この間の物価上昇については、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻による、「供給力の低下」、「サプライチェーンの混乱」などが言われているが、もっとも影響が大きいのは、単純に「円安」だからなのではないか。
この10年、ドル/円は、2012年(79円)→2021年(110円)→2022年直近(128円)となっており、特にこの半年の円安スピードは異常である。110円で買えたものが、128円払わないといけない。ドル建て輸入品全部に関してであり、中でも石油高の影響は、あらゆる商品、流通コストに影響する。
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何が起こっているのか?
まずは、アメリカ。FRBは、国内のインフレ率上昇を抑えるため利上げを行っており、これによってドルが買われ≒円が売られ→円安。
次に日本国内。基盤にあるのは、この10年来の円安基調をつくった「アベノミクス」。アベノミクス実態は、米ドルとドル債買い=円と円債の売り→円安。
この半年~直近の急激な円安の真犯人は誰か?
機関投資家か、レバレッジを効かしたファンドの可能性もあるが、彼らが持ちきれるのは120円前半と見られており、そうなるとやはり「日銀」。
日銀はこの間、10年物国債を決まった利回りで無制限に買い入れる「無制限連続指値オペ」を実行。それだけでなく、買い入れ予定になかった20年物などの長期債までも、急遽買い入れを行っている。日銀の目的は徹底した金利抑制にあり、それによる円安はお構いなしというスタンス。これもアベノミクス。緩和資金で好景気(バブル)を演出しつつ、同時にアメリカ(ドル)を支える。
日本国民が物価上昇に苦しむ中、外資によって日本の資産(不動産など)がバンバン買われているのが今の状況。全ては「同盟国」アメリカを支えるため。
これは、今の世界の潮流からみれば大きなリスクをともなう。
アメリカの深い関与が疑われるロシアのウクライナ侵攻→ロシア制裁に関して、先日の国連総会で行われた、ロシアの国連人権理事会理事国の資格を停止する決議の結果は、以下の通り。
ロシアの資格停止に賛成した国 93か国(アメリカ、日本、ヨーロッパ各国)
ロシアの資格停止に反対した国 24か国(中国、イラン、ベトナムなど。ロシアの友好国)
投票を棄権した国 58か国(中東のほとんど、アフリカのほとんど、南アジアの多く、南米の大半)
無投票 18か国
賛成した国 93か国 vs 賛成しなかった国 100か国
賛成した国93か国(ロシアの敵対国、もちろん日本もこちら)の、今後の食料、エネルギー状況の見通しは、非常に危うい。