義務化などを追い風に急速に成長しました さらに、2000年前後からはインターネット通販が急激に伸び、手軽に購入できるようになったことも大きな追い風となりました
しかし、グラフから明らかなように、現在はすでに縮小傾向にあります。以前にも増して力を入れた宣伝が行われているにも関わらず、なぜ縮小しているのでしょうか
データによると、実際に健康食品を使用した人の8割以上が「期待したほどの効果なかった」と感じています。この実質的な効果=価値の薄さが要因になっていると考えられます。
つまり、現在の執拗なまでの宣伝は、売上が落ちつつある危機感から、なんとか売上を維持しようとする健康産業の焦りなのです。
しかし、現在のように目先の売上ばかりを追っていても、市場は縮小していく一方でしょう
<参考>
2兆円規模まで成長した健康食品市場の「真実」
2011年の市場規模、1兆1500億円(3%減)で踏みとどまる
②ブームの影響を受けやすい健康器具
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健康食品市場の規模と比べると、市場規模は1/10程度です
バランスボール、足つぼマッサージグッズ、肩こりマッサージグッズ、フットスパグッズなど、健康回復機器やフィットネス機器は多様化しており、商品の入れ替わりが激しい市場となっています。
一過性のブームは多いですが、商品が入れ替わっているに過ぎず、市場全体としては伸びにくい構造です。
③安定市場となっている施設での健康関連サービス
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代表的な健康関連施設としてフィットネスクラブがあります
フィットネスクラブ市場は80年代に登場し、90年代のバブルまでは順調に拡大しました。バブルの崩壊に伴い、一時は縮小傾向となりましたが、高齢社会を向かえ、健康志向の高齢者向けの設備(温泉設備など)を充実させ、高齢者を顧客として取り込むことで市場は回復し、その後は安定した市場規模を維持しています。
直接効果を感じやすく、仲間と一緒に楽しく利用できるというのも安定した利用者を確保できている理由だと考えられます
④急速な伸びを見せる情報提供に関するサービス
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健康食品や健康器具、施設サービスなどの市場が頭打ちであるのに対して、情報提供に関するサービスは市場規模は小さいものの、唯一拡大傾向にあります
考えてみればテレビの健康情報番組は増える一方ですし、ベストセラーに占める健康本の比率も上図のように近年になって急速に高くなっています
加えて、計測機器、情報システムの発達を受けて、日常生活における健康状態、病気の兆候、予後のマネジメントを見守る新技術が次々に開発されつつあります
携帯などで記録した食事内容から健康状態を分析したり、歩数計・活動量計、体重体組成計、電子血圧計のような家庭で使用されている機器と連帯したりするサービスも普及してきています。
スマートフォンの普及にともない、こういった生活に密着したサービスが利用しやすくなっていることから、今後はグラフのように拡大していく市場として注目されています
○「薄っぺらの商品開発」と「本当の健康を求める意識」の乖離
高齢化や原発事故をきっかけに、みんなの健康に対する意識は高まっていると思われます。しかし、それとは反対に過剰とも言えるほどの宣伝をしているにも関わらず健康関連商品の売上は減少傾向にあります
現在の健康関連商品は、目先の売上確保が第一目的となっている商品が主流となっているため、消費者の本源的な健康を得たいというニーズとはずれた商品となっています。
売上の減少は、そのズレが年々大きくなっていることを示しており、このまま効果不明の類似商品を発売するばかりでは市場は縮小する一方でしょう
一方で、唯一情報提供サービスが好調なのは、主体的に情報を掴み、事実に基づいた本当の健康を得ようという意識が高まっていることの証と言えるのではないでしょうか。
■健康産業の歴史:大きな岐路に立つ健康産業
みんなの健康に対するニーズは間違いなく高まっています。にもかかわらず、健康市場の拡大が頭打ちになっているのは、市場で供給されている健康商品が本当にみんなが求めているものからズレてしまっているからです
なぜ、このようなズレが生じたのでしょうか 日本の健康市場が拡大してきた歴史をさかのぼってその原因を追究します
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①1970年代:健康ブームの始まり
日本の健康ブームは70年代から始まったと言われています。1970に豊かさが実現し、大衆の意識が「物から心」に変化します。健康も安心という精神的な充足を与えてくれる重要な分野になります。これに加え、高齢化社会に突入したこともあり、健康に対する関心は高まっていきます
但し、スポーツクラブなどお金を払って健康を手に入れようとするのは、一部の関心が高い層や富裕層の贅沢であり、健康市場という面ではあまり大きな成長は見られませんでした。
②1980年代:健康市場の大衆化
健康市場が大衆化したのは80年代で、バブル景気も相まって普通の人たちがテニスやスキーを楽しみフィットネスクラブに通うようになります。美食をしてスポーツでダイエットするのがカッコイイと思われていた時代でした。市場は拡大しましたが、スポーツや自然食品が中心で、今のような多様な商品はまだ登場していません。
③1990年代:健康市場が市場拡大の牽引役に
健康の市場化が進んだのは90年代です。そのきっかけとなったのがバブル崩壊です。
バブル崩壊で国の財政破綻が加速し、厚生労働省は医療費削減のため政策的に健康増進を推進し始めます。
また、市場縮小が明らかになると、政府も産業界も数少ない成長市場である健康市場に注目します。
経済産業省が初めて産業政策としてスポーツ産業を取り上げ、特定保健用食品制度が発足するなど、健康市場拡大の基盤整備が進みますサプリメントなどの新たな商品が登場します。マスコミも健康情報番組を増やし大衆を煽り健康商品の消費を拡大させます。
大衆も高齢化の進展、年金崩壊といった将来不安もあいまって、マスコミの煽動に乗せられ急速に健康意識が高まっていきます
④2000年代:健康市場の過熱
00年代にこの現象は加速し、あるある偽装問題を産み出すほどに過熱します。
政策的にも健康増進法が制定され健康は国民の義務になります。様々な業界が健康を付加価値に加えた商品を開発し、マスコミが本格的に煽って消費を拡大させます。
行き過ぎた嫌煙運動をはじめ健康ファシズムも加速します 😡
⑤2010年代:健康の市場化に対する違和感が顕在化
この流れに大きなブレーキをかけたのが08リーマンショック、11年東北地震、原発事故です。大衆は市場のおかしさに覚醒し、断食など過剰消費を脱する本源的な健康意識が芽生えてきます
市場拡大の最後の砦としての健康市場
現在の健康ブームの大半は、歴史を見ても明らかなように、市場拡大のためにマスコミによって無理矢理つくり出されたものです。市場は、製造業をはじめ、あらゆる業界で縮小傾向にあり、購買意欲を掻き立てる幻想価値をつくり出さなければモノが売れなくなっています。そこで「健康」が都合よく利用されているのです この構造は「エコ」市場とまったく同様です 👿
国が各種の健康政策を策定し、マスコミが健康への不安を煽って欠乏を刺激、企業が健康商品・健康サービスを供給する。冷静に見れば、健康政策の中身も、マスコミの報道内容も、企業の商品も、その根拠や効果は疑わしいものばかりですが、実際に市場は拡大してきました
そうして健康を市場に委ねた結果、食品添加物など人工物質、遺伝子組み換え食品、放射能や農薬に汚染された食品などが年々増加し、健康を求める国民の意識とは逆に、食品汚染・環境汚染は進行し、深刻化しています 😥
■健康志向の根底にある根源回帰の意識潮流
健康商品やサービスの利用者は、つい最近まで目先の安心材料、気休めとして求めていたに過ぎません。本気で健康を志向・追求していたわけではなく、モノを買っても充足できなくなった代償として健康を求めていたのです
しかし、代償充足とはいえ、70年代以降、健康への関心が年々高まっていたのは事実です。
東日本大震災による原発事故を受けて、この健康への関心は、本格的に顕在化し、本当の意味での安全・安心を求める意識が高まっています。その結果、健康市場に流通する旧来の商品・サービスと消費者の意識が乖離しはじめているのです。目先の健康商品が衰退する中で、情報提供に関するサービスが拡大しているのもこのためです。
今まではただ商品を消費するだけだったのに対し、現在は主体的に情報を収集し、事実に基づいて健康を考えるというように、大きく意識は変化しています。さらに、より深い潜在思念の次元で健康を志向しているため、上辺の謳い文句には徐々に踊らされにくくなっています。
健康産業は、未だに不安を煽ることによる目先の売上=市場拡大ばかりを考えていますが、この産業構造は根本的に国民の意識からズレています。本当に対象化すべきはこの安全・安心を求める根源回帰の意識潮流です。健康産業は根本的な転換の必要を迫られているのです。
次回は、以上の状況認識を踏まえ、健康産業が目指すべき方向性を提示します

 

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