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2018年12月19日

少子化、クルマ離れの中で抜きん出る南部自動車学校① ~担任制導入~

18歳人口は減少の歯止めも見えず、どの大学も生き残りをかけた動きに入っています。
一方「若者のクルマ離れ」が言われるのも少子化問題が顕在化した2000年頃から。
日本自動車工業会が今年4月に発表した昨年度乗用車市場動向調査によると、車を保有していない10~20代のうち「車を買いたくない」「あまり買いたくない」という回答が全体の54%を占めています。

この二重のマイナス状況の中でも、業績を伸ばしている自動車学校が三重県伊勢市にあります。
今回は「『人』財経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から「南部自動車学校」を紹介します。

南部自動車学校の創業は1962年。モータリゼーションの波に乗り順風満帆に売上を伸ばしたが、1973年の石油ショックで業績低迷。それを建て直した加藤智社長の跡を継いだのが、現在の加藤光一社長です。1962年生まれの加藤光一氏は大学卒業後→東京の商社に就職→28歳で退職→2年間他所の自動車学校で修行後→1973年に南部自動車学校に戻ってきました。
当時はまだ18歳人口も200万人を超えていた時代でしたが、バブル崩壊により不況・デフレの影響から自動車学校は価格競争の流れに差し掛かっていた。価格競争に飲み込まれてしまえば経営体力を消耗するばかりでなく、社員の頑張りも活かせない。近い将来の少子化の波がくれば沈没する危険性さえある。

そこで加藤光一社長が取り掛かったのが「担任制」導入でした。「担任制」って何??

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2018年11月29日

シニアの活躍が社会の活力に!

人生100年時代。
各企業の定年年齢も次々に上がっています。
「少子化だからしょうがなくやっているのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、
定年=引退=まだ人々の期待に応える力があるのに役割を失うという、社会の活力を奪うような制度がやっと見直されてきたとも言えます。

そもそも、村落共同体が国中にあったころは、老人にも役割がありました。
村の子供たちに教育を授ける役割や、農作や治療等の生きていくのにかかせない知恵を伝承する役割、
人々の悩みを聞き、時に向かうべき道を示す役割等々。

それがあるとき、「サラリーマン」という職業が生まれてから、60歳という年齢で役割を失うことになってしまったのです。

ところが社会に目を向けると、60歳どころか、70歳でも80歳でも現役で社会で活躍している人々が大勢いますm051.gif
皆、自ら役割を維持し続け、または新たな役割を見つけ続け、それぞれの世界で「人々の期待にこたえ続けていく」ことで
活力をもって働き続けています。

CASE1:80歳超えの現役ダイバー
・千葉県館山市の荒川さんは、80歳を超えてもほぼ毎日、タンクを背負って海に潜る現役ダイバー。
18歳からダイビングを始め、船底の清掃や海難事故の行方不明者の捜索等、潜水一本で生きてきました。
35年ほど前からダイビングショップを構え、多くの人に海の楽しさを伝えることを生きがいに今なお現役で働き続けています。
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CASE2:80歳超えの現役ライター
・外国公館の首席通訳/翻訳官として長年勤務を続けた、島村泰治さん。現在はフリーランスとしてWEBライター等の仕事をしています。
活躍し続けているポイントの一つが、「スピード感」。社会の期待に「素早く」応えていく意識が、人間の能力を衰えさせない秘訣になります。

CASE3:80歳超えのプログラマー
・銀行員として働き、定年を迎えたころにITと出会い、80歳を過ぎてi phoneアプリを開発した若宮正子さん。
プログラミング言語Swiftをゼロから学び、81歳で「hinadan」というひな祭りをテーマにしたアプリを開発しました。
政府の「人生100年時代構想会議」の有識者議員も務める中、2018年2月には国連総会の基調講演にも立ちました。
アプリを開発した経緯は、現在発表されているどのアプリも高齢者には使いにくいと感じたから。
これまで、年寄は機器を使いこなすスキルがないと思われてきたけど、そうではない。
「テクノロジー側が年寄のことをわかってない」。視力や指先の繊細さ等、使いかがわかるかわからないか以前の生理的な問題が大きいとのこと。
失敗こそが生きる糧だと語る若宮さんは、「全てを学習の機会」と捉えています。
先読みが難しい時代だからこそ、極めるべきは「人間力」とも語ります。そのためにも、大人は子どもたちの好奇心の芽を潰さないこと。毎日知識だけ詰め込んで、試験に合格したら数学はサヨナラ、なんていう詰め込み教育とは、もうお別れした方がいいとm051.gif

80歳を過ぎてなお現役で、しかもアプリ開発の世界で活躍する先駆者の言葉は、社会のこれから向かう先を示しているように思えます。
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以前、10代の若者の可能性を取り上げましたが、http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2018/09/6199.html
役割を見つけたシニア世代も社会の期待に応えようと動いています。
足を引っ張っているのは、むしろ世間で現役と言われている20~50代ではないか。
本気で社会の期待に応えようと、既存の制度を超えていける世代が増えていくことができれば、
社会の活力が大きく上昇していくことでしょう。

参考(CASE1) https://www.iza.ne.jp/kiji/life/photos/180829/lif18082914560020-p3.html
(CASE2) https://w-kawara.jp/aging-workstyle/20170810/
(CASE3) https://www.businessinsider.jp/post-161128

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2018年11月28日

小ざさ ~店と客が「味」を守ることで40年以上行列が途切れない~

今回は「ちっちゃいけど世界一誇りにしたい会社」(坂本光司著:ダイヤモンド社)から学ぶべきことの多い会社を紹介します。

東京・吉祥寺のダイヤ街という商店街に「幻の羊羹」を売る「小ざさ」という店があります。店舗の広さは畳2畳のたった1坪。それでも年商は3億以上とのこと。

扱っているのは「羊羹」と「最中」のみ。値段も羊羹が675円で、最中が70円ほどのお手頃価格。
看板の羊羹は、一日限定150本商品。一人3本までなので、手に入る人は50人程度ですが、その羊羹目当てに北海道や沖縄など全国からやってきます。店の開店時間は午前10時ですが、朝8時半に番号札が配られ、その番号札があれば営業時間内に羊羹を買うことが出来るシステム。その番号札を手に入れるために朝4時から、盆暮れには朝1時から行列が出来始めます。これが何と40年以上続いている。

売上比でいえば10%程度のこの羊羹がどうしてここまで「小ざさ」人気を引き上げているのでしょうか。

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2018年11月08日

老舗企業に学ぶ~変革のススメ~

日本は世界でも有数の老舗企業大国と言われています。
100年・200年以上も続く企業が数多くあるのです。

“老舗企業”と聞くとどんなイメージを持つでしょう?
多くの人が、「昔から同じ業界で同じ商品やサービスを展開している」というイメージを持つのではないでしょうか。

しかし、老舗企業として業界を牽引している企業を見てみると、
『常に社会を対象として、変化し続けてきた』企業が多いことがわかります。

CASE1:船橋屋
元祖くず餅で知られる船橋屋は、亀戸天神の参道に本店を構えて200年余り。
現在の八代目社長が就任してから、組織改革が始まりました。
職人絶対主義から、“組織”として生き残っていくための“志”の貫徹を行い、組織の志に共感し、実践できる人材を採用することで、人材の底上げを行ったそうです。
その志は「くずもちイズム」と呼ばれ、「くじけない心意気」「ずっと磨き続ける自慢の商品」「もっと良いを実現する経営体質」「ちからを強く今ここに全力投球する人財」。
もう一つは、プロジェクトマネジメント体制の確立。
プロジェクトリーダーを若手や中堅・幹部社員等、役職に関係なく就任し、全社員が自らの意思で主体的に考え・行動する仕組みづくりを行いました。
「組織活性化プロジェクト」も幹の一つ。全社員が管理されて動くのではない、自律型人材を目指し、自分の意志で創意工夫を積み重ねながら仕事に取り組み、職場環境の改善や社員のモチベーションアップ策を提案・実施するもの。
★社会を対象にした志を基盤に、社員一人一人が経営者レベルで自ら考えて動く組織

CASE2:尾池工業
刺繍糸の製造販売からスタートし、社会状況の変化に合わせて加飾材料、蒸着フィルムの包装材料に進出、現在はデジカメや携帯電話に使われる特殊な電子材料を中心に好調な経営を続けています。
企業理念としても「変化」「挑戦」を掲げており、「大きく変化し続ける社会において、京都という地域、そして社会に深く根差した企業として今後も発展していくために、自ら変化していく」という思いで、経営に取り組んでいます。
★企業としての生き残りをかけて、自ら柔軟に変化をする組織

CASE3:森永製菓
大手製菓企業の森永製菓も、変革に着手した企業の老舗企業の一つ。
100年以上の歴史がありながらも、世の中の大きな変化に対して「既存ビジネスだけでは立ち行かなくなる」と、危機感を抱いたトップが社長直下の「新領域創造事業部」を設立しました。より社会が期待するものを提供するため、組織として“本気”で未知の領域へ踏み出しました。
選抜されたメンバーへの期待も相当に大きいもの。
スマホで年賀状もつくれる「おかしプリント」等、外部の力も借りながら、志の高い社員を巻き込み、泥臭く変革を続けている。
★社長直下の本気の変革期待が、人を動かし、組織を変える

3つのことなる業界・規模の企業の事例を紹介しましたが、共通するのは『自ら変革を続けている』ということ。
そして、その変革へと人を動かしているのが、社会を対象にした『志』であるということ。
志を基盤に、社会も自らも変えていくm034.gif
そんな企業が常に社会から必要とされ、老舗となっていくのは当たり前のことでしょう。

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2018年11月01日

「地域の誇り」となるブランドつくり 宮崎本店⑤~唯一無二の存在としてその役割を果たすことで縄張り確保につなげる

三重県四日市市にある宮崎本店は、1846年創業の老舗企業。今回はその最終回です。同様に「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から要約しながら紹介していきます。

ちなみにこれまでの記事は
「地域の誇り」となるブランドづくり ① 社員持株会の効果
「地域の誇り」となるブランドづくり ② グループ討論から一体的前進感へ
「地域の誇り」となるブランドづくり ③ 人知を超えた自然への感謝が地域貢献へとつながっている
「地域の誇り」となるブランドづくり ④ 商品と企業理念が作り出す「カルト市場」

さて、このブログ「②グループ討論から一体的前進感へ」でも紹介しましたが、宮崎本店は、焼酎「キンミヤ」のブランド化を目指し、業務用の大容量容器での販売を取止めました。酎ハイや果汁割等での「原料」として使用されるのではなく、商品「キンミヤ」を消費者に選んでもらうためです。しかしそれは「それなら別のメーカーの焼酎でいいよ」と取引が無くなる、つまり売上の4割が失われてしまう危険性も孕んでいました。

それでも宮崎社長は金融機関に「これからは新しいやり方で売って行きたい」と説明し理解を求めました。原料からの脱却が宮崎本店にとっては必要なことなのだ、と。 そして実際、半年間売上が減っていった▼どうする??

「そこで慌てて、やっぱりもう一度元に戻そう、なんてやったら、アウトでしょう。経営者として腹を括らないと会社はおかしくなってしまいます。そこだけは譲れません」(六代目宮崎社長)

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2018年10月25日

脱制度・脱お上・脱常識!それが前進への第一歩~

「学校から宿題が出されるから、嫌だけどやらないと」
「学校の勉強はつまんないけど、高校行かないと・大学行かないと」
「行政が動いてくれないから、自分の生活も変わらない」
「国の制度が決まっているから、従うしかない」

日本ではそんな、お上の支配への諦めの空気が何十年も続いているような気がします。

ところがここ数年、お上に従うのが当たり前という“常識”を跳ね返すような動きが顕在化してきており、
人々の注目を集めていますicon_eek.gif
こういった『脱制度・脱お上・脱常識』の事例が『成功事例』としてメディアで多く取り上げられるようになったのも、
大きな変化です。いくつかの事例を紹介します。

<教育>
学校教育を受けなければならない。嫌でも無数の宿題をこなさなければならない。
という強制圧力から、脱却。
↓↓
小学校3年生で脱学校宣言~12歳の哲学者~
https://www.businessinsider.jp/post-165753
>芭旺さんはわずか10歳のころに出版した、自身の考えを記した著書『見てる、知ってる、考えてる』が累計17万部を突破。
「物事に重さはない。ただ、その人が『重い』と感じている。ただそれだけ!」「『こわい』は、やりたいということ。
やりたくなかったら『やりたくない』って思う。『こわい』ということは、やりたくないわけではない」
>小学3年生のとき、「学校へ行かない」ことを宣言し、自宅で学習したり、読んで「面白い」と思った本の著者の講演会に一人で出かけていったりして学ぶことを選びました。そして現在は、その日によって「学校へ行く/行かない」を自ら選択しています。
「学校へ行くのが当たり前」「学校を卒業したら、会社に勤めるのが当たり前」「会社へ行くのも当たり前」……そう考える私たちが芭旺さんの言葉からあらためて学んだのは、「自分の頭で考え抜く」ことの重要性でした。
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<子供の貧困>
子どもの食は、みんな課題。お上の動きの悪さに業を煮やした人々が、“自らの手で自らのまちを守る”。
↓↓
子ども食堂急増!~可能性と課題~
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=339847
>子ども食堂は、2年で7倍以上に増えています。全国の小学校の数がおよそ2万校ですので、 2,286ヶ所という子ども食堂の数がいかに多いかが分かるでしょう。
どこか遠くでやっている珍しいものではなく、自分の近くにある身近なものになりつつあります。提供された食事数は、年間でおよそ100万食を超えていると言われており、社会の暮らしの基盤ともなりつつあります。
>子ども食堂は、単に子どもに食事を提供するだけの場所ではありません。
食事だけでなく食卓の団らんや、季節のイベントなどの体験をしてもらったり、学校という枠にを超えて、子どもたちや親御さんたちが交流できる場でもあります。子どもが少しだけ出す悩みのサインに大人たちが気づくことができます。いじめや非行を予防することに繋がるかもしれません。
そうして、地域に「交流と発見」を与えるのが“子ども食堂”です。しかし、現実問題として子ども食堂のほとんどは、自発的な民間の活動であり、始めたとしても基本的に補助金などはありません。ようやく一部の自治体で、補助金が出始めたくらいです。
寄付や会費で賄っており、年間30万円以上の赤字が出ている子ども食堂もあります。それでも純粋な気持ちで、子どものためを思って、多くの方が頑張っていらっしゃいます。そして、まだまだ「特殊な場所」という認識が多いのも事実です。一部の限られた人がする、一部の限られた人のための施設、という認識です。
子ども食堂は、ようやく2,000ヶ所を超えることができましたが、何かの事態が起こって、その芽が摘み取られてしまう可能性もあります。
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<まちおこし>
行政の資金に頼らない。住民皆の自治意識の高まりが、社会で生き残れる町を作る。
↓↓
やねだんに学べ〜地域再生のヒントをもとめて〜
http://www.asakawa.skr.jp/AsaLABOnew/yanedanni_xuebe.html
>(1)自主財源の確保行政に頼らない地域再生をめざした豊重館長は,まず,地域住民から無償提供いただいた30アールの畑でサツマイモの栽培を始めました.
農作業の担い手は高校生.初年度に35万円の収益金をあげました.この高校生からスタートした「からいも生産活動」は年々拡大し,2002年度は1ヘクタールの栽培に到達し,約80万円の収益金をあげました.その後も,豊重館長はたたみかけるように,さまざまなアイディアを出し,地域再生に向けての活動を推し進めていきました.
学校での勉強についていけない子どもたちのために,退職された教員を招いて「寺子屋」を開く.一人暮らしの高齢者の孤独な夜の不安を解消するために,緊急警報装置を設置し,希望する独居高齢者にそのスイッチを配布する,など.これらの費用は,すべてさつまいも栽培による収益金より賄われました.
むらづくりに必要な活動を行おうとすると,どうしても資金が必要となります.これを行政に頼るのではなく,自分たちで生み出した.
やねだん成功のヒントのひとつは,ここにあるのだと思います.やねだんではさらに,土着菌の製造販売,Private Brand焼酎「やねだん」の製造販売,
手打ちそばを提供する食堂の開業,と実績を残していきました.こうして自主財源は揺るぎないものとなり,その財源によって運営される「むらづくり」はますます盛んになっていきました
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地方再生というと、「国が補助金を出して~」と考えがちですが、国が補助金を出して再生しようとした地方はことごとく失敗に終わっているのではないでしょうか。
やねだんの事例のように、本当の地方再生・地方創生は、それぞれの地域や集落がお上に頼ることなく、自分たちで生活を営めるようにすること。=自分たちの手で生きていけるようにすることでしょう。
教育についても、大学に行かない・高校に行かないという事例は年々増えています。
これも、子供たちが自分の生き方・学び方を自ら決断し、より可能性のある方(学校教育ではなく社会)へと収束していっているからです。

今回上げた事例はほんの一部で、他にも様々な分野で『脱制度・脱お上・脱常識』の成功事例が報告されています。
特に若者の意識変化が顕著で、もう数年もすれば今の世の中の当たり前(学校行くのは当たり前、国に頼るのは当たり前等々)の多くが、
当たり前でなくなり、『自分たちの生きる場・生き方を、自分たちでつくるのが当たり前』という新しい当たり前に変わっていくでしょう。

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2018年10月17日

「地域の誇り」とされるブランド作り ~宮崎本店④~商品と企業理念が作り出す「カルト市場」

三重県四日市市にある宮崎本店は、1846年創業の老舗企業。今回は地域に根ざし発展している宮崎本店が作り出している「独自の市場」について。前回同様に「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から要約しながら紹介していきます。

宮崎本店はまた新たな変革の時期を迎えている。 例えば焼酎(甲類)「キンミヤ」が増産に次ぐ増産を続けている。
そもそも、地元三重県から遠く離れた東京下町で「キンミヤ」の人気が高い背景には、190万人が被災した1932年関東大震災がある。他社が被災した店からの代金回収に走る中、宮崎本店だけは水などの救援物資を船に積み込み、得意先に配って回ったという歴史がある。その心意気を感じて、多くの店がその後、キンミヤ贔屓になったそうです。相手が苦境に追い込まれたとき、手をさし伸ばすのか、足蹴にするのか、社会人として、会社としても志が問われる場面です。

「東京下町で圧倒的に支持されています。それは今、下町から山の手まで広がっていまして、この3,4年ほどは毎年20%ぐらい伸びています」(宮崎社長)

コストパフォーマンス重視の客が増えていること。それでいて昭和のレトロなイメージを持ちながらもお洒落な感じがある。
こうした独特の市場を宮崎社長は「カルト市場」と呼んでいる。「ニッチ」よりも狭く、特別な市場という意味だ。そこには少数ながら熱狂的なファンがいて。そのファンがクチコミで客を増やしていく。

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2018年10月04日

「地域の誇り」とされるブランド作り ~宮崎本店③~ 人知を超えた自然への感謝が地域貢献へとつながっている

三重県四日市市にある宮崎本店は、1846年創業の老舗企業。地元三重県では、清酒「宮の雪」の蔵元であり、東京下町の居酒屋で有名な焼酎「キンミヤ」のメーカーとしても知られています。地域に根ざし現在も発展している宮崎本店の取組みについて、今回も「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から要約しながら紹介していきます。

ご存知かもしれませんが、酒造りには「杜氏」の存在が不可欠です。杜氏(とうじ)とは、酒造りの最高責任者のこと。杜氏のもとで酒造りに携わる職人は蔵人(くらびと)と呼ばれます。杜氏・蔵人たちは、農閑期となる晩秋からの早春の頃にかけて、農村から酒どころの蔵元へ出向いて酒造りを始める人たち。作り手だからこそ、その年の米の育成状況を熟知し、それに合わせた酒造りができるのです。しかし杜氏も高齢化が問題となっており、宮崎本店では南部杜氏(岩手県)に指導を受けながら、自前での杜氏育成を始めました。

宮崎本店は昭和26年に株式会社に改組し、平成10年にはISO9001、平成11年にはISO14001も獲得している、立派な会社。そんな会社の持つ、例えば週休二日を始めとする制度と、休みなく働く酵母を扱う杜氏の業務とは反りが合わないのですが、高品質の清酒をこの場所で造り続けるために、敢えて社内杜氏の育成に取り組んでいるのです。

「例えばフランスのワイン。ボルドーのシャトーマルゴーが、ユーロの為替変動の影響を受けて、南アフリカで作られることになった、などということはあり得ない。私たちも同じです。ここでしか造れないものを作っているのです」(六代目社長宮崎由至氏)

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2018年09月27日

中学生の活躍~学校に縛られない生き方~

最近はよくテレビ等のメディアで『天才中学生』や『中学生社長』といった、
“社会で” 活躍をしてる若者のニュースを耳にするようになりました。
そのニュース自体は嘘でもなんでもなく、本当に中学生ほどの年齢で大人顔負けの追求・活躍を見せています。

なぜこんなにも急に、社会で活躍する若者が増えたのでしょうかm052.gif

国は言います。「ゆとり教育が終わったからだ」と。
「 ??? 」と思いませんでしたか?
活躍を見せる若者たちは、皆『学校の外で』=『社会で』活躍しているのです。
学校教育にその力があると言い張る国の主張は、解せないm051.gif

そもそも学校=スクールの語源は、ギリシャ語のスコレーにあります。
スコレーは「日常生活や生産活動から解放された余暇の場」という意味があります。
現代の学校教育を見てもわかるように、学校はそもそも日常生活や生産活動から切り離された場=『非現実の世界』なのです。

そんな、非現実の世界から脱し、現実の世界で生きることを決めた勇敢な若者の事例を少し。
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①鳥枝樹里亜さん
・15歳で起業
・JuliaTを経営。若い女性向けではなく中高年の男性を対象にコーディネートをしている。
・きっかけは、小学生のころに父親へ服のアドバイスをしたが受け入れてくれなかったこと。
・コーディネートのアドバイスという分野で評価を集める。
https://juliat.co.jp/

②山内奏人さん
・15歳で起業
・フィンテックの分野で1億円を調達
・プログラミングの技術は“独学”で習得
・東京生まれ東京育ち、東京で世界と闘う
https://www.wow.one/OF#leadership

③神谷明日香さん
・小学校6年生で祖父のために自由研究で発明した「空き缶分別箱」で特許取得
・中学2年生で起業
株式会社やくにたつもの、つくろう を設立
・自らの発明品をネットで販売
http://yaku-tatsu.com/

今社会で活躍を見せている若者たちは皆、学校の授業外で追求力や関係力を身につけ、成果を上げている=生産しています。
(3番目に紹介した神谷さんも、自由研究という“自らの探求心発”での追求が成果になっている。)
好きなこと、誰かのためになることを、だたひたむきに追求した人たちばかりm051.gif
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そして、そんな成功例も見てみんな気づいているのです。
「学校の外にこそ、社会で生き抜く力をつける場があり、本当の仲間が待っていると」
気づいたうえで『行動に起こす』ことができた人間が、目に見える成果を上げ、注目を集めています。

『行動に起こす』のもそんなに難しいことではないはずです。
ただ、親が子どもの探求心に蓋をしなければよいだけですから。
もう十数年もしたら、それも当たり前の時代になるでしょう。

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2018年09月19日

「地域の誇り」とされるブランドづくり ~宮崎本店② グループ討論から一体的前進感へ

三重県四日市市にある宮崎本店は、1846年創業で、現在も創業時と同じ場所で経営を続けている酒造メーカーです。170年を超える歴史を持ちながら現在も発展している企業の取組みについて、今回も「地的経営のすすめ」(佐竹隆幸著:神戸新聞総合出版センター)から要約しながら紹介していきます。

日本酒離れ、焼酎ブームなど売れ筋も大きく変わる中で、流通も激変します。消費者の多くは、町の酒屋ではなくスーパーやコンビニで酒を買い、さらに容器も一升瓶から紙パックへ、ビンからカンへと変わっていったのです。その中で宮崎社長にある不安が。

「もしかして私が考えているお客様と、社員が考えているお客様は違うのではないか?」

早速、月に1度の全社員によるグループ討論を開始。
丁度2003年に清酒「宮の雪」がモンドセレクション(世界酒類コンクール)で金賞受賞するなど、商品の評価も確立し、会社の体質も改善に向かっている中でしたが、討論を通してその不安が現実のものになります。

「顧客の概念そのものが統一出来ていなかったことが分かって、愕然としました。顧客に何を訴えていくべきかが、統一できていなかったのです」

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