ということで、【元気な会社】シリーズ第3弾は、『魔法の砲丸を作る辻谷工業』さんです。
0.プロローグ
1.板室温泉大黒屋
2.あらき
3.辻谷工業
4.キシ・エンジニアリング
5.未来工業株式会社
6.小ざさ
7.伊那食品工業株式会社
8.ハッピーおがわ
9.医療法人鉄蕉会亀田総合病院
10.沖縄教育出版
11.まとめ
2000年のシドニー五輪の直前、当時の砲丸投げ第一人者・フィンランドのアルシ・ハリュ選手はこう語りました。
『重心がずれた砲丸は、飛距離が2mは落ちてしまう。俺は日本の砲丸で投げるよ。』
『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』
坂本 光司 著 ダイヤモンド社 より、
辻谷工業さんは、小さな町工場で、世界一と称される砲丸を作っています。そしてそれは、世界で唯一完全に真ん中に重心がある砲丸と言われ、五輪3大会連続でメダルを独占しています。
また、
日本クリエイション大賞 ニッポンのもの作り賞
厚生労働大臣賞 現代の名工
経済産業大臣賞 元気なモノ作り中小企業300社
秋の褒章受章春秋褒章 黄綬褒章(2008年)
という輝かしい受賞暦を持っています。そして、コンピューター制御の機械を超えた精密性、鍛えあげた人間の能力をフルにつかう技術力、あくなき品質へのこだわりなど、実現するための技術的追求力を中心として、数多くの評価を辻谷工業さんは獲得されています。
詳細は、『辻谷工業HP 』をご覧ください。とにかくびっくりです。人間は、もともと信じられないほど高い能力をもっていて、たゆまぬ探求さえすればそれを開花させることが出来るという内容です。
ところで、このような日本の製造業のきわめて高い技術力に焦点をあてた評論は他にも多く紹介されています。しかし、なぜそのような追求力を長い間維持できたのか?というもっと普遍的な側面からの分析はほとんどありません。
そこで今回は、辻谷工業さんが世界一の技術力を獲得するに至った歴史のなかに、成功する企業の行動を規定している意識や価値について考えてみたいと思います。