2013年05月21日
『共同体経営とは?』総集編3 -共認原理の組織統合から、ネットワークを通じた社会統合へ-
こんにちは!
『共同体経営とは?』シリーズ総集編第三弾です。前回のまとめでは以下の記事を扱い、共同体企業“類グループ”が歩んできた歴史を振り返り、共同体企業が如何に激動の時代を生き抜いて来たのか、その組織構造(経営システム)に注視してきました。
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総集編2 共同体企業の創出とそのシステム
■7 市場社会の常識を打ち破って登場した共同体企業 類グループ
■8 経営者であり労働者である仕組み=自主管理体制とは?
■9 共同体の根本規範とは?=合議制システム
■10 民主主義の欺瞞性
■11-1 社内ネットの可能性 認識の進化と実践の積み重ね この両輪が会社を変える①
■11-2 社内ネットの可能性 認識の進化と実践の積み重ね この両輪が会社を変える②
■12-1 実績予測システム 経営への主体的な参画
■12-2 実績予測システム 専門分化と職能意識からの脱却
■12-3 実績予測システム 分化と統合が生み出す新しい生産の場――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
共同体企業“類グループ”が40年という蓄積の中で構築してきた組織構造と経営システムは、まさに「共同体経営」そのものです。記事を読んでいただいてわかるように、それらは全て順調に進んできたわけではなく、数多くの試みが失敗の繰り返しの中で淘汰され、本当に良いものだけが残ってきたということです。失敗の中で外圧の変化に適応しつつ、塗り重ねられてきたこれらの組織構造・経営システムは、確実にこれからの企業の可能性を敷衍してくれる“勝ち筋”となるでしょう。
本シリーズ最後のまとめとなる今回は、「事実の共認~統合様式」について書かれた記事をご紹介します。社会の役に立つという当事者意識向上の輪を広げるためには、事実の共認が不可欠であり、且つそれを発信しなければその実現はあり得ません。更に、そこで得た事実認識を現代社会における集団(企業)に活かすことが、最も効果的な手段となることは既にご紹介した通りです。
近年顕在化している生産様式の変化(工業生産→意識生産)は、新たな創造闘争を生み出しています。感度の鋭い人ほど、工業生産=機械主体から意識生産=人主体へと社会が動きつつあることを察知し、次なる実践に移行しているのではないかと思います。この外圧変化に適応するには、企業内における活力上昇が鍵となってくるでしょう。そのため、事実に基づいた認識力と充足力を備えたより大きな外圧適応態へと進化していく必要があるのです。
そこで重要になってくるのが男女の役割共認。1970年の物的豊かさの実現→生存圧力の消滅→私権圧力の衰弱→本源回帰の潮流という現代社会の流れを捉えれば、“人”に焦点があたるのは必然です。そのため、男女それぞれの能力を最大限に引き出し、期待・応合で結ばれた組織づくり、すなわち“共認原理に基づいた組織統合”が次代を生き抜いていく上で、最も重要な認識であることを私たちに教えてくれます。生産様式の変化だけでは、社会は変わらないのです。
前段が長くなりました。
それでは、『共同体経営とは?』総集編3スタートです!
13 社会事業として「事実の共認」
「社会貢献」と「人材育成」の2面を持つ「事実の共認」
類グループは、「事実の共認」を元に40年間成長を続けてきました。数々の高い実績の土台となってきたものが、事実を追求し積み重ねてきた「実現論」やこれらの認識の体系化を目指した共認形成の場「るいネット」です。そして、それらは社会の役に立つことを目的とし、自社内だけでなく社会に向けて公開してきました。
これらの活動は、社会貢献という側面の他にも、人材育成という側面もあり、企業の「生産活動」として全社員で取り組んできました。
なぜ人材育成に繋がるのでしょうか?
事実の追求により磨かれる「認識力」、社会の当事者となり考えることで身につく「人材力」を高めることができるからです。結果、各々が主体的に取り組める人材を育む土壌が、「社会事業」として形成されてきたのです。
14 社会の当事者になる仕組み~なんで屋・ネットサロン・なんで屋劇場~
社会の当事者になる仕組み=共認形成の場
社員たちでみんなの「なんで?」に答える路上のなんでや露店、「なんで?」の答えを追求するネットサロン・なんでや劇場といった『場』を通じて、人々のさまざまな疑問に答えていきました。
目標は、社会を変えていく力の基盤となる認識仲間を育てることにありました。しかし、消費者の答えを供給していくだけでは、個々の様々の求める答え欠乏が満たされるだけでした。
では、どうやったら社会の当事者を増やせるのでしょうか?
社会事業の新たな体制構築へと動き始めました。企業=生産者を対象とした企業ネットワークの構築です。
15-1 事実認識に基づいた男と女の役割共認①~女の役割とは?~
女の役割=生殖・安定性を基盤とした充足存在
1970年に貧困を脱し、物的生産から意識生産へと生産様式が転換していくと共に、女も生産戦力となる時代になりました。“物から心へ”、“機械から人へ”と生産主体が移り変わる過程において、企業における女の役割に注目が集まるようになって来ました。
生物が雌雄に分化して以降、常に集団内(種)における安定と生殖を担ってきた女性ならではの充足性が、組織の中心的な活力源になっています。女は、“応える・育む・充たす… 充足存在”だから、仲間の活力を上げ集団を育むのです。
今後の企業にとって、女の充足性を活かす為にはどのような組織形態が良いのでしょうか?
女の期待されている役割を鮮明にする為にも、その対極にある男の役割にも着目する必要があります。男と女は違うからこそ、意味がある。その中身をさらに深めて行きましょう。
15-2 事実認識に基 づいた男と女の役割共認②~男の役割とは?
男の役割=変異性を担う闘争存在
1970年以降、私権の衰弱に伴い「草食男子」という言葉まで登場しました。男は「(私権の)力の基盤」を失い、新たな役割の模索期へと入ったのです。
私権に変わる力の基盤は、私的充足から仲間充足の可能性追求として顕現しました。つまり、「みんなの期待に応える」という共認原理への転換が新たな男の活力源となり、若者を中心に課題収束の潮流が見られるようになりました。
「草食化」と言われるのは、実は男の闘争目的が変化しただけの現象。実際には、「自分の為」ではなく「みんなの為に」闘う男が、増えてきているのです。では、今後男の力はどのような形で発揮されるのでしょうか?
女の充足性を土台とし、みんなの期待に応えることに活力を見出していく男達。このように男女が仲良く、お互いに期待に応え合える組織は絶対に強い!集団を母体とした「男女の役割共認」と「みんな発への転換」、この要素を合わせて共認形成力の発揮される組織(集団)となれば、どんな逆境をも乗り越えていける企業となるでしょう。
16. 共認形成力の獲得~充足力+認識力が基盤☆~
生き残る企業で求められる能力「みんな発の共認形成力=認識力(最先端)+充足力(最基底)」
現在、過剰刺激によって水膨れさせてきた物的欠乏は、生存圧力が消滅し衰弱してゆかざるを得ません。市場は縮小し経済状況も厳しくなり、社会の混乱も大きくなる時代だともいえます。そこで求められるものはなんなのでしょうか?
認識力と充足力です。この2つがこれからの企業に求められる能力です。
それはなぜでしょうか。
生き残る企業には、いかに状況が変化しても答えを出せる柔軟な力=認識力が、求められます。さらには、その認識力を生み出すために、充足空間とそれを生み出す充足力が欠かせないからです。この両輪を活かした共認形成力を発揮するためには、『自分発からみんな発』への転換の認識が不可欠ですね。
17-1 生産様式ではなく統合様式が要 その1 ~因果関係と収束関係・・・思考方法の違い~
因果関係の追求だけでは不十分。必要なのは「どうする」を追求する実現思考。
因果関係思考の総本山「(要素)還元主義」。物事の摂理を、因果関係で、端的かつ論理的に説明する還元主義の思考は、近代科学に欠かせないもの。その方法は、複雑な現象を単純化し、可能性が低いことは起こらない、と切り捨てることで成立します。しかし、3.11、「想定外」の(原発)事故が起こってしまいました。
保身意識や(現実)否定意識を伴って、事故を防げなかった“出来ない理由”を考える。そうして、出てきた言葉が「想定外」=言い訳=思考停止。「(要素)還元主義」に代表される因果関係偏重思考は、どうしようもなくなると言い訳思考になることを証明しました。
では、因果関係にとどまらない収束関係(実現思考)とは、何?
因果関係を根底まで掘り下げた上で、未来に向かって「どうする?」を思考し、可能性の収束関係(実現関係)を「⇒」で明らかにする思考。過去の因果を遡る「←」とは思考のベクトルが全く逆。この思考が、実現思考です。
17-2 生産様式ではなく統合様式が要 その2 ~統合様式が生産様式を規定する~
企業組織、そして社会も、変革の要は「統合様式」にあります。
下部構造(≒生産様式)と上部構造(≒統合様式)という概念で、社会変革の可能性を説いたマルクス。19世紀最大の思想家が到達した結論は、正しかったのでしょうか?史実に沿って見てみると、残念ながら正しくはなかったと総括されます。わかりやすい例は、日本。下部構造(≒生産様式)は世界で最も発展して、上部構造(≒統合様式)と大いに矛盾をきたしているのに、社会変革は一向に起こりません。「万国の労働者よ、団結せよ」は精神論でしかなかったのです。
収束関係で史実を紐解くと、実は、マルクスの説は「逆」であることがわかります。正しくは「統合様式が生産様式を規定する」(マルクス流に言うと、上部構造が下部構造を規定する、です)。[統合様式]⇒[生産様式]という図解です。
この認識を企業の組織改革に活かすにはどうすればよいのでしょうか?
一般に「生産様式」に着目した組織改革が広く行われています。途上国に生産拠点を移すなどがそれです。しかし、それは一過性の改善にしかなりません。本当に組織改革を行うならば、着想点は「統合様式」。統合様式の変革が、生産様式を可能性へと導きます。そして、今現在、もっとも適応的な統合様式は、共認原理による組織統合。すなわち、「共同体企業」が答えです。「共同体企業」が『企業共同体』として手を取り合っていく。社会を変えていく糸口は、収束関係で結ばれた『企業共同体』の輪が広がっていくことと考えます。
■『共同体経営とは?』まとめ
さて、「皆の生きる場を、皆の手で創っていく」という極めて原初的な想いからスタートした本シリーズもとうとうおしまいです。共同体経営実現のためには、先ず自分たちの持てる能力を明らかにし、それらが有効に活用できる環境を整え、相互に充足や活力を与え合える仕組みの整備が必要不可欠となります。敷衍して言えば、『みんなの充足第一』を羅針盤とした組織づくりが、これからの社会貢献のかたちとなり、次代への適応方針となることでしょう。
本シリーズでは、上述の内容をほぼ網羅してご紹介してきました。私権の終焉→本源回帰の潮流という大きな流れから、これからの時代をどう生き抜いていくか?その答えが共同体企業である
、という大きな仮説のもと、企業・社会の共同体化の実現に必要な認識の修得へと導く内容です。
改めて全体を俯瞰してみると、生物の歴史・共同性を学び、日本に残存する共同体性を学び、共同体企業の理論と実践を学び、共同体社会構築のための理論を学んできました。歴史事実と理論を併せて検証した結果、企業が次代を生き抜いていく答えは、【共認原理によって組織統合された共同体企業】であることがわかりました。そして、それら共同体企業が手を取り合って、企業の共同体化の輪を広げていくことが、社会を変える糸口(可能性)となるのではないかと考えます。
■次回シリーズ【大転換期を生き抜く】
時代は大きな転換期を迎えています。本シリーズで追求を深めてきた認識を活かすためには、今どのような大転換が起こっているのかを知る必要があります。そこで次回シリーズでは、【大転換期を生き抜く】をテーマに設定して、社会で起きている多様な大転換をキーワードに分析・追求を深めていきます。決定的な転機はいつ訪れるのか?実はみんなが気づいていないだけなのか?場の転換とはどういうことなのか?経営者ならずとも、みんなが気になっていることを明らかにしていきたいと思います!
次回シリーズ【大転換期を生き抜く】。
お楽しみに!
■リンク集
『共同体経営とは?』シリーズ。最後に、約7ヶ月にわたって追求を深めてきた成果(記事リンク)を一挙ご紹介して終わりにします。
ココから共同体企業の輪が広がり、共同体社会構築の一助となることを願って。
■0 新シリーズ『共同体経営とは?』 プロローグ
■1 遺伝子の共同体
■2 群れの持つ意味を探る
■3 人類の統合様式 共認原理
■4 人類の統合様式 私権原理・序列原理
■5-1 日本の村落共同体とは? 主体性の高い集団自治
■5-2 日本の村落共同体とは? 闘争と生殖を包摂した集団
■6 日本的経営とは 特徴と歴史
■7 市場社会の常識を打ち破って登場した共同体企業 類グループ
■8 経営者であり労働者である仕組み=自主管理体制とは?
■9 共同体の根本規範とは?=合議制システム
■10 民主主義の欺瞞性
■11-1 社内ネットの可能性 認識の進化と実践の積み重ね この両輪が会社を変える①
■11-2 社内ネットの可能性 認識の進化と実践の積み重ね この両輪が会社を変える②
■12-1 実績予測システム 経営への主体的な参画
■12-2 実績予測システム 専門分化と職能意識からの脱却
■12-3 実績予測システム 分化と統合が生み出す新しい生産の場
■13 社会事業としての「事実の共認」 実現論・るいネット
■14 社会の当事者になる仕組み なんで屋・ネットサロン・なんで屋劇場
■15-1 事実認識に基づいた男と女の役割共認① 女の役割とは?
■15-2 事実認識に基づいた男と女の役割共認② 男の役割とは?
■16 共認形成力の獲得 充足力+認識力が基盤
■17-1 生産様式ではなく統合様式が要① 因果関係と収束関係・・・思考方法の違い
■17-2 生産様式ではなく統合様式が要② 統合様式が生産様式を規定する
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